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ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

2月のクリスマスカード

2008-02-29 18:48:47 | スペインの生活
ついに2月も今日で終わり。更新を怠っていて申し訳ありませんでした。元気でやっております。

散歩のついでに集合郵便受けをのぞいてみたら、見覚えのある筆跡であて先が書かれた封筒が。家族の誕生日には欠かさずにカードを送ってくれる夫の家族からなのだが、誕生日ではないし、復活祭まではまだ3週間ある。いったい何のカードだろうと思って中を開いたら、なんとクリスマスカードだった。先のことは考えてみたが、まさかクリスマスカードだとは思いも寄らなかった。

宛て先の住所は郵便局指定の住所で、字もはっきりとして誤りの余地はない。なぜこんなに時間がかかったのかと不思議に思って封筒の裏を見ると、12月20日付けの香港の消印が押されていた。イギリスからなぜか香港経由でスペインにやってきたわけである。これが航空券だったら、イギリス・スペイン間のチケットで香港まで回れて得した気分になれるところだが、2月末に届いたクリスマスカードとなると、まったくありがたくない。

一難去ってまた一難

2008-01-22 18:23:36 | スペインの生活
ついにブロードバンドに再接続した。待つこと実に6週間半であった。

結局3度目の注文の後、2週間経っても何も起こらないので、通訳の人に再び電話会社(プロバイダ)に問い合わせてもらった。先方ではすでにつながっているの一点張りで、一向に苦情に対応しようとしない。

通訳のルイーサの息子さんがイギリスでコンピュータ関係の仕事をしていたというので、我が家に来てもらって、ルータの機能やコンピュータの設定のチェックをしてもらった。その結果、ルータには問題はなく、やっぱり回線がつながっていないのだろうとのこと。そこで、ルイーサが強気に出て、問題を解決しないとほかのプロバイダに乗り換えるぞと脅した。すると、電話会社がやっと重い腰を上げ、回線をチェックして48時間以内に返答すると約束する。

翌朝、「電話線に蟻」事件でおなじみのエンジニアがやってきた。今、通りの回線ボックスでつないできたと言う。すると、途端にルータのADSLと書かれた下の明かりが点灯した。ブロードバンド回線は中央の局ではつながっていたのかもしれないが、やっぱりここまでつながってきていなかったのである。あのままただ待っていただけだったら、何も起こらなかっただろう。ルイーサの戦略変更のおかげであるが、それまで一向に回線をチェックしようとしなかった電話会社の怠慢に腹が立つ。

そんなわけで、目の前にぶらさがっていた問題が6週間半ぶりに解決したと思ったら、今度はイギリスから悪い知らせがあった。雨が降り続いて川の水位が上がり、オートバイと車が水に浸かっていると言う。トレーラーハウスは水に浮くようにデザインされているのでまったく心配はないのだが、まだ浮くところまでは水位は上がっていないらしい。

ペドロランドはこのところ、連日晴れて最高気温は21~22度。イギリスの大雨・洪水が別世界のことのよう。イギリスのキャラバン場の水は引いたらしいが、週末にはまた大雨が予想されるだけに予断を許さない。


涙のダイヤルアップ生活

2007-12-28 11:52:55 | スペインの生活
スペインに到着してからまったく更新をしてなくてすみません。ご心配くださった方々、どうもありがとうございます。

11月24日に無事スペインに到着しました。まっさきにしたのが、ブロードバンドの注文確認。案の定、注文は入っていなかった。

「スペイン語を話しますか?スペイン到着予定日は?鍵を預かっている人の名前は?その人はスペイン語を話しますか?」と、この元国営電話会社の英語サイトのオンライン申し込み用紙にはあったが、スペインに到着したのと同時に英語で電話をしてきてくれたり、鍵を預かっているご近所の人に英語で電話をしてきて、わたしたちのいない間にブロードバンドの設定を済ませておいてくれるなんてことが実際に起こるとは到底信じられなかった。やっぱり起こりえないことであったのである。

これは予想していたことだったので、冷静に新規注文をする。10~14日かかると言う。2週間待てど暮らせどまったく連絡がない。再度プロバイダの電話会社に電話をしてみると、ルーターを配達する少年が我が家を発見できないということであった。それもそのはず、電話会社に登録されている住所はまったく現実に程遠い住所なのである。住所を訂正し、ルーターの配達会社に苦情を入れておいたということであった。それからさらに1週間してやっとルーターが届いた。届けにきたのは少年ではなくて、中年女性であった。少年というのは配達員を表すスペインの慣用表現なのだろうか?

