植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ついに巡り合えた「丁斎」さん 前編

2023年02月09日 | 篆刻
最近にない快挙でありました。

このところヤフオクでの印材蒐集が、なかなかいいいものに出会えず、いささか「ハズレ」を引いている感が強かったのです。ところが、1週間ほど前に、ワタシの郷里「大分の日田出身」の篆刻家さん「艸炎」先生の印がまとめて出品されているのを見つけて落札したことで潮目が変わった気がします。
68本まとめて15,000円なので、一個あたり220円、それで篆刻家さんが用いる良質の印材が入手出来て更に一級の篆刻の技術が学べるのですから安いものであります。

そして、同じ時期にヤフオクの出品物で発見した「石印材まとめて」41本であ
ります。ほとんどが使用印(刻あり)で詳しい説明がなく写真で判断するよりなかったのです。

ワタシが石印材を集める目的と着目点は①実際に練習用・作品用に使えるか ②篆刻の専門家の側款があるか ③持ち主(出品者)がどういう人か ④中に田黄や鶏血など高級印材が含まれているか ⑤石自体に薄意や紐があるか ⑥いつ頃の時代の物か などであります。
ちゃんとした書道家は専門家に依頼して作った印を使う=篆刻家の側款がある=一定以上のレベルの石を使う=その印を使っている人は他にもいい印材を保有している、といった理屈であります(笑)
まとめて出品されているものは良材駄石が混じっていますが、一本でも優れた石が入っていれば(確認できれば)、他にも同様の石が含まれる確率が高いのです。

それで見つけた印が41本で10人ほどの「ウオッチ」がついていました。出品者さんは、リサイクル・廃品処分業者さんらしく、他に印材の出品はありません。説明書きを見る限り「篆刻・書道」に関しては素人と見ました。

ワタシがピンときた石が3つ。その2つが「谷苑道人」の側款がある印で、一つは微透明の自然石形の印で、紐がありました。素材はやや雑味があるものの凍石の一種であります。もう一つが広東緑の角材で同じく谷苑さんの文字が彫られています。
そして最後の一つが赤茶けた素朴な紐付きの石でした。一切透明度が無いレンガ色の石は、ねっとりした凍石系の石が一流ともてはやされる中、ほとんど顧みられませんが、それでも月尾紫・馬肉紅など希少石もあります。その小さな石に見つけたのが「丁斎」の作款でありました。

これは探し求めていた偉大な印人「梅舒適 」先生の雅号がある篆刻印ではなかろうか!?であります。というよりほとんど確信しました。これは間違いなく近代篆刻界を代表する先生の作だとふんで、必ず落札しようと思ったのです。篆刻家さんの作款がある石印が、出品物のほとんどであったことからもそれを裏付ける材料でした。

落札期日の最終の時間が過ぎて、いくつか追加の入札があって時間が自動延長されます。もうとっくに寝る時間の夜9時半を過ぎましたが、もしその時ワタシが上限で入れていた「41,000円」が更新されたら、再度入札せねばと思っていたのです。予算は5万円、と考えていたのです。幸いにして入札者は8人、最後まで競ってきたのは評価点が499と5737点の二人でしたが、やはり茶色の「丁斎」に気づいた人はほとんどいなかったと思え、10時23分にワタシが落札出来ました。落札額は「35,500円」とワタシにとっては高額ながら、予定をかなり下回ったのでとてもラッキーだと感じました。

そうして昨日到着しました💕。
これが谷苑さん、つまり喜田谷苑 さんの手になる姓名印で刻字は 「荻」「仁輔」とあります。もうこれだけで2万円以上の価値があります。

更にお目当ての「丁斎」さんの印

紛れもない真正の品と見えますね。「荻舟」と彫られ、中国地方の書道家さんであることはほぼ間違いありません。

加えて驚いたのがこの1㎝弱の2本の側款が「藍川刻」、あの中島藍川先生ではないですか!!

これは思った以上の「お宝」なのです。これだけでなく他の30本ほども、素晴らしい石や作者であるように見受けられ、子細に調べるまでもなく「望外の幸せ」と言うべき品々であったのです。

どきどきが止まりません。その内容は明日に譲ろうと思います。
コメント
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