すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【サッカー日本代表】描いたシナリオが実現するか? そこがハリルの「快楽のツボ」だ

2016-12-09 10:49:09 | サッカー
対戦相手をスカウティングし丸裸にする

​ ハリルが考えるサッカーには綿密なシナリオがある。

 ハリルは対戦相手をあらかじめ念入りにスカウティングし、前もって試合の青写真を描く。相手はこんなサッカーをしてくる、だったら自分たちはこういう対策で臨もうーー。その描いたシナリオが試合当日にそっくりそのまま実現し、まんまと本番で勝ちを収めること。それこそがハリルにとっての自己実現である。

 対戦相手が思った通りのサッカーをし、事前に作ってあった対抗策がうまく功を奏する。ほら思った通りだ、ヤツらは罠にかかったぞーー。ハリルにとって最大の喜びはそこだ。自分の作ったシナリオが通用するかどうか? 試合のたびに彼はそこで充足する。

 ゆえにハリルはポゼッション率などにはこだわらないし、鮮やかにパスをつないで美しく勝とうなどとも思っていない。縦ポンであれドン引きであれ、事前に自分が立てたシナリオ通りにコトが運ぶかどうか? それによって計画通り、勝利の美酒に酔えるのか? そこがハリルの「快楽のツボ」なのだ。

 すなわちハリルにとって監督をやる醍醐味は、シナリオライターとしての自分の正しさを証明することだ。スカウティングによって描いた台本が正しく機能し、いかに実戦でその通りに実現するか? 自分の事前分析がいかに的を射ているか? 勝つことによってのみ、それは証明される。

 だからハリルはかたくなに勝利にこだわる。ハリルにとって勝つことは、自分の描いたシナリオに勲章が捧げられるに等しい。だからハリルは今日も勝ちをめざす。自分の正しさを証明するために。
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【CS決勝第2戦・分析】何が浦和レッズを崩壊させたのか?

2016-12-05 08:56:42 | サッカー
攻めるしかないチームのこわさ

 Jリーグ・チャンピオンシップ(CS)決勝第2戦は、厳しい心理戦だった。

 条件はもちろん、第1戦で勝っていたホーム・浦和レッズのほうが有利なはず。アウェイゴールも含め、すべての環境が浦和に微笑んでいた。だが、あとがなく「行く」しかない鹿島が勝ち、攻めるのか守備的にやるのか迷いが生じた浦和が敗れた。選択肢のない土壇場の状況が鹿島の選手を思い切りよくプレーさせ、逆に試合の進行とともに浦和は歯切れが悪くなって行った。

 そんなメンタルの差が鹿島伝統のしたたかさと勝負強さを引き出し、次第に浦和を心理的に追い詰めて行ったーー。ひとことでいえばそんなゲームだった。終盤のパワープレイをめぐるドタバタが、この日の浦和の「心の混乱」を象徴していた。

戦い方がわかりやすかった鹿島

 追い込まれた鹿島は戦い方がわかりやすかった。やるべきは2点取ること。ゲームプランがはっきり明確だった。そのぶん強い求心力が働きやすく、目標達成をしやすくさせた。逆に攻めるのか、守るのか下手に選択肢があるぶん浦和のハードル設定はむずかしく、それが鹿島を後押しした。この試合は個々のプレイのディテールよりむしろ、そんなメンタルの戦いだった。

 もちろんゲーム以前に年間1位の浦和には、チャンピオンシップですべてが決まる割り切れないレギュレーションと向き合い、葛藤し、まず心で打ち勝っておく必要があったことも無視できない要因である。

鹿島のハイプレスが浦和を圧迫した

 また浦和には物理的なプレッシャーもかかった。

 この日、攻撃的に行くしかない鹿島が前線から積極的にハイプレスを仕掛けてきたため、浦和は心理的に強い圧迫を受けていた。前から激しくプレッシングされ続け、浦和の選手はせわしなく、落ち着きないプレーに追い込まれた。

 例えばずる賢くバックパスを使って最終ラインでボールを回し、時間をうまく使ってゲームを落ち着かせるような試合運びをするのが浦和にはむずかしかった。終始チャレンジャーである鹿島の影におびえ、自分たちのペースで試合ができなかった。

 この心理的プレッシャーが試合のあらゆる局面で強く作用し、最後は足を伸ばせばボールに届いた鹿島と、届かなかった浦和との差を作り出した。フットボールは戦術やフィジカル以前に、メンタルで6割が決まるのだ。
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【Jリーグ・CS決勝第2戦】ドーハの悲劇ふたたび 〜浦和1-2鹿島

2016-12-04 07:56:29 | サッカー
勝ち試合を勝ち切れ

 試合運びのまずさで初めてのW杯出場を逃した「ドーハの悲劇」を見ているかのようだった。

 カウンターを食らい、PKを取られたあの浦和の失点シーン。浦和は1-1のまま試合を殺せば優勝できるというのに、敵陣に7人もの選手がなだれ込み前がかりになっていた。

 なぜそんな必要があるのか? しかも時間帯は後半31分だ。もしハリルなら、守備的にゾーンを低くして自陣にブロックを作る時間帯だっただろう(そして世間の非難を浴びるのだ・笑)。すべては「守りに入るのは悪だ」という純粋無垢な日本人ならではのメンタリティゆえ。ズルさがない。

 ドーハの悲劇では最後のロスタイムに失点し、94年アメリカW杯出場を逃した。

 あのときも「日本の選手はコーナーに向かってドリブルするなど、うまく時間を使うべきだった」などと世間の批判を浴びた。だがラモス瑠偉は89分50秒にリスキーな縦パスを入れ、カットされて失点の要因を作った。勝ち試合を勝ち切るための試合運びがずいぶん議論された記念碑的なゲームだった。

 Jリーグは、あの20年前のドーハの悲劇からまったく進歩してないのだろうか?