ついにブロードバンド開通!と喜んだもつかの間、それから1日半ほどすると、インターネットへの接続が切れてしまった。通訳の人に我が家まで来てもらって、電話会社に問い合わせの電話をかけてもらった。注文は英語でできるのだが、問題が起こったときのテクニカルサポートはスペイン語のみなのである。釣った魚に餌はやらないということなのだろう。

すると、ブロードバンドの契約がキャンセルされているという。理由はわからないのだが、きっと進捗状況を問い合わせたときに、電話に出た人がすでに入っていた注文をキャンセルし、新しい注文を入れてしまったのだろう。インターネット接続だけ元に戻すということはできないらしくて、もう一度新規注文を入れることになった。10日ほどかかるということである。新しい注文に伴い、また新しいルーターが届くが、これは無料ということだ。この分だと、すぐにルーター屋を開くことができるほどルーターが集まるだろう。

前から普通の電話線のほうの調子も悪かったのだが、この翌日、まったく電話が鳴らなくなってしまった。電話会社に電話をしたら、翌日エンジニアがやって来た。我が家の外にある回線ボックスの中をのぞいてみて、「見てみろ」と言う。そこには小さな茶色のものがびっしりと電話線にくっついていた。アリだという。アリが電話をかじっていたのだそうだ。こんな電話線の状態ではブロードバンドなど絶対に無理だろうと言われた(でも、1日半つながっていたぞ)。

が、問題はそれだけではなかった。通りにある集合回線ボックスに行ってきたエンジニアが言うには、中央局の交換台で、我が家の電話回線が別の番号に接続されていたのだそうだ。道理で、電話が鳴らないはずである。これまで我が家に電話をかけていた人たちはすべて別の電話番号につながっていたわけなのだから。

実はこれはよくある話のようである。地元の英字新聞の読者欄に似たような話が載っていた。投稿者はノルウェー人のようであったが、近くのホテルの使った電話料がすべてこの人宛てに請求されている。一方、そのホテルのほうにはまったく電話がかかってこない。電話会社に苦情を言っても、全然問題を理解してもらえないということであった。これは我が家とまったく同じケースだと思う。ホテルの電話回線がこの人の電話番号につながれているのだ。我が家の場合は、エンジニアが来てすぐに問題を発見してくれただけ、ラッキーだった。もっとも、仕事で3メガバイト、7メガバイトといったファイルを受信するためにわたしがダイヤルアップ接続をしていた1日半の間の電話代を請求されるほうの側はあまりラッキーではないかもしれない。

電話会社のエンジニアが我が家を出て行くとき、なかなかしっかり閉まらない門に苦労しながら、「まったくスペインなんだから」というようなことを言っていた。スペイン人の仕事のできなさには迷惑させられているが、このへんの無責任さがやっぱり好きだ。もしこんなことが日本で起こって、外国人が困っていたら、腹をかき切って日本人全体の責任を取ろうと思うのが日本人だろう。

そんなわけで、スペインに到着し、最初にブロードバンドを注文してから5週間が過ぎようとしているが、いまだにダイヤルアップ生活である。昨日ルーターが届いたが(これは最初に注文したワイヤレスルーターではなく、安いシングルポートのルーターだった)、これはたぶん2つめの注文に伴うものだろう。ますます状況は混沌とし、いったいいつになったら再びブロードバンド接続を満喫することができるのか、まったくわからなくなった。

前時代に逆戻り

2007-01-29 12:55:04 | スペインの生活
ときどきクリスマス以来の暖かな晴天がついに崩れてしまった。気温は日中でも10度前後、おまけに強風が吹き荒れ、それにときどき大雨が加わったりして、この4日間これまでに見ない悪天が続いている。

