マキペディア(発行人・牧野紀之)

本当の百科事典を考える

報告(「真意と諧謔」)

2010年03月05日 | 読者へ
 遂に、ヴィンクラー著関口存男注釈「真意と諧謔」のコピーを入手しました。多くの皆さんのご協力に感謝します。

 手に取って見ていたら、どうも様子が他の注釈書と違うので、「変だな」と考えました。そして、気づきました。「これはあの『語学苦心談』で『duで呼び合う只一人の人』と言っていたオーストリア人ではないかな」と。そうでした。

 「既に22、3歳の時、幸いにして在京のオーストリア人の Leopold Winkler (レオポールド・ヴィンクラー)君というのが、同じ大久保に住んでいたので、この人としょっちゅう交際することになったのが非常にためになりました。この人は今でもいますが、du で話す関係のドイツ人というのは今でもこの人きりです」(『趣味のドイツ語』338-9頁)。

 「それなら『関口存男の生涯と業績』にも寄稿しているのではないかな」と考えました。ありました。Der Hingang eines Freundes(友の死)という題でした。上智で知り合ったとありました。関口さんが生徒で、ヴィンクラーさんが先生で。しかし、関口さんの才能と実力を最初から認めたヴィンクラーさんはduで呼び合う関係になったようです。年齢もさして違わなかったようです。

 8頁のドイツ語の追悼文ですが、後半になるとヴィンクラーさんの悲しみがひしひしと伝わってきて涙が出ました。

 この追悼文集はほとんどが関口さんの子どもや孫とか生徒とかが書いていて、同年配の人は極めて少ないのです。ヴィンクラーさんの文を読めば、「1917年ころの関口さんのことを聞いておこう」と考え、実行する人がなぜ出なかったのでしょうか。とても不思議で残念なことです。

 私は、「関口ドイツ文法」の校正を続けます。3月末に終える予定です。これしか私には供養の方法がありません。

2010年03月05日、牧野 紀之
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