今年も自衛隊の武装パレードが佐世保のアーケード街でおこなわれました。
私が初めて見たのは移住してきた翌年の2009年で、その頃は陸上自衛隊だけでしたが、
2014年からは陸上自衛隊と海上自衛隊の合同パレードとなり、
だんだん大規模になっているような気がします。
今年はちょうど共同演習を行っているインドとアメリカ海軍の音楽隊も参加し、
950人という過去最多のパレードとなりました。
11時スタートの1時間前には、武装パレードに反対する市民団体が抗議の集会を開いていました。
でも、パレードの時間が近づくと、
アーケード街は日の丸の旗を持った市民が両サイドを埋め尽くし、今か今かと待っています。
まず初めに自衛隊の音楽隊、続いてやってきたのは、インド海軍の音楽隊ですが、
日の丸の旗が邪魔して、チビの私は、ほとんど見えません。
場所を変えて、待っていると、次にやってきたのは米海軍の音楽隊。
ジャズっぽい音楽で軽快に、踊りながらの演奏です。
その後、自衛隊の行進が始まりました。
まずは海上自衛隊。
教育隊とか候補生とかいろいろ分かれての行進です。
こちらは陸上自衛隊の女性隊員。
きりっとした眼差しの素敵な女性たち。でも、迷彩服なんて似合わない!
その行進を本部席で見守る自衛隊、米海軍、印度海軍の司令官たちと佐世保市長。
市長はどんな思いで、銃を掲げて行進する女性隊員に拍手を贈っていたのでしょう。
このパレードに銃を持たせているのは、
「ふだんのありのままの姿での行進を見てもらうことが自衛隊への理解につながる」
からというのが陸自の説明です。
そうでしょうか?
その行進を見て若者や子どもが感じるのは、戦争ごっこのようなカッコ良さ。
あるいは、撃ち合うこと、殺し合うことをイメージさせる恐怖感ではないでしょうか?
それが、日本国憲法下での自衛隊を理解することに繋がるのでしょうか?
むしろ捻じ曲げ、覆い隠すものではないでしょうか。
覆い隠すと言えば、今年のパレードでは、市民が市民を覆い隠しました。
「武装パレード反対」と書かれた横断幕を持った市民の列の前に、
日の丸の旗を持った市民たちがやってきました。
武装反対の文字を日の丸が覆い隠そうとしたのです。
銃を担いでの行進が始まった時、反対派市民団体は大きな声でシュプレヒコールを始めました。
「戦争法はんたーい!」「自衛隊員を戦場に送るなー」「自衛隊員の命を守れー!」
声を限りに叫ぶ市民の声を、一段と大きくなった楽隊の演奏と、
これまた市民の大きな拍手の音で、覆い隠そうとしたのです。
なぜ他者の意見を排除しようとするのでしょうか。
いつから異論を認めることができない人が増えてきたのでしょうか?
暗い気持ちになりながら、パレード終了と同時にバス停へ急ぎました。
今日のもう1つの予定、この講演を聞くために・・
現政権はメディアを道具視し、統制を強化している。
メディアは自主規制し、忖度している。
忖度というより「自発的隷従」さえ見られる。
と、金平さんは今のメディア環境を評しました。
金平さんはいろんな話をしてくださいました。
オバマ大統領の広島訪問について、
田英夫キャスターの弾圧事件(1967年)のこと、
高市総務相の電波停止発言などなど。
その中で特に印象的だったことの1つが、昨年の沖縄慰霊の日のこと。
安倍首相の挨拶の時、「帰れ!」「帰れ!」と、ものすごいヤジが飛んでいた。
しかし、NHKは「忖度」して、そのヤジを全てカットして報道したそうです。
帰宅後、NHK長崎の今日のニュースを見たら、
武装パレードでのシュプレヒコールや横断幕もきちんと放送されていました。
(ホッ、よかった! NHK長崎はまだ大丈夫…)
もう1つは筑紫哲也さんの最後の「多事争論」。
金平さんは、落ち込んだ時、方向が見えなくなった時、
筑紫さんの遺言ともいうべき、この最後の「多事争論」を見るそうです。
でも、見ると辛くなるそうです。
筑紫さんの遺言を誰が受け継いでいるだろうか…と考えて。
「皆さんも一緒に辛くなってください」
そう言って、筑紫さんの最後のシーンを見せてくださいました。
「ニュース23」のDNAと僕らが呼んでいるものがあります。
・権力ある者を監視しよう
・少数派であることを恐れない
・多様な意見を確保して自由な気風を保つ
そういう意志を持った番組であろうと努めてきました。
これからも、この松明は受け継がれていきます。
これからも「ニュース23」をよろしくお願いします。
(最後の部分を要約するとこんな感じだったと思います)
筑紫さんは「ニュース23のDNA」と言ったけれど、
金平さんは「僕は引き継いでいるだろうか」といったけれど、
これは私たち国民一人ひとりが掲げなければならない松明。
一番組で守り切れるものではない。
少なくとも、
・少数派であることを恐れない
・多様な意見を認め合う
そんな生き方を、私たち一人ひとりが目指さねば、
あっという間に戦前のような日本になってしまいそう。
今日の武装パレードを見た私は、本気でそう感じたのでした。