 愕然とさせられた試合だった。
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【サッカー日本代表】ムダな走りが生む日本の決定力不足

2016-12-03 10:48:39 | サッカー
原口のハードワークには胸が熱くなるが……

 ロシアW杯アジア最終予選。サウジ戦で原口があれだけの長い距離を上下動して守備に奔走するのを見て、名著『世界が指摘する岡田ジャパンの決定的戦術ミス』(宮崎隆司著/コスミック出版)を思い出した。同書では随所に「日本人は守備の原則を無視したムダな走り方をして体力を消耗する。だから肝心のシュートの場面で力を出し切れない」という指摘が複数のイタリア人監督によって緻密な分析とともになされている。

 確かにサウジ戦の映像を何度も見直すと、原口が決定的なシュートシーンで軸足がガクッと折れてシュートをふかすなど決められない場面が何度か出てくる。守備に力を使い果たし、シュートを打つ時に力が残ってないのだろう。実際、彼はサウジ戦であと2点は取れていたかもしれない。

 原口はトランジションに優れ、攻撃だけでなく守備にも八面六臂の貢献をしている。それこそ我が身をすりつぶすような彼のハードワークがチームを鼓舞し、それを見てメンバー全員が「やってやるぞ!」と士気を煽られている。明らかに原口は今の日本代表のエンジンだ。だからもちろん原口の働きに異議を唱えるつもりは毛頭ない。

 だが同時に滅私奉公を有り難がる日本人は、とかく走りの「質」ではなく「量」に目を奪われがちなのも事実だ。それが有効かどうかでなく、とにかくたくさん走れば「すごい!」「すさまじい!」と絶賛する。ある種、カミカゼ・アタック的なメンタリティである。

 だが例えば相手ボールに変わったとき、すぐ切り替えて「その場で」守備をするだけでは不十分か? 敵のサイドアタッカーが攻め上がってきたとき、ずっとそれに並走して自陣まで引き、最終的には味方バックラインにまで吸収される原口のあの劇的な上下動は、マークを受け渡すことでもっと効率的にできないのだろうか? そうすれば原口はシュートの場面で余力を持ってもっともっと力を出せ、さらに2点、3点取れるようになるのではないか? そんな気にさせられた。
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【サッカー日本代表】ハリルは日本に何を残すのか?

2016-12-01 09:29:49 | サッカー
日本サッカーの日本化は行われない

 ハリルのサッカーは、まず自分のスタイルが先にあるのではない。相手を見て考えるサッカーだ。まず対戦相手の特徴をつかみ、彼らの良さを消す。相手に力を発揮させないためにはどうすればいいか? を考える。そしてスカウティングに基づき、対戦相手に応じてその都度カメレオンのようにやり方を変える。まず相手ありきのサッカーである。

 ではこのサッカーを2年続けたとき、日本には何が残るのか?

 少なくとも、これまで代表監督が替わるたび毎度続いた「日本が世界で勝つための、日本らしいスタイルとは何か?」のような遠大な問いに対する答えは得られないだろう。日本サッカーの日本化は行われない。なぜならハリルは特定のスタイルで戦うわけじゃないのだから。

 とすればハリルジャパンは日本に何をもたらすのか?

 あえてネガティブな言い方をすれば、「目先の1試合」に勝つためだけの小細工が手を変え品を変えロシアW杯まで続いていく。「日本サッカーがめざすべきスタイルは?」のような総論に対する答えは出ない。収穫があるとすれば各論の方だろう。つまり相手に応じたさまざまなやり方を学べることだ。戦況に応じた試合運びもあれこれ経験できる。そしてロシアW杯が終われば、いろんなバリエーションの戦い方がデータベースとして日本に残る。それはそれで有意義なことだ。

 だが大きな木の幹が根付くのでなく、得られるのは枝葉の部分(ディテール)ではないか? いや別にだからハリルを解任しろとかいう話じゃなく、「ハリルと仕事をする」ということが何を意味するのか、日本人はしっかりわかった上でやったほうがいいと思うのだ。

 とすれば逆に、今度は選手が自分で考える必要が出てくる。日本人の特徴を生かした、日本がめざすべきサッカーとは何か? 人に教えられるのでなく、自分の頭で考えるーー。能動的に考えることこそが日本人には決定的に欠落している。それをハリルに気づかされるような気がしている。
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【サッカー日本代表】ハリルは日本人の思考を改造する

2016-11-28 08:10:51 | サッカー
相手に相撲を取らせない

「自分の相撲を取るだけです」

 よく力士は言う。

 相手がどうやってこようがまず自分がある。自分を貫き盲進する。信じて、まっすぐ。負けても潔く。それが日本で尊ばれる精神性だ。あえて戦い方をふたつに分けて考えれば、正々堂々、フェアプレイの精神である。

 だがハリルは真逆だ。相手の相撲を見て考える。敵の良さを消せ、と。相手に相撲を取らせない。相手に力を発揮させないためにはどうすればいいか? それがハリルの思考法だ。戦い方をふたつに分ければ、力士の発想と正反対である。

 ずる賢く、奸計を巡らし敵の寝首を掻く。フェアかどうかなど二の次、三の次。敵を殲滅できればそれでいいーー。

 これは日本人にとってコペルニクス的転回だ。もし今後、日本のサッカーがハリル的なメンタリティを備えて勝ち進むとすれば、まさに革命である。

 そこにあるのは勝利至上主義だ。スタイルに対するこだわりなどない。すべては勝つためにある。
 
