植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

原石を磨く その2 品物は小分けしたら目方当たりの単価は上がる

2023年02月03日 | 篆刻
大きな石を切って通常使うレベルまで小さく小分けしようという試みであります。
何でもそうですが、品物として店頭販売されるものは、小分けしたり小さく切った切り身になるほどグラム単価は上がります。それだけ手間暇かけるし、容器や包装も付加されます。マグロを一頭買いしたら、それを捌いて小売りする時、食べられない部分(皮や骨)を外すのだから、食べられる部分は減ります。血抜きし、小骨を取り筋を除いて刺身にして食べるまで手を掛けたら何倍も高くなるのが道理であります。和牛なども意味は同じであります。

そこで、先日公開した①「薄意」彫りありの大石2㎏、先日届いた②鶏血石もどき、そして今回入手した③芙蓉石の原石丸石を鉄鋸で切り刻み、落款に使う程度の大きさ(高さ5~6㎝で7分・2㎝角程度)にして、観賞用や投資用(笑)ではないサイズに変えて付加価値を高めようというわけであります。

②の「鶏血石」もどき、を切断してみました。もう一つ切って3個に分け、それぞれを磨くと「あーら不思議」見事な本物の鶏血と見えるのではないか、と期待しているのです(笑)。


そして先日墨文字製作所から購入した「原石の破片・端材(50g前後)」が大体一個700円ほどでした。

もう一つが、大きな手付かずの原石1.1kgが4,500円であります。
梱包を解いてサランラップで包まれた現物がこれです。

もし、この両者が同じ採掘坑から採取して仕入れてきた同じような性質の石(芙蓉石)ならば、端材が20個以上取れるので、下の石は15,000円位でもおかしくないのです。

まず、臭いがキツイしベタベタしていました。購入時の写真では石全体が、ツヤツヤ光って見えた訳がこれ、油を引いていたのです。機械油ではなさそうですが、こんなにベタベタしていたら仕事に支障が出るので、とりあえず台所用洗剤で洗いました。
第一印象は「厄介な代物」であったのです。珍重される田坑・水坑の石ではなく、山の洞窟や掘られた坑道の壁面からつるはしで撃ち落としたように見えます。残念ながら不純物で硬い石層が多く、印材として使えそうな均質で不純物が無い部位は、大目に見ても4割ほど、つまり半分以上は削って捨てることになりそうです。

しかしながら、表面にわずかに露出している地肌部分は、他の寿山石とは、明らかに異なる半透明で黄色味を帯びているのです。これは印材の王様田黄石や、類似した石を今でも産出している「杜陵坑」や善伯洞などの名石に共通する特徴であります。田黄石は、そうした近在の寿山系の山から転がり出た石が水に現れ角が取れ、石皮を纏ったものなので「出所」は一緒なのです。

狭義の田黄石は、田坂の畑の中から出土したもの、と定義され、今やその資源は途絶したとされております。真正の物が見つかると同じ目方の金と同等かそれ以上の値段が付いたと言います。また、それが自然に削られ丸まっている自然石ですから、この原石が田黄石であるはずがありません。第一幾人もの手を経て、日本に輸出されてきたものですからその素材の優劣を見誤るはずも無かろうと思います。

客観的に見ると、ネットで紹介されたり販売されたりしている「田黄石の原石」と大変よく似ている。人工石ではない自然石で、寿山石であることはほぼ間違いない、といったことから、俄然やる気が出たのです。試しに少しきれいな部分を研いで磨いたのがこれです。

これには、お金と時間をかけて、削って研ぎだしし、磨き上げる価値がある、とにらみました。そこで早速近所のホームセンターに走り、篆刻家には必要が無い「石工」や建築現場で使う工具を買って参りました。

あとは、すでに大きな印の印面を潰す為に使っている床磨き工具「ベルトサンダー」が、コイツに刃がたつかどうかがカギになりそうです。

本日はこれまで。続編を乞うご期待
コメント
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