今後8ヶ月にわたると思われる留守の期間を前に、ブロードバンド会社を替えることにした。現在の会社・テレフォニカ(スペインの国営電信電話会社)では、ブロードバンド料金が月42.56ユーロ(約6,700円)なのだが、12月から頻繁に勧誘の電話をかけてくるya.comだと、最初の3ヶ月は月々9.95ユーロ、その後は月々19.95ユーロ(約3,100円)とテレフォニカの半額以下である。8ヶ月間使わないのに月々高い料金を払い続けることを考えて、切り替えることにしたのだが、契約確認のための電話をya.comにしてみると、なんと実際の料金は36.95ユーロプラス付加価値税ということで、テレフォニカと比べてみるとたいして安くない。この地域ではブロードバンド回線が難しいので、プロモーション価格が適用されないのだと。だったら、なぜ再三勧誘の電話をかけてきたのか。電話番号から特別料金の適用されない地域であることは一目瞭然だっただろうに。これはまさしく詐欺である。

この会社に対する苦情は、地元の英字新聞のコンピュータ欄にたびたび載っているのだが(残念なことに、記事が一週間ずつ後手にまわっているので、警告にはならなかった)、特別料金の19.95ユーロが適用される地域というのがあるのかどうかすら、疑わしいようだ。このコラムの執筆者が試しに手当たり次第に地元の新聞に載っている電話番号をya.comのサイトで入力したところ、19.95ユーロという特別格安料金が表示されたことはなかったということである。ちなみに、イギリスにはOFTELという通信関係の会社のサービス・料金体系を監視する機関があるのだが、スペインにはそれがなく、このような不正にも消費者は泣き寝入りするしかないのだそうだ。

さっそくキャンセルをしたのだが、困ったことには、この会社、すでに回線切り替えの手続きをしてしまっており、(契約書にサインもしていないのに)、先週の金曜日からインターネットの接続を絶たれてしまった。接続切り替えはルーターの交換と同時に行われるので、インターネット接続の中断はないという電話勧誘員・アンヘルの言葉も嘘だったわけである。テレフォニカに戻りたいと言うと、それには客のほうからテレフォニカに再申請しないといけないと言う。が、この会社がすでに回線を占有してしまっており、回線を明け渡すまでに1週間から10日間かかるので、再申請しても再接続は回線明け渡し以降になるそうだ。というわけで、スペイン滞在残り1週間はダイヤルアップ接続でしのぐことを余儀なくされることになった。

1週間くらいのことなので、私用はインターネット接続をメールに限定して、ダイヤルアップ接続で乗り切ることも可能だが、仕事のほうが困る。最近は、ファイルのやり取りや仕事の進捗状況のチェックなど、すべてインターネット経由になっている。ブロードバンドの常時接続とスピードに慣れてしまうと、ダイヤルアップは忍耐力が試されることになるだろう。

というわけで、この記事もオフラインで完成させてから、インターネットにダイヤルアップ接続して、一気に投稿という形をとっている。先週まではスペインを離れるのが名残惜しかったのだが、この悪天候とブロードバンド接続剥奪のおかげで、週末の移動が待ち遠しい気持ちになりつつある。

パーフェクト・デー

2007-01-24 12:05:46 | スペインの生活
ご無沙汰していてすみません。ご心配してくださったみなさま、ありがとうございます。イギリスは先週は嵐(強風+大雨)で、今週は雪だの路面凍結だのと大荒れの天気ですが、ペドロランドはクリスマス以来暖かな晴天が続いています。が、天気予報によると、今週後半にはアリカンテ地方で最低気温は零下1度になるということで(最高気温は17度)、ついにペドロランドにも本格的な冬がやってきそうです。

日曜日はご近所のイギリス人モーの誕生日だった。前日にイギリスから彼の親戚や友達がやってきて、ペドロランドはモーの知り合いであふれかえっている。

友人経営のバーを貸しきって夜8時から始まった誕生パーティーのテーマは、ギャングとそのガールフレンド。というわけで、黒い帽子に黒いシャツ、白いネクタイに派手な色のサスペンダーといういでたちの男性たちときらきらに着飾った女性たちが集まった。1930年代の雰囲気が漂っている。思ったよりもみなさん力を入れていて、各人の衣装を見ているだけでも楽しいパーティーとなった。まるでギャング映画のシーンのようである。ベストドレッサー賞も男女それぞれ1名ずつに与えられた。

