植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

原石を磨く その3 「カシプロジェクト」発動

2023年02月07日 | 篆刻
原石をいかにして削り出し、疵一つ無い「玉の肌」=完ぺきにするかの壮大な実験を始めたのであります。

完璧は、瑕の無い玉のことで、転じて(ワタシのように)欠点や不足が全くなく、非常に立派なことを指します(爆笑)。その漢字は「壁」でなくて点がある「璧」であります。 ここで完璧の語源になった話をちょっと紹介します。
それが「和氏(かし)の璧(へき)」という中国は春秋時代(紀元前770年頃から約3世紀半)の韓非子に出て来る逸話であります。

「卞和( べんか)」という平民が見つけた原石を時の皇帝に献上したが、それに仕える専門家が雑石と鑑定したので、怒った王様は卞和の左足を切り落とさせた、その王の後継者となった武王に再度献上したらやはり同じで、今度は右足を切り落とさせたのです。そして、その後即位した文王が、泣いて訴える卞和の話を聞いて、試しにその原石を磨かせたところ、世にもまれな美しい「玉」となった。それで「和氏の璧」と命名し、卞和を讃えて詫びたのです。
後世になって他国の王のもとに渡った玉は、隣国の王が15の城と引き換えに欲しいと持ち掛けたのだそうです。臣下が持参して調査したらそれが計略と判明し「璧(へき)を完(まっとう)する 」つまり、騙し取られずに無事持ち帰ったという故事から「完璧」という言葉が生まれたと伝えられているのです。

このエピソードは、捉え方によって様々な教訓や示唆に富んだ話ですが、ここでは割愛いたします。また、この文意だけでいえば「完璧」は疵の無い玉という意味では無かったようですね。

この原石を、仮称「カシ」と名付けて、玉の石へ削るプロジェクトが本日5日目になります。入手時の目方は1.1㎏でありました。


目的は4500円の印材用のヨウロウ石(ふれこみは芙蓉石)の原石を壊し、細かくして削って磨いて篆刻用石印材にし、あわよくば田黄や杜陵坑・黄芙蓉石といった風合いになれば最高、というところです。
そして条件と言えば
①実用になる強度と彫りやすさが備わる
②磨いたら艶が出て美しい
③通常の印材の形と大きさになる
なので、石材自体が、印刀の刃がたたない、割れやすくてぼろぼろ崩れる、砂礫や石英質などの雑質で刃が引っかかるのはアウトであります。ひびが入っていてもも篆刻には向きません。この原石がそれに合致するか否かは、やってみなければわかりません。1.1㎏の石が結局は粉と小さな欠片になってしまい灰燼に帰する可能性も十分にあります。

実はこの石にかかる前に、そのノウハウを蓄積するためにウォームアップがてら数個の小さな破片を磨くという実験をやっておりました。

これが試作品1・2号

やってみると、これがなかなか厄介で骨の折れる仕事だったのです。
続きは、また後日に譲りましょう。

コメント
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