大遠足
わが師は 明治45年生まれでしたから
たしかに よくもわるくも 明治人の特性を備えておられました。
その師が晩年 口ぐせのように
「 日本人は小さくなった 」 ・・・ と嘆いておられました。
「 小さい 」 とはむろん 肉体の大きさのことではありません。
心が 腹が つまり ・・・ 精神的に小さくなってきたというのです。
人間が小粒化し スケールの大きい 「 大もの 」 が少なくなった
・・・ と嘆いたのです。
彼によれば 明治 → 大正 → 昭和 → と
時代が下 ( くだ ) るにつれて ・・・ 人間が小さくなり
とくに戦後 その傾斜が急激である ・・・ といわれたのです。
こういう現象は 私ども昭和生まれのものにさえ
ハッキリ看取できるように思われます。
いちがいに言えぬことですが 平均をとっていうなら
「 明治人 」 には 「 自分たちにないものがある 」 ように感じられました。
「 とても及ばぬ 」 という何かを感じさせられたのです。
大きい というか
太い というか
硬骨 というか ・・・
なにか一本 たくましいシンが通っていることを感じられました。
市井の平凡な人たちのなかに ・・・ それを感じたのです。
やはり 私たちより ・・・ 人間が大きかったのでしょう。
さて なぜこのように人間が小さくなってきたのでしょうね?