ネコ好きSENの洋画ファン

ワン5ニャン9と共棲。趣味は洋画と絵画。ライフワークは動物・野生動物の保護救済、金融投資。保護シェルターの設立をめざす

座礁5

2015-03-15 23:16:59 | 小説はいかがでしょう★

 

 

座礁

 

 

 

 

 

「シン、くるわ!」

「わかってる」

 

シンはスキャナーでミサイルを追った。

この前さんざん迷った挙句、修理屋のおやじの口車に乗って、やはり最新

モデルにアップグレードしておこうと、それを実行した自分のまれなる幸

運に感謝した。

ロックオン、

飛び出した弾が目前で花火のように広がる。

ミサイルは爆音を立てて吹っ飛び、その衝撃に船体は激しく揺れ、レンは床

にひっくり返った。

「あてててててて!!!」

 

飛行艇は発進し、しなやかな動きで上空高く舞い上がった。

スキャナーの中の赤いドットが小さくなり、数秒で消えた。

 

「河合のおやじの、あんたに損はさせないよ、は本当だったな」

シンはふうと息をついた。

「アビィ、修理にどれくらいかかる?」

「期間ですか? それとも費用?」

「どっちも」

「河合修理工場であれば、土日休業を入れて五日間、費用は

780万円プラス消費税」

「ナ、ナナヒャク、ハチジュウ……」

 

シンは振り返って倒れているレンを見た。

「大丈夫か?」

「なんとか生きてる」

「修理代をあんたに請求してもいいよな、ミスタートリプルA。

なにか反論はあるか?」

「もちろんあるとも」

 

レンは手をついて立ち上がり、ズボンのほこりを払った。

 

「ぼくはすぐ逃げるように提案した。レイレイはきみが何とかできる相手

じゃないとも言った。

貴重なアドバイスを無視したのはきみだろう」

「ほう」

「だが、きみが全面的に悪いとまでは言えない」

「あんたの年収からすればはした金じゃないか」

「OK、カードで払おう」

 

レンはEXカードをだし、あれ、と言って指先でかざした。

 

「使用が停止されている。ぼくが逃げのびたことをレイレイが通報したん

だな」

 

レンはにやついた顔であごを撫で、それを見てシンは片眉をつりあげた。

 

「使えなくなると知っていたな」

「何のことかな」

「それでは最初の場所にもどって降りていただきましょうか」

「えっ、いやだな。そう冷たいことを言わないで」

 

レンはジャケットのポケットに手を突っ込んだ。

 

「少しなら持ってる……ああ、ほらこれ、キャッシュで7万円ほど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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