美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

大瀧詠一、エルヴィスを語る(1)

2019年09月29日 23時21分42秒 | 音楽


*大瀧詠一いはく「自分はエルヴィスで産湯をつかった」「1956年にメジャー・デビューしたエルヴィスに、それまでのアメリカのポップスが凝縮されている」。などなどの発言から分かるとおり、大瀧詠一にとって、エルヴィス・プレスリーはとてつもなく大きな存在だったのです。付け加えれば、大瀧詠一とともに「はっぴいえんど」を事実上のリーダーとして結成した細野晴臣氏は、大瀧氏に対して、当時の同氏を振り返って「あなたといえば、どうしてもエルヴィスを連想するんだよね。あの、とても似ているんだけど、なんというか、ちまちまっとした、あの大瀧‐プレスリーは、とても強烈だったんだね」。〈大瀧詠一といえばプレスリー〉というのは、当時の松本隆も共有していることのようです。以下は、『大瀧詠一 writing & talking』 からです。

***

Elvis Presley - Hound Dog (1956) HD 0815007


『ハウンド・ドッグ』の出だしで、エルヴィスの声にしびれ、意味は分からなかったけれど、怒鳴っていることは当時小学生だったボクにも分かったので、一緒に大声をあげて怒鳴ったものでした。気持ちがスカッとするんですよネ。「お富売ビスさん」や「夕焼けとんび」では味わえなかった解放感でした。

*「お富さん」は春日八郎の、「夕焼けとんび」は三橋美智也の、それぞれ代表曲です。

《怒鳴ること!》
これがロックの第一印象でした。
ユエン ナズバラ ハンド―
友達のひとりは、ナズバラをナバラスと歌っていましたが、ひょっとすると、
所以 夏薔薇 反動
と歌っていたのかもしれませんが、何はともあれ気張って歌うのがロックである、という認識をこの曲が与えてくれました。このシャウティング・スタイルがエルヴィスのロック、タイプⅠです。「監獄ロック」「冷たい女」「恋の大穴」と初期の頃しか聞けません。

もちろん、中・後期にもその時々のシャウト唱法は聞かれますが、〈絶叫〉ということになると、喉チンコが見えるほど口を開けているジャケットが示すとおり、初期に限るようです。

監獄ロック/エルヴィス・プレスリー

冷たい女

エルヴィス・プレスリーElvis Presley/恋の大穴A Big Hunk o' Love(1959年)






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