内容はペルー戦よりよかった。小野のコンダクターぶりは「らしさ」を感じさせたし、小笠原も前へ出る積極性を見せた。ではなぜ負けたのか? ペルー戦と同じ戦評になるが、これが日本の実力だからだ。
日本の戦いぶりで特に目を引いたのは、前半に見せた幾度かのコンビプレーだった。中盤の高いゾーンで3人がワンブロックになり、ダイレクトプレーをからめて切り崩す速い動きをする。第3の動きがなければできない形だ。
こういう積極的な仕掛けを増やし、あとはサイドをからめて行けば自然に道は開けるだろう。惜しむらくは、まだそれが単発で終わっている点である。
たとえば小野のゲームコントロールにしても同じだ。小野自身は光っていたが、「日本代表がいい」のとはちがう。しょせんは小野という個人の単発だ。小笠原も積極的にペナルティエリアに侵入し、一発を狙う動きをした。だがこれも小笠原単発の動きである。
重要なのはこれら単発のプレーが連続して押し寄せ、ひとつの大きなうねりになる時間帯を増やすことだ。でなければきれいな打ち上げ花火が一発上がり、「ああ、きれいだったね」で終わってしまう。
特に前半、中盤で3人がワンブロックを構成したユニットでの崩しに私は光明を見た。だが大切なのは継続だ。繰り返しこのトライをし、揺さぶり続けることである。ところがこの日は後半になると、そんな動きはパッタリ消えた。前にかかる時間帯そのものはふえたが、いかにも付け刃な感じだった。
結局、あれはチームとして意図したものではなく、個人のひらめきがたまたま集積した結果だったのだろう。ひらめきで勝つのは選手冥利につきるが、同時に90分間、「ひらめき続ける」のがむずかしいのもまた事実である。
攻めのリズムとしては、ゆったりとしたつなぎから、キュッと速くなってフィニッシュに行く南米なノリになっていた。「らしいなあ」とは思ったが、これって王者の戦い方なんだよねえ。その「キュッ」とスピードアップする時点では、すでに敵は勢揃いしてナイフを構えて待ってるんだから。
あれだけ陣形を整える猶予を与えちゃ、切り崩すにはかなりの鋭さがいる。アルゼンチンみたいにゴール前で速いダイレクトパスを4本つなぐ、とかさ。しかしいまの日本には、それって高望みにすぎるだろう。
前半、UAEはFWがからんだ動きが怖さを感じさせた。「まかりまちがうとやばいな」とは思った。だがチーム全体としてはまだ未成熟な印象で、「たぶんまかりまちがうことはないだろう」と踏んでいた。
だが最終的にはやっぱり、まかりまちがってしまった。このまかりまちがいを許したのも、やはり日本の実力である。
相手ボールになったとき、前半から日本は中盤でボールウォッチャーになる瞬間がよくあった。集中力が切れるのだ。そして疲労が蓄積すれば、集中力が切れる時間帯はますます長くなる。
後半の半分をすぎ、あの失点のケースではそれがピークに達していたのかもしれない。いわゆる攻め疲れってやつだ。しかし守備者の人数はいても、あれだけボールと人に寄せて行かないんじゃ、やられて当然だ。
失点から2分後、坪井OUT、本山INで4バックにして以降は、ビルドアップに苦しむ場面もあった。チャンス自体はけっこうあったが、サイドが生きない。私にはあれが本来の形だとはとても思えない。戦況にあわせて陣形を変えた時点で、すでに勝負あったという感じだ。あの方針変更は決して先手を打つものではなく、あくまで後手を踏んだ結果である。
小野が象徴しているように、このチームは人が変わればガラリと別のチームになる。セレクション型のチームの典型だ。だが人という単発の威力は加わっても、結局はそれがチーム総体としての怖さに化学変化しない。
みなさんは何がこのチームを変えると思いますか? 「問題点をわかっている中田英が入れば」、「中村が合流して核ができれば」。イメージできるのは、すべて人、人、人という単発にすぎない。
それでもなんだかんだで予選は突破できるだろう。だがはたしてW杯のド本番で、単発のひらめきは大きな輝きとして結実するのだろうか?
