マキペディア(発行人・牧野紀之)

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暗誦主義のドイツ語教育

2021年09月07日 | 読者へ
   暗誦主義のドイツ語教育


 視力の方は相変わらずですが、少しずつ慣れてきました。10日に次の診察があります。
 さて、眼の問題で苦しんでいる間に、或るきっかけで、自分のドイツ語教育を反省することになりました。
 同時に、大学で 
のドイツ語教育がジリ貧状態にあるという現実を知って愕然としました。
 そこで急遽『暗誦と文法でドイツ語マスター』という自習書を作っています。
 その小冊子の「はしがき」に次のように書きましたので、それだけをお知らせしておきます。9月7日 牧野 紀之

 始めに
 先に『辞書で読むドイツ語』という入門書を出して、 書名が好かったからか、お陰様で売れ続けているようです。しかし、著者としては、「独文読解の練習用のテキストが少な過ぎた」と反省していました。しかし、そのための具体案も浮かばないまま時だけが過ぎていました。
 しかるにこのたび「二八の言語で『星の王子様』で言語学をやる」とかいう本の広告を見て、関口存男(つぎお)の「語学はとにかく慣れることだ」という言葉を思い出し、更に「慣れるには暗誦が一番」という説も思い出して、本書のような指導法に辿り着いたわけです。

 多くの初等文法の授業では、単純な文を提示して、それをニ三回音読して文法の説明をすると思います。これのどこが悪いかと言いますと、例文が死んだ文であり、生徒の身についていないことだと思います。逆に、今回の我々の方法ではいきなり「生きた文」を取り上げます。しかもその文を文意もわからない内にスラスラ言えるようになるまで、暗誦するのです。何か、子供が母語を覚える過程に似ていると思いませんか。多分、子供はこういう過程を無限回繰り返しながら間違っているところは自然に気付いて治しながら、母語を身につけるのでしょう。我が家の子も最初は「作る」という語を「くる」と言っていましたが、自然に「作る」になりました。
 大人が外国語を学ぶ過程は子供の母語習得と完全には同じではありませんが、根本は同じでしょう。つまり「生きた文を暗誦して身に着けた上で、それを頭で理解する」という順序」です。
 大学で教えていた頃にこれに気付いていたら、もっと良い授業ができたのに、と後悔することしきりです。一週に90分ヒトコマの授業であっても秋には独検3級の合格者をかなり出せると思います。と言うより「ドイツ語の勉強は面白い」という感想を多くの学生に持ってもらえるでしょう。(私の授業では、中間に15分程度の『休憩』があり、さまざまなことをします。また、頻繁に学生の意見を聞いて、それを元に『教科通信』を発行します)

 さて、本書につぃて少し説明します。分かりやすさと暗誦のしやすさを考えて、ひとまとまりの塊ごとに区切り、番号をふりました。
  必ずその独文の1(ヒト)塊をスラスラと諳(そら)んじれるまで練習してから、説明を読んでください。また第1節が終わってもすぐに第2節には進まないで、第1節全体をスラスラ暗誦できるまで復習してください。『星の王子さま』をドイツ語でスラスラ言えるなんて、スゴイではありませんか。

 又、ドイツ語文法の説明に英文法等を引き合いに出すのは私の特色ですが、文法というのは本質的に比較文法であり、従ってその方が分かりやすいし、いろいろな事が考えられて勉強になると思うからです。



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