この日は、パーティーの前に午後5時キックオフで、アーセナル対マンチェスターユナイテッドの試合があった。結果は2対1でアーセナルの勝利。しかも、1対0で先制点を許した後、残り時間10分を切ってから同点に追いつき、ロスタイムに逆転という劇的な展開だった。アーセナルのファンのモーにとっては、最高の誕生日プレゼントだ。

写真は、イギリスに一時帰国していたマギーが持って帰ってきたバースデーケーキ。もちろん、特注である。イギリスではこのような手作りバースデー市場が定着している(空港警備の厳しい昨今、こんな大きなケーキを持って帰ってくるのはさぞかしたいへんだっただろう)。たいてい、中身はイギリス伝統のヘビーなフルーツケーキなのだが(日持ちするからではないかと思う)、意外にもこれはスポンジケーキであった。ただし、日本のスポンジケーキよりはずっとヘビーだ。バタークリームと薄いイチゴジャムの層を中に挟んだ形になっている。昨日(火曜日)におすそ分けしてもらったが、バースデーケーキにしては美味であった。




ペドロランドの正月

2007-01-02 14:44:32 | スペインの生活
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。

大晦日は再びヴァルとジムのバーでのパーティーに参加した。今度もほとんど友人ばかりだったが、人数が増えて総勢30人近くに達した。

参加したのはイギリス人がほとんどで、スペインの新年と1時間遅れのイギリスの新年と2回に渡って祝う。12時になると同時に、隣の中華料理店が主催した花火が次々と上がった。

スコットランドでは昔から新年の訪れを盛大に祝うのを除くと、ヨーロッパでは正月はあまり重要な意味を持たず、イングランドでは元日でもかつては祭日ではなかったほどである。が、近年は新年を祝うのがだんだんと流行ってきており、12時の時報と共にあちこちで派手に花火が打ちあげられることが多くなった。

スペインでは12時の鐘と共に、ブドウを食べる習慣がある。伝え聞くところでは、鐘が1つずつ打たれるごとに1粒ずつブドウを食べ、鐘が鳴り終わるまでに12個食べ終えると1年間無病息災に過ごせるということらしい。が、これがなかなか至難の業なのである。特に、大粒の種ありブドウだったりすると、種を噛まずに吐き出そうとしているうちに次の鐘の音が聞こえてくるという具合である。もちろん、日本人のように皮を剥いていたりしたら、とても間に合わない。ブドウを皮ごと食べるヨーロッパ人でこそできる業である。最近は、新年を祝うためのブドウの缶詰がスーパーに出回るようになった。12粒入りの小さな缶で、ブドウは種無しである。

午前1時になると、DJのリッキーが録音されたビッグ・ベンの鐘の音を流し、みんなでイギリスの新年を祝う。みんなで手をつないで「蛍の光」を歌い、"A Happy New Year"の挨拶とともにキスが交わされる。イギリスの夫の家族に携帯で電話をするが、もちろんつながらない。

午前3時少し前にわたしたちは家に帰ったが、何人かはその後さらにバーをはしごしたらしい。スペインのバーは大晦日は閉店するところが多いようだが、この辺りで唯一朝まで開いていたアルゼンチン人経営のバーはたいへんな賑わいであったそうだ。翌朝のイギリスのテレビニュースでは、今年の元旦、飲酒の絡んだ暴力事件や急性アルコール中毒で救急車のお世話になった人の数はこれまでで最高だったということである。パブの24時間営業が認められるようになった結果であろう。

翌日の元旦は、イギリス人の友達とビーチに繰り出して、バーベキューをした。合計で20人ほど集まる。暖かな一日であった。イギリスでは初泳ぎが各地で行われるが、この日海で泳いだのはジルだけ。いくら太陽は暖かくても、さすがに海水は寒かったようだ。

というわけで、正月はこれで終わり。どこも今日2日から通常営業に戻り、わたしも今日が仕事始めである。ヨーロッパの正月はあっけない。

2007年がみなさんにとってすばらしい年になりますように。

ペドロランドのクリスマス

2006-12-29 18:45:22 | スペインの生活
先週1週間は午後になると雨が降り、気温も13度程度と寒い日が続いたが(お向かいのヘルムートが去った後、息子のミヒャエルとその友達夫婦・マーティンとスージーがドイツから遊びに来ていたときだった)、例年通り(と言ってもここ2年間クリスマスはイギリスだったのでわからないが)、クリスマスの日から天気が一転、暖かな晴天となった。今日も最高気温17度と暖か。週末には最高気温は19度まで上がるらしい。

