植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

暑くても川にはいかないで

2023年07月22日 | 時事
またしても痛ましい事故が起きてしまいました。

夏休みに入る直前、福岡県宮若市の川で小学生高学年の女の子3人が溺れて亡くなりました。友達8人で川遊びに行って、浅瀬で遊んでいるうちに4人が深みにはまって流されて一人だけは助かったのだとか。親御さんの心情や悲嘆は察するに余りあります。


ワタシが60年経っても忘れられない光景があります。

まだ小学生3,4年生であったろうと思います。その頃、ワタシの一家は大分県大分市のI町というところに住んでいました。教員をやっていた父は、田舎の借家住まいから子供の教育のため、と大分市にローンで土地を買い一軒家を建てて越してきたのです。その場所は、大分湾に面し、大分川とその支流である「裏川」に囲まれている「三角州」と呼ばれる地形の地区でした。

家からは「裏川」は200mほどの近さで、地元の子供となじめなかったワタシは、一人でこの川でしょっちゅう遊んでいました。流れが緩やかで海が近いこともあってほとんど砂地の川でした。石を持ち上げたり、ゴミの陰に隠れている手の長い川エビを捕まえて持ち帰ると、母親に褒めてもらうのが楽しみでした。毎日のように川に行くので、地形は頭に入っていました。流れは緩やかで対岸まで20mくらいでしたか。海が近いので潮の満ち干の影響から、水位が変わるのです。中央に干潮時は水面上に現れる中州があり、大きな岩があってそこまではひざ丈位の浅瀬でありましたが、そこから向こうは深いのです。ワタシ達のすむエリアから見れば川は向こうに曲がっているので、遠心力で流れが速く砂が掘られて深くなっているのです。

そしてある夏の日、その事故が起きました。近所に住む幼稚園児が三人、裏川で溺れたのです。一人は「かこちゃん」と呼んでいた活発で歌の上手な娘で、たしか母子家庭・借家住まいでした。四六時中元気に歌をうたっていて、まわりのみんなから可愛がられていました。もう一人は、すぐ隣の裕福な家の子供と、あとの一人はもう思い出せません。ワタシの家からすぐのそのお金持ちの家の縁側に「莚(ムシロ)」が敷かれ、三人の幼児が横たわっていました。まだ引き上げられたばかりで、髪も洋服も濡れて全身が砂にまみれていました。自分が亡くなった人をみたのは初めてであったのです。

明るく人気者でさっきまで歌っていたかこちゃんが、青白い顔で目を閉じて冷たい骸になっている、その顔が今でも思い浮かぶのです。お金持ちの子も貧しい家の子供も3人とも並んで・・・・・
聞いたところでは、こちら側の川岸で遊んでいて、砂地の間を小川のように細く流れ込んで池のようになっている場所に入ったそうです。そこで深みにはまったのを助けようとして次々に引き込まれたのだとか。ワタシはその場所もよく知っていました。川岸の際まで笹が生い茂り倒木が浸かった場所で砂地で足がもぐりこみ、すぐ深くなっているのです。そこだけ水の色が暗く青いのでとても深いことを感じて、入ったりはしませんでした。恐らく大人の背丈ほどの深さであったろうと思います。

その時から「川は怖い」と心底思いました。親も、一人や子供たちだけで勝手に川に行かないよう、うるさく戒めていました。数年後父と裏川の土手を歩いていた時、中学生の一団が騒いでいました。一人が溺れて見えなくなったと。
その瞬間に父親はパンツ一丁になって川に飛び込みました。一分もかからずためらうことなく水に潜り、川底に沈んでいた男の子を救いあげました。その場で人工呼吸をして彼は助かったのです。

それだけではありません。その年だったか、家から公道を挟んだ十数メートル先の家が「全焼」するという火災がありました。冬の夜中でしたが、真っ赤に立ち上る炎、焼け落ちる古い木造家屋が眼前に有って恐ろしい光景が目に焼き付きました。

まだあります。
富士航空機墜落事故でした。
昭和39年2月のことですから、やはりワタシが小学校の3年生だったでしょうか。学校から帰って北に真っ黒な煙が上がるのが見えたのです。自転車にまたがって煙の見える方向へ漕ぎ続け多分30分以上かかりました。当時大分空港はこの三角州の地域にあったのです。その河口付近までたどり着くと、火に包まれ燃え盛る機体が見えました。その時点では鉄骨くらいしか残っていませんでしたが。そろそろ夕焼けがかかる時間帯で、黒煙と炎と青い海・夕焼けがある意味美しく見えました。着陸した小型プロペラ機がオーバーランしたのです。亡くなった方は20人、逃げられたのは22名だったそうです。

今考えると、簡単には忘れられない、そうは滅多に起きない大きな災難・事故だったのです。裏川とその近くでわずか2年位の期間で起こったことでした。
それから数十年後、その裏川はいったん堰き止められ、埋め立てされて公園や宅地化されたそうであります。

それ以降そんなショッキングな現場に遭遇した記憶はありません。
ワタシの家の裏手は相模川で、過去何回かは死亡事故があり一度は人が浮いていたこともありました。上流は砂利や川砂の採掘があって極端な深みがあるのだと聞きました。夏には河原でBBQをやり、酔っ払って川に入った大学生がそのまま溺れたりもしました。ワタシはこの相模川には絶対に足を踏み入れません。危険だからではなく「汚い」からであります。

繰り返しますが、川は怖いのです。早い流れがあり深みがあり足を取られ滑るのです。
いくら暑くても涼を求めて川に行くのはやめてください。冷房がきんきんに効いたショッピングセンターが一番です。タダですし、少なくとも溺死する心配はありません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする