ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

第5回倉敷ジャズストリート

2013年11月11日 | 自分のライブで


毎年すくすく育っている「倉敷ジャズストリート」、第5回の今年も大盛況でした。
ありがたいことに、ぼくは2日間で計8ステージを割り振って頂いたので、思う存分弾き倒してまいりました。
各ブースではアツい演奏が続出だったようで、客席でゆっくり聴いてみたかったと思いつつ、すでに今から来年を楽しみにしています!(鬼が爆笑している!?)


観光地として有名な倉敷美観地区内の全15会場で、のべ58バンドが出演した今年の倉敷ジャズ。
静かなたたずまいの白壁の町も、観光シーズンの到来と重なって、この時期は人出で賑わいます。
有名な大原美術館。観光客を乗せている人力車。和装の新郎新婦を乗せて倉敷川をゆっくり進む川舟。
白壁の町並みの雰囲気を味わいながらそぞろ歩く人たち。その中を、次の演奏場所へと慌ただしげに向かうミュージシャンたち。
いやがうえにも雰囲気は高まります。


 


初日の11月2日は、本栄寺と倉敷物語館で演奏させていただきました。
楽器を抱えての移動を考えて、という意味もありましたが、美観地区の空気をたくさん感じてテンションを上げたかったので、結構朝早くに倉敷に入りました。
ぼくの生家は、美観地区から歩いて5分ほどのところにあったので、この界隈は庭同然。小学校4年途中で引っ越すまでは遊び場がわりに走り回ったものです。
美観地区にはそういう懐かしい思い出がいっぱいです。だから倉敷ジャズストリートには特別な思い入れがあるのです。


 


ジャズストの開幕となる12時にはまだ客席もまばらでしたが、そのステージの終わり頃にはほぼ満席。徐々に雰囲気も高まります。
12時からの本栄寺と15時からの倉敷物語館は、岩崎恵子さんと中村尚美さんとのピアノ・トリオです。
恵子さんは関西でも知られたジャズ・ピアニストですが、今回はドラマーとして登場です。小気味よいビートと表現力に富んだドラミングはさすがです。尚美さんは「Vivant」というベースデュオ・ユニットでの相棒でもありますが、今回はニッキ・パロッタばりのベース弾き歌いでお目見えしました。ベーシストとしての素晴らしさはもちろん、スモーキーで独特のムードを醸し出すボーカルも好評でした。そしてぼくはピアノの前に座りました。
最後の2曲はピアノとドラムを交代。鍵盤を操る恵子さんの素晴らしさは言うまでもありません。ぼくは、きちんと習った初めての楽器はドラムなので、久しぶりにドラマーとして本番に臨みました。緊張もしたけれど、とても初々しい気持ちで楽しく演奏できました。
 
 「本栄寺」にて 岩崎恵子(drums,piano)、中村尚美(bass,vocal)、皆木秀樹(piano,drums)
 ←これはいつも応援してくださるあんじゅさんにいただきました。

 「倉敷物語館」にて 岩崎恵子(drums,piano)、中村尚美(bass,vocal)、皆木秀樹(piano,drums)


13時からの本栄寺と16時からの倉敷物語館は「東誠太郎トリオ」の一員としての出演です。
誠太郎さんと知りあったのはたしか高校時代です。
ずっと付き合いがあったわけではないのですが、ここ何年かは月に一度ご一緒させていただいています。
誠太郎さんのピアノは、本人は「コピーしたことはない」と言っていましたが、ボビー・エンリケスを彷彿とさせる濃厚なものです。
ドラムの船越稔さんはいつも穏やかな笑顔を浮かべている方で、ドラミングにもそれが表れている気がします。
 
「本栄寺」にて 東誠太郎(piano)、船越稔(drums)、皆木秀樹(bass)


2日目の3日は、フィナーレに17時から行われる屋外のジャム・セッションが予定されていました。
このセッションは、美観地区内に流れる倉敷川にかかる「中橋」をステージとして行われるもので、日暮れ以降の幻想的な雰囲気とミュージシャンたちの熱のこもった演奏があいまって、毎年とても盛り上がるのです。
しかし予報は降水確率60%でした。みんな雨が降らないことを祈っていましたが、やはり昼からはかなりの雨。





ところが、さすがに人通りは多少減ったものの、各会場はどこも満席だったようです。
この客席の熱気がステージで続出した熱演の原動力のひとつになったのは確かだと思います。





ぼくは、まず12時から喫茶ウエダに「東誠太郎トリオ」としてお邪魔しました。
実は「ウエダ」のお嬢さんはぼくの姉と小学校の同級生です。そして、ぼくは高校時代、「ウエダ」のお向かいでアルバイトしていて、当時時々寄っていた、という縁がありました。久しぶりに「ウエダ」の店内に入ったばかりか、演奏までさせていただき、ちょっと感慨無量でした。
 「喫茶ウエダ」にて この写真もあんじゅさんにいただきました。ありがとう!