クリスマスイブはジムとヴァルが経営する近くのバーでのクリスマスイブパーティーに出かける。集まったのは20人程度で、ほとんどがジムとヴァルの友人ばかり。こじんまりと親密な感じで、友達の家でのパーティーという雰囲気だった。食事はポークパイ・ソーセージロール・カクテルソーセージ・ジャケットポテトとチリコンカルネにコールスローサラダなど、典型的なイギリスの立食パーティーメニューだったが、ほとんどがヴァルの手作りでとてもおいしかった。ちなみに会費は15ユーロ(約2,300円)で、ドリンクは別。

クリスマス当日は、かねてから予約してあったイギリス人の経営するレストランで典型的なイギリスのクリスマスディナーをいただく。今年は、夫の弟一家が総出でスペインにやってきた。スペインに住むお舅さんが今年の夏に51年間連れ添った奥さんを亡くしたばかりで、心配してクリスマスを一緒に過ごすために家族全員でやってきたというわけだ。クリスマスはイギリスではもっとも自殺の多いときらしい。特に、身内を亡くした場合、一番こたえるのが、家族が集まって楽しいときを過ごすクリスマスの時期というわけだ。わたしたちを含めて総勢8人のグループとなった。

食事は3コースからなり、それぞれ選択の余地があったのだが、1年に1度の縁起物(?)だし、伝統の七面鳥のローストとクリスマスプディングのデザートを選んだ。わたしは本当はこのこってりどっしりしたクリスマスプディングが好きではない。子供の頃のおせち料理と同じで、1年に1度で結構という代物である(今では味覚が大人になったので、好きなおせち料理も増えてきたけど)。

不思議なのはクリスマスプディングのソース。伝統のブランデーソース付きなのだが、このソースが実に不思議な味がする。外見は白いとろりとしたソースに茶色のぶつぶつが入っているのだが、なにかデザートにあるまじき味が混じっている感じだ。しきりにこれは何の味かと考えていると、夫の弟が「このブランデーソース、マッシュルームスープの味がする」とこぼした。それでやっと謎が解けた。しかし、マッシュルームスープをベースにデザート用のブランデーソースを作るという発想が理解できない。

2時間かけての食事が終わり、夕方から余興が始まる。女性歌手がまずはクリスマスソングから歌い始めた。実はこの歌手、牧師さんの奥さんで、この夏夫の弟のお姑さんが亡くなったときに、葬式で歌を歌ったのがこの女性だったそうだ。ミキシングの機械を操作しているのがそのご主人で、葬式を執り行った牧師さんである。せっかくやもめになったばかりのフレッドを慰めようとにぎやかなクリスマスディナーになったのに、また悲しい思い出が蘇ってきてしまったりしないかと心配になった。

この女性歌手、歌はうまいのだが、レパートリーの狭さが問題だ。ポーグスの「フェアリーテール・イン・ニューヨーク」のリクエストがあって、カラオケの画面を見ながら歌い始めたが、この歌をまったく知らなかったらしい(今ではクリスマスソングの定番なのに)。画面に現れた粗暴な言葉に驚いていた。牧師さんの奥さんにはちょっと刺激が強かったかもしれない。

素人のカラオケ歌手などに、それで食べていけるほどうまくはないぞという冗談で、イギリスではよく"Don't give up your day job"という言い回しが使われる。この女性歌手の場合、文字通り昼間の仕事(=葬式歌手)のほうが本職なのである。人に聞かせるようなしっとりした歌はうまく歌いこなせるのだが、パーティームードを盛り上げて、みんなが一緒に歌ったり踊ったりしたくなるような歌はあまり知らないらしい。夜の仕事で成功するためには、もう少し研究と練習が必要だ。