予選終了から本大会まで、一定の時間はある。残された猶予は少ないが、何かを変えるとすればそこしかない。
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日本の戦いぶりで特に目を引いたのは、前半に見せた幾度かのコンビプレーだった。中盤の高いゾーンで3人がワンブロックになり、ダイレクトプレーをからめて切り崩す速い動きをする。第3の動きがなければできない形だ。
こういう積極的な仕掛けを増やし、あとはサイドをからめて行けば自然に道は開けるだろう。惜しむらくは、まだそれが単発で終わっている点である。
たとえば小野のゲームコントロールにしても同じだ。小野自身は光っていたが、「日本代表がいい」のとはちがう。しょせんは小野という個人の単発だ。小笠原も積極的にペナルティエリアに侵入し、一発を狙う動きをした。だがこれも小笠原単発の動きである。
重要なのはこれら単発のプレーが連続して押し寄せ、ひとつの大きなうねりになる時間帯を増やすことだ。でなければきれいな打ち上げ花火が一発上がり、「ああ、きれいだったね」で終わってしまう。
特に前半、中盤で3人がワンブロックを構成したユニットでの崩しに私は光明を見た。だが大切なのは継続だ。繰り返しこのトライをし、揺さぶり続けることである。ところがこの日は後半になると、そんな動きはパッタリ消えた。前にかかる時間帯そのものはふえたが、いかにも付け刃な感じだった。
結局、あれはチームとして意図したものではなく、個人のひらめきがたまたま集積した結果だったのだろう。ひらめきで勝つのは選手冥利につきるが、同時に90分間、「ひらめき続ける」のがむずかしいのもまた事実である。
攻めのリズムとしては、ゆったりとしたつなぎから、キュッと速くなってフィニッシュに行く南米なノリになっていた。「らしいなあ」とは思ったが、これって王者の戦い方なんだよねえ。その「キュッ」とスピードアップする時点では、すでに敵は勢揃いしてナイフを構えて待ってるんだから。
あれだけ陣形を整える猶予を与えちゃ、切り崩すにはかなりの鋭さがいる。アルゼンチンみたいにゴール前で速いダイレクトパスを4本つなぐ、とかさ。しかしいまの日本には、それって高望みにすぎるだろう。
前半、UAEはFWがからんだ動きが怖さを感じさせた。「まかりまちがうとやばいな」とは思った。だがチーム全体としてはまだ未成熟な印象で、「たぶんまかりまちがうことはないだろう」と踏んでいた。
だが最終的にはやっぱり、まかりまちがってしまった。このまかりまちがいを許したのも、やはり日本の実力である。
相手ボールになったとき、前半から日本は中盤でボールウォッチャーになる瞬間がよくあった。集中力が切れるのだ。そして疲労が蓄積すれば、集中力が切れる時間帯はますます長くなる。
後半の半分をすぎ、あの失点のケースではそれがピークに達していたのかもしれない。いわゆる攻め疲れってやつだ。しかし守備者の人数はいても、あれだけボールと人に寄せて行かないんじゃ、やられて当然だ。
失点から2分後、坪井OUT、本山INで4バックにして以降は、ビルドアップに苦しむ場面もあった。チャンス自体はけっこうあったが、サイドが生きない。私にはあれが本来の形だとはとても思えない。戦況にあわせて陣形を変えた時点で、すでに勝負あったという感じだ。あの方針変更は決して先手を打つものではなく、あくまで後手を踏んだ結果である。
小野が象徴しているように、このチームは人が変わればガラリと別のチームになる。セレクション型のチームの典型だ。だが人という単発の威力は加わっても、結局はそれがチーム総体としての怖さに化学変化しない。
みなさんは何がこのチームを変えると思いますか? 「問題点をわかっている中田英が入れば」、「中村が合流して核ができれば」。イメージできるのは、すべて人、人、人という単発にすぎない。
それでもなんだかんだで予選は突破できるだろう。だがはたしてW杯のド本番で、単発のひらめきは大きな輝きとして結実するのだろうか?
予選終了から本大会まで、一定の時間はある。残された猶予は少ないが、何かを変えるとすればそこしかない。
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キリン杯での代表は本当にバラバラだったな・・・と、
感じました。
以前とメンバーが変わっているわけでもないのに。
確かに今までもジーコのサッカーは「個」の力のみ
に頼ったものであったと思います。
しかし少なくともアジア杯の時はやはり「個」を
基本としながらも、チーム全体がひとつになって
「闘おう」としていることは感じ取れました。
試合毎の「ヒーロー」がそれぞれ違う選手であった事が
その証明だとも思います。
しかし今は・・・(汗
とにかくどんな苦戦であれ、勝って欲しいと思います。
とりあえずは予選を突破することが大事ですからね。
ええ。このチームが「個」になったり「全体」になったりするのは、メンタルの問題だと思うんですよね。モチベーションというか。アジア杯の時は(個人的には好みじゃない戦い方でしたが)とにかく危機感にあふれていて、それでひとつにまとまったような気がします。「絶対に負けるかっ!」という雰囲気でしたからね。とにかく予選を突破しましょう!
>Masatoさん
1対1、モチベーション、どちらもプリミティブな基本ですねえ。それは当然の前提として、「その次」へ行ってほしいのですが… うーん、という感じですね。
ジーコが監督になってかれこれ3年。なのにあいかわらずこんな状態。いったいなにをやってきたんでしょうかね。
戦術の浸透よりももう個の爆発に期待するしかないのでしょうか。
あとジーコの悪運が尽きてないことを祈ります^^;
こんにちは。そかー、もう3年にもなるのかあ。この黄金のメンバーを、ベンゲルに3年あずけてたらなぁ…。って、んなこといってもしようがないですね。私、予選突破は確信してます。はい、根拠レスですが(^^;
ジーコJAPANになって数年、この最終予選真っ只中なこの時期にこういう試合を見せられたことがタイミングが悪いというかなんというか。監督を変えるタイミングではないですし。
いやーまいっちんぐマチコ先生ですねぇ。
マチコ先生ですっ(笑) てか私、この試合から、めっさ体調悪くなって死にかけです(^^; ぐー。
>キシリトールさん
初めまして(^-^) んー、負けちゃいましたね。「本番」のために取っておきましょう(ポジティブシンキングっ)。
>kazz-yaさん
まいどです♪ うん。「自分たちの決め形」ってのがないんですよね。中村のフリーキック以外は。大黒が試合数をこなせばどうか? ですが、これが連携の形でひとつのパターンになればいいんですが…。
結局この代表は「チーム」ではないんですよね・・・。単なる「寄せ鍋」だと最近感じます。それも肉やら魚やらもうごった煮。
90分間には色んな状況が生まれますし、そこで魚なら魚、肉なら肉の明確なビジョンがなければイレギュラー一つでチーム(ダシ)は全て台無しになっちゃうと思うんです。
なんだか今の代表って個々の具はそれなりでもダシは極めて不味いです・・・。
TBお返しさせていただきます。