「東誠太郎トリオ」は15時からは老舗の「アヴェニュウ」での出演です。
「アヴェニュウ」は各プログラムとも満席だったようです。
15時からのステージも立錐の余地もないほどぎっしりで、店内は暑いくらい。大勢のお客さまの温かい声援と拍手のおかげで弾き倒すことができました。





この日は、14時からアイビースクエア内の「オルゴール・ミュゼ」、16時からは「夢空間はしまや」で、山本ヒロユキ(piano)さんに中野江里子(vocal)さんを加えたトリオで出演させていただきました。
個々には仲良くしていただいているのですが、この三人での演奏は初めてです。
山本さんのロマンティックだけれども凛としたピアノはいつにも増して美しかった。
中野さんは高松を拠点に活躍している実力派ボーカリスト。丁寧に、それでいて感情たっぷりに歌いあげます。強烈なスキャットも印象に残りました。
この組み合わせ、けっこうオトナの雰囲気を保ちつつ、それでいて遊び心満載の楽しいユニットでした。
  
 
 「アイビースクエア オルゴール・ミュゼ」にて 山本ヒロユキ(piano)、中野江里子(vocal)、皆木秀樹(bass)



「夢空間はしまや」にて 山本ヒロユキ(piano)、中野江里子(vocal)、皆木秀樹(bass)

この後に予定されていたジャム・セッションは雨のため中止となりましたが、セッション会場の中橋の脇にある観光案内所に場所を移して、改めて17時から金山隆圭グループが演奏を始めます。
案内所内は歩くのが困難なほどの人、人、人。
ぼくはセッションの仕切りを担当させていただいていたので、司会進行に徹しました。



うれしいことに、ぼくの拙いMCを楽しみにしてくださる方もいたりして、楽器を持たなくとも充実感を味わうことができました。
最後は倉敷ジャズストリートの公式テーマ曲「We Love Kurashiki Jazz Street(山本ヒロユキ作曲)」でセッション。この時ばかりはぼくもステージにあがり、ソロパートでは村上知加恵さんとピアノを連弾して楽しませていただきました。
最後はたいへんな盛り上がりで、「時間の都合があるのでこれで終わりです」と伝えたにもかかわらず、曲が終わっても拍手が鳴りやみません。そしてアンコールを求める手拍子。そのお客様の笑顔と、その意味を、その時いた若いミュージシャン達はわかってくれたと思います。
悪天候の中、損得抜きで最期まで残ってくださり、演奏技術の高低よりも、全力で演奏するミュージシャン達に意気を感じて後押ししてくださった笑顔と拍手です。
きっとこの経験は、彼ら若手ミュージシャンの音楽人生をもっと明るく豊かなものにしてくれると信じています。
そして、ぼくの拙い仕切り・指示にすべて従ってくださって、深く感謝しています。


プログラムがすべて無事終了したあとは、打ち上げです。いろんな濃い話ができたし、仲良くなれた人もいたし、最後まで楽しいイベントでした。関わった皆さま、おつかれさまでした。そして大勢の方にお世話になりました。ありがとうございました。

 甘いもので疲労回復の美女ふたり。

 乾杯!おつかれさまでした。

 
濃い音楽談義に花が咲きます                            両手に名花!(^^)


気がつけば、たくさん周りにおられた先輩方の姿が見えなくなり、いつしか後輩達ばかり。そして年々好きなようにさせてもらえるようにはなりましたが、同時に耳に痛いことを言ってくださる方の数もわずかになってしまいました。
その中でジャズストに向ける自分なりの思いがあります。
それは、年齢とか役目のあるなしに関係なく、自分のできることがあれば精一杯やってみよう、ということです。


今回一番頑張ってみたことは(前回も頑張ったことだけど)、出演者・スタッフ問わず、とにかくタグを付けた人を見かけたら挨拶をするということでした。
でも反応のない人に凹んだり、気後れした瞬間があったりで、100%はできなかったなあ。そこが自分の未熟な部分です。情けないというか、悔しかったですね。でも、来年も出演の機会を与えてくださったら、これは続けて頑張ってみようと思います。
 
スタッフさんの頑張りなくしてジャズストなし                    アヴェニュウの名物お母さん


ただ「ジャズストが好き」「協力したい」というだけで、スタッフ証を持ってなくても走り回っていた方々。雨の屋外でひたすら役割をこなしていたボランティアの方々。アベニュウのバックステージで疲れ果ててうたた寝をしながらも演奏終了後から深夜の作業に立ち向かっていたスタッフ達。いろんな折衝をこなし、ただただミュージシャンが演奏に没頭できるよう陰で奮闘し続けていた裏方のみなさん。
おつかれさまでした。ありがとうございました。



この写真は本栄寺の出演時に、ステージから撮ったものです。
「いつも撮られる立場やから撮らしてもらお」とMCで冗談めかして言って、カメラを向けました。
どこを見ても笑顔ばかりです。
ぼくが演奏し続けている理由のひとつは、この笑顔を見たいからです。


正直ヘトヘトになりました。でも心からのやり切った感と、満足感を味わうことができて、幸せです。


来年は11月1日(土)~2日(日)に開催されます。その頃また美観地区でみなさんの笑顔を見たいと思います。


※写真は、あんじゅさん、森永くん、とどさん、大野さん、しばさん、ちえちゃん、上原くんにいただきました。




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コメント (2)
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