スペインの強力粉事情

2006-12-07 17:15:36 | スペインの生活
最近さぼっていたので、まずはお天気の話など。ペドロランドはこのところ暖かい日が続いている。日中の気温は22度くらい。12月に日向ぼっこが楽しめるというのはありがたい。日向で座っていると汗ばんでくるくらいだ。が、夜はさすがに気温が下がってガスストーブが必要になる。暖炉で薪を燃やす家もあって、夜気の中に秋の匂いが漂ってくる。しかし、レーゲンマイスターことウィルフレッドが昨日ドイツからやってきたので、きっとすぐに天気が崩れることだろう。

さて、イギリスから持ってきた5キロのグラナリーフラワーがまだ半分弱ほど残っているのだが、そろそろ小麦粉調査を始めることにした。

まず近所のスーパーマーケット、メルカドナ。この店はバレンシア地方で展開しているスーパーチェーンで、地元産の食料品を中心としている。規模としては比較的小型。自社ブランド商品ばかりで、ほかのブランドを置かないのが欠点である。小麦粉は、自社ブランドの製菓用小麦粉と揚げ物用の小麦粉の2種類と、イギリスから輸入したと思われるホームプライド社の小麦粉だけ。製菓用と揚げ物用ということはどちらも薄力粉ということですよね?ホームプライド社の小麦粉の袋には、英語で"self-raising flour"と書いてある。つまりふくらし粉入りだ。スペイン語の輸入ラベルには製菓用と書いてある。というわけで、どれもパン作りには適していないようである。

我が家から車で15分ほどの知人の家を訪れたときに、新しくできた近くのイギリス食料品店に行く機会があった。ドアを開けるなり目に飛び込んできたのが、パン用の強力粉。思わず躍り上がってしまった。そこはホームベーカリー・コーナーであった。白の強力粉だけでなく全粒粉の強力粉まである。残念ながら普通のグラナリーフラワーはなかったが、代わりにグラナリーのミックスは置いてあった。小麦粉と使い比べてみるのもおもしろいかもしれない。ホームベーカリー用のインスタントのイーストまであるし、ここはホームベーカリー利用者の(スペインの)天国である。

この品揃えの違いには驚いた。スペイン人にとって、パンとは買うものであり、家で作るものではないのだろうか。実際、わたしたちもこれまでは近くのキオスクで毎日焼きたてのパンを買っていた。その前は、小型トラックに乗ったパン屋がうちの前までパンを売りに来ていた。

スペインで暮らすイギリス人の間でこんなにホームベーカリーが流行っていたというのは意外な発見であった。パサパサで軽い生地のバゲット型のパンと、これもパサパサでしかも甘い食パンが多いスペインでは、歯ざわりのしっとりしたふわふわの食パンが恋しいというイギリス人が多いのかもしれない。とりあえず、強力粉が手に入る場所が見つかったのは収穫だ。

スペインで車検に行く

2006-11-23 11:21:01 | スペインの生活
スターターモーターを購入して取り付け、やっと車が動くようになった。相変わらずパワーステアリングのベルトはキュルキュルとものすごい音を立ているし、このところ現象は起きていないとはいえ、水漏れの問題も解決していないのだが、11月は車検の月。ということで、昨日は車検に行った。スペインでは、10年未満の車は2年に一度、それより古い車は毎年車検に出さないといけないことになっている。

ペドロランドから3キロほどの町にも車検場はあるのだが、ここには2つしか検査用の設備がなく、いつも待つ車の列ができている。おまけに、最近地元の英字新聞の読者欄に、ここの車検場はスペイン人をえこひいきする、スペイン人は割り込みをして、先に見てもらえるという投書が載っていた。

そこで、天気はいいし、ドライブを兼ねて、昨年イギリスのナンバプレートからスペインへ登録替えをしたときに利用したレドバンの車検場に行くことにする。レドバンはペドロランドから内陸部に40キロほど入ったところで、海の近いペドロランドとはまったく風景が異なる。茶色の地肌を見せた岩山がすぐ隣にそびえ立つ。

ここまで、オレンジとレモンの木々の並ぶ果樹園とアーティチョーク畑の間を走る田舎道を行くのだが、道中5人も売春婦を見かけた。お天道様が高いというのに、こんな時間(11時半)からすでに商売をしているらしい。一人はプラスチックの野外用の椅子持参、もう一人は背もたれと座席がきちんとクッションになっている立派な椅子を持参していた。もちろん、みなさんお弁当持ちである。

