不敬な言い方ながら、犬も歩けば古い寺社、遺跡、古墳に当たる
土地柄の大和盆地です。小高い丘があちこちにあって、古墳?と
思ったら、やっぱり古墳だったりします。いたるところで、はるか古
事記の時代にまで遡るいわれのある旧跡に行き当たります。
この石上神宮は、古事記、日本書紀にも出てくる多分日本最古の神社
だそうです。古代軍事氏族、物部氏(石上氏)の氏社で、神武天皇が
危難の時に手にした剣が、物部氏によってご神体としてここに祀られ
ているそうで、ここは大和政権の武器庫であったと考えられています。
最古の公道、山の辺の道のちょうど中間地点にあります。古代のロマン
の世界が広がります。柿本人麻呂がここで詠んだ歌の歌碑がありました。
おとめらが そでふるやまの みずがきの ひさしきときゆ おもいしわれは
(少女が袖を振るという布留の山の神垣が歳を経ているように、私はあなた
を長い間恋い慕っておりました) 恋の歌です。
物部氏はやがて蘇我氏との権力闘争に敗れて衰退しますが、この神社の
霊力が非常に大きかったのでしょう、その霊験あらたかな姿は連綿と守
られてきました。今風に言えばパワースポットです。
境内のあちこちに、鶏がのんびり歩きまわり、ひっきりなしに鬨の声
が聞こえます。
効率の悪い水の飲み方をしているのもいましたよ。天の岩戸がその鳴き
声によって開いたといういわれが書かれていましたが、実際のところは
数十年前にだれかが捨てた鶏が、大事にされて増えたもののようです。
荘厳な神社とのんびり歩く鶏たち、なかなかに、平和な良い光景です。