植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

226 戦争を思う日

2023年02月26日 | 時事
昨年の昨日、プーチンがウクライナに攻め入った時の感想をのこしてありました。なんの予見も無く、感じたままを書き連ねていました。この時の文を読み返すと、その後の想像できなかった展開が二つありました。

一つは、数か月でロシアがウクライナを蹂躙し陥落させるだろうと予想したこと。もう一つがプーチンと一見して密月関係を築いたかに見えながら、北方四島は返還しないと拒絶して真っ青になっていた安倍元総理が、この世にいなくなることでした。

ウクライナは、大統領の指導力が傑出していて、元コメディアンという経歴で甘く見たプーチンの目論見が大きく外れました。核をちらつかせていればおいそれとロシアには手出しできないだろう。ドイツなどに大量に供給している天然ガスパイプラインが途絶えたら困るのはドイツはじめ欧州各国だ、と高をくくっていたに相違ありません。

しかし、このままロシアの残虐で自分勝手な侵略を見過ごすことが、東西陣営のバランスを崩しかねない、ヨーロッパのNATO諸国にとって更に大きな脅威になることが共通の認識となって、ウクライナを多方面から支援する体制になりました。これがクリミア半島侵略併合と大きく異なる点であります。

結果として一時圧倒的な兵力で南東部を蹂躙されながら一定のラインで押しとどめ、今や占領されたエリアも奪回しつつあります。ロシアでは既存の正規兵では事足らず、民間の軍事会社ワグネルを活用し、囚人を特赦を条件に戦場に駆り出し、それでも足りなくなると予備兵・未熟な新兵まで戦地に送るようになっています。

地上戦での主役たる戦車は、旧式最新式を問わず大半が破壊され、また放置してロシア兵が逃げ出しているそうです。ミサイルや砲弾も徐々に枯渇しつつあると報じられています。明らかに戦況はロシアに不利に傾いております。この間の死傷者数は両国合計で20万人を超えているようであります。当地平塚市の人口が約20万人なので、ワタシの町で計算すると5人に一人しか生き残っていない計算になります。

旧ソ連は第二次大戦中、兵隊・民間人合わせて約2100万人が亡くなったそうです。これに比べたら10万人程度の死者など大した数ではありません。歴史上の指導者の多くがそうであったように、支配する国の民がどれだけ失われようともなんの痛痒も感じないのです。

さて、それでもこのところバイデンさんなどの隠密行動でウクライナ訪問があり、中国の王毅さんなどが西側諸国を歴訪しています。そろそろ「停戦」しないとマズイ、あるいはプーチンが劣勢にプッツンして核兵器を使用するのは避けなければなどの思惑が働いて、両国の後ろ盾となるアメリカ・中国が事態の終息に動き出したと見えます。

両国間の話し合いだけでは片が付きません。多くの国の利害と力関係によって非常に複雑な解決方法が模索されているでしょう。そこには多くの水面下での密約が交わされ条件提示が繰り返されます。

元毎日新聞記者の西山太吉さんが一昨日亡くなったそうです。戦後の後処理を巡って、沖縄の米軍基地で核兵器持ち込み・米軍キャンプの原状回復費用をアメリカ負担と合意しながら実は日本が肩代わりする、その額400万$という密約の存在を知った西山さんがすっぱ抜いたのです。彼の行為が有罪となりながらもその半生をこの問題に費やし、アメリカの情報開示制度のおかげで西山さんの主張が正しかったことが証明されています。

今日は2月26日、昭和11年、すでに世界的な紛争や戦争の靴音が響いてきた二次大戦前夜です。日本の青年将校が蜂起し、兵を率いて高橋是清さんなど政府の要人を殺害した事件であります。義母がその朝の事を思い出して、ワタシの息子に「外を若い将校さん達が歩いてらっしゃるなぁ、と思ったら226事件だった」と語ったそうです。

戦はいつまでもいつまでも消えてなくなることがないことを噛締める朝であります。
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