車検場の受付は混みあっていたが、長かった前の人が終わるとすぐに受付嬢がわたしたちに向かって「車検ですね?」と声をかけてくれた。イギリスと違ってスペイン人はきちんと列を作って順番を待つということをしないので、果たして到着順に応対してもらえるかが心配だったのだ。受付嬢はてきぱきとコンピュータに向かって何か打ち込み、車検料金の45ユーロ(約6800円)を支払うと、車検用紙をわたしたちに手渡しながら、5番の車検ラインに行くようにと指示した。

ここには、大型トラック用、ディーゼル乗用車用、ガソリン乗用車用、特別予約用など用途に分かれた5つの車検ラインがある。検査員も10人以上はいるようだ。

車検用紙には50項目ほど検査項目がびっしりと印刷されている。これを持って5番ラインに車に止めて待っていると検査員がやってきた。まずタイヤ周りを目でチェックする。それから車を車検ラインに進めると、コンピュータを使った排気ガスのテストとランプ類の点灯チェック。それから前に進んでブレーキの検査。さらに前に進むと、階段のついた溝が真ん中にあって、検査員が車の下に入れるようになっている。今度は下からブレーキとステアリングのチェック。15分ほどで検査が終わって、名前を呼ばれると、車検の報告書と共に車検済みのステッカーをもらい、無事車検合格。一時検査員が車を運転して前に進める場面もあったのだが、パワーステアリングのベルトはずっとおとなしくしていた。水漏れもなし。でかしたぞ。

この間、ガソリン乗用車用の5番ラインが混みあっていると判断すると、空いている別のラインを利用したり、手の空いている検査員がどんどん次の車の検査に取りかかるなど、実に手際のよい車検場だった。営業時間を見ると平日は8時から22時までとなっている。シエスタもないようだ。またまた、思いがけないスペイン人の勤勉さと能率のよさに感心してしまった。

こうして無事車検を終えて、帰路に着く。途中、道路脇のレストランに入ってタパスをいただく。ちょうど1時をまわったところで、スペイン人の昼食には1時間早い。ここのタパスは、バルセロナに比べて無難なものが多かった。サラダ類と鳥の唐揚げなど5皿を取る。魚のフライが醤油をかけて食べたいくらいおいしかった。テラスで食事をしたのだが、少し風があったものの、気温は23度でとても気持ちがよかった。レストランの裏はちょっとした崖になっていて、眼下にはオレンジの果樹園を臨む。

久々にものごとがうまく運ぶという体験(特に車関係で)ができて実に満足の半日だった。

いまだにスペイン

2006-06-08 18:08:55 | スペインの生活
ときどき先週の土曜日にスペインを出発するはずだったのだが、夫が風邪をひいて調子が悪かったので、出発を1週間延期することにした。

というわけで、いまだにスペインにいる。結果的には、父親の病気のため1週間イギリス帰国を延ばした夫の義理の妹には、自分のためにフランス行きを遅らせてくれたと感謝され、先週イギリスからスペインに到着したばかりのお隣のパットは、もう少し長く自分と過ごせるように1週間出発を延ばしてくれたと喜ばれ、みんなハッピーである。

1週間フランス到着が遅れて不都合なのは、サッカーのワールドカップだけだ。到着後5日間のうちに急いでテレビを買って、フランスのテレビ放送か、運がよければイギリスの衛星放送を受信できるようにし、開催までには家でテレビ観戦できるような体制に整えておくというのが当初の計画だった。が、1週間出発を遅らせたことで、到着するとすでにW杯は始まっているということになる。しばらくは、近所のバーの片隅でこっそりイングランドと日本を応援するということになるかもしれない。その代わり、今週の土曜日のイングランドの初戦は、アーセナル仲間と一緒に、いつものように近所のバーで観戦できることになった(それまでに荷造りと掃除が終わっていれば)。

インターネットの天気予報で、一番近い都市のボルドーの天気をチェックしてみたら、向こう5日間連日晴れで、30度を超える暑さである。土曜日に至っては34度まで気温が上がるようだ。ペドロランドよりもずっと暑そうである。避暑にはならないのは確かなようだ。