ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

ホールド・オン、アイム・カミング

2010年10月24日 | 名曲

サム&デイヴ。1992年にはロックの殿堂入りを果たした名R&Bデュオ。サムは「ブルース・ブラザーズ 2000」にも出演している。

 
 先週金曜日の夕方、一本の電話がありました。
 かけてきてくれたのは、大阪のアツ~いヴォーカリスト、うたうたいしんご君。3~4年ぶりくらいに聞いたその声は全く変わりがありませんでした。
 ぼくが体調を崩してからは、誰かに自分から連絡することすら億劫で、いろんな人に心配をかけてしまいましたが、しんご君もその心配してくれていた中のひとりです。
 電話の声は以前と同じだったけれど、ここ数年は彼も心身ともに大変だったらしく、自分のことで精いっぱいだったぼくは、周りが見えていなかったことをちょっと情けなく思ってしまいました。見えないところで必死に踏ん張っている人はおおぜいいるんですよね。


 しんご君は大学時代から大阪を拠点に活動している、経験豊富でソウルフルなシンガーです。
 ロックやR&B、フォークなどの影響を強く受けつつも、自分のスタイルを持っていて、ハートのある歌を聴かせてくれます。
 とにかく「アツい」歌い手で、つねに全力投球する彼の姿勢には大きな共感を覚えました。なにせ、リハーサルから汗だくになるくらい燃えているんです。「オレはこんなことを思い、こんなことを感じ、こんなことを伝えたいんや!」というのを放射しまくっている、とでも言ったらいいのかな。


     
     うたうたいしんご(vo)


 彼を紹介してくれたのは、下茅良君という素晴らしすぎるギタリストです。彼は、感性、テクニック、知識、音楽に対する姿勢、どれを取っても日本のトップクラスにひけをとらないミュージシャンです(しんご君は下茅君について「世界に羽ばたく人やと思っています」と言ってました)。
 下茅君は、ジョン・ロートン(元ユーライア・ヒープのヴォーカリスト)をはじめとする多くのミュージシャンと共演した実績がありますが、最近では、とある歌い手さんのレコーディングにも参加したそうです(もしぼくがその歌い手さんから声がかかったとしたら、嬉しさのあまり冷や汗出まくりです、きっと)!(^^)!。このニュースを知った時はなぜかメッチャ嬉しかったな~
 彼らには、もっともっと広い世界へ出ていって欲しいです。


     
     下茅良(g)


 当時彼らからは、何かあると声をかけて頂いてました。大阪にも凄いベーシストはたくさんいるのに。本当にありがたい、素敵な体験ばかりでした。大阪までの移動なんてちっとも苦じゃなかったですね。むしろ道中からウキウキしてました。
 彼らとのステージを収めた音ネタや映像が多少は残っています。時にはそれを取り出して、あの楽しいステージを思い出していた矢先の、しんご君からの嬉しい電話でした。




 「ホールド・オン、アイム・カミング」は、アメリカの黒人音楽界の名デュオ、サム&デイヴが1966年に放った、R&B史上に残る名曲です。
 荒々しくダイナミックなヴォーカルが魅力のこの曲は、黒人の体臭というか、汗臭さがよく表れていて、その虜になった多くのミュージシャンによって今でもよく取り上げられています。


ホールド・オン、アイム・カミング (Hold On, I'm Coming)
■作詞・作曲…アイザック・ヘイズ&デヴィッド・ポーター (Isaac Hayes & David Porter)
■歌……………サム&デイヴ (Sam & Dave)  
■1966年

悲しんだりしないでくれ
うまく行ってない時は俺を頼りにすればいい
その日が来てお前が疑っているなら
トラブルの川に入って溺れそうになったら

頑張れよ、頑張るんだ 俺が行く、俺が行くから
頑張れよ、頑張るんだ 俺が行く、俺が行くから

恋人の俺が今そっちに向かっている
寒くなったら お前を包んであげるよ
心配しなくていい 俺がそばにいるよ
苦しまなくていいんだ

頑張れよ、頑張るんだ 俺が行く、俺が行くから
頑張れよ、頑張るんだ 俺が行く、俺が行くから

満足したかったら 俺に手を伸ばしてくれ
俺の名前を呼んでくれたら 素早く反応するよ



キャロル・キングの「きみの友だち」を連想させるような歌詞ですね。
表現方法こそ違え、肌の色はさまざまでも、思うことは同じなんですね。
「苦しい時、辛い時は、遠慮せず頼ってくれていいんだよ」
今度はぼくがこういうふうに思う番なのかもしれません(そんな力はまだないかもですが・・・)


 下に貼ったのは、2005~2006年頃の、うたうたいしんご君のライヴでの「ホールド・オン、アイム・カミング」です。この曲もしんご君の持ち歌のひとつ。全力で音楽に没頭する彼にピッタリの曲だと思います。歌詞の内容も、しんご君の人柄とクロスオーヴァーしているような気がします。
 ぼくにしては珍しく録音データを書き残していないので詳細は思い出せませんが、場所は大阪市梅田の「お初天神通り」にある「amホール」だと思います。


     
     うたうたいしんご&下茅良


 イントロは、ベースがルバート(テンポ・フリー)でソロを弾き、そのままイン・テンポでリズムを出し、ドラムの合図でみんなが被ってくる、という仕掛けだったのですが、確か下茅君が即興で絡んで来たので、ベースとギターの思わぬバトルとなりました。とてもスリリングでしたよ(^^)
 バトルの終り頃にしんご君が「長いなぁ~(^^;)」って言ってますが、これは大阪ならではのツッコミでしょう(^^)。ぼくはインプロヴィゼーション(即興演奏)に没頭してしまったので、提示しなければならないテンポが頭の中に出てこなくなってアセってしまい、テンポを思い出すために演奏で時間かせぎしようと思って(つまり、弾きながら思い出そうとしたワケです)、アドリブを続けすぎたんです。また、演出として派手めに弾こうとしたあまり、ベースをややギターっぽく扱ってしまってますね(汗)。フレーズにも手詰まり感があって、そこらあたりが反省点だと思っています。


     
     minagi(b)


 この時はリハの時間も無いに等しかったのですが、それでもこうして聴き返してみると、みんなの底力を感じます。初顔合わせのメンバーもいたのですが、かなりの連帯感があるな~。たぶん、みんなの価値観に「ステージではファミリー」と言う意識が合ったんじゃないでしょうか。
 記憶に残っている演奏のひとつです。




演奏…うたうたいしんご & ART SOUL BROTHERS
※PCから聴く場合はイヤホン、ヘッドホンなどをお使いくださいませ(^^)



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コメント (4)
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