ちょっと前の話。去年の夏のこと。
うだつの上がらない日本市場にごうを煮やして父が投信を解約した。
そのときの話。
父はわれわれ3兄弟に「好きに使え」と50万円をくれた。
3兄弟とは姉(結婚して千葉県在住)、兄、そしておれである。
ちなみに3人に50万ずつではなく、3人で50万(一人あたり17万円)である。すくな!
姉(千葉県在住)は喜んで17万円を財布に突っ込んで持ち帰った。
3兄弟の中で1番金持ちの兄は「そんな金はいらん、おまえにやる」
で、おれは17×2で34万をもらった。
その2ヶ月後の秋に3人で食事会をした。
姉(千葉在住)「いいもの見せてあげようか」
おれ「なになに、もったいぶってないで見せてよ」
姉(千葉在住)「ジャ~~ン!」
なんとそれはメガネだった。
成金趣味が丸わかりのごてごてした金メッキが使われて、安物の宝石が埋め込まれていて、なんともグロテスクな、なんとも趣味の悪い、ばか丸出しの一品だった。
兄・おれ「(呆れて)なにそれ!」
姉(千葉在住)「いいでしょ、あのお金で買っちゃった!」
兄「姉さんってメガネしてたっけ?見たことないけど」
姉(千葉在住)「そう、だからほとんど度が入ってないんだ」
おれ「だてメガネに20万円?! それも完璧に趣味の悪いデザイン。韓国の裏通りにある露店で150円くらいで買えそう」
姉(千葉在住)「な、なに言ってるのよ! ちゃんとしたメガネ屋さんで買ったんだからね。度だって測ってもらったんだし、メガネがひとつくらいあってもいいって言われたし」
それは言い訳なのだ。
じつは当時、姉(既婚)がつきあっていた年下の男が眼鏡屋の店員だったのである。
ジャニーズ系のかわいい男の子である。
毎度毎度、実家に帰ってきてはその男の話ばかり聞かされるのでおれも兄も辟易していたのだ。
おれ「どうせその男のために買ったんだろう。欲しくもないのに20万円も無駄遣いしてバカじゃないの」
姉(千葉在住)「ほしかったわよ!」
おれ「目が悪くないのに、そんなメガネ、いつかけるんだよ」
姉(千葉在住)「なによ! いいじゃないのよ。わたしがもらったお金なんだから、わたしがどう使おうと自由じゃないのさ!(切れかかっている)」
おれ「金の使い方を知らない人間はこれだからな」
姉(千葉在住)「じゃ、あんたたちは何に使ったのよ!」
兄「こいつにやった」
姉(千葉在住)「(おれをにらんで)あんた、何に使ったのよ!」
おれ「投資に決まってるだろう」
姉(千葉在住)「損ばっかりしているくせにまた投資!? それで、どうなったのよ。殖えたの?」
おれ「なくした」
姉(千葉在住)「ええっ?」
おれ「一ヶ月でゼロ、あの金はすべて他人の懐に消えちゃった」
姉(千葉在住)「このばか! あんたこそ大ばかじゃない! わたしはね、まだこうやって手元にあるのよ。あんたなんか他人にくれてやったようなものじゃない!へたくそ!無駄遣いして!!」
どうも姉とおれの経済状態が、
今ひとつ良くならない理由がわかるような、わからないような想い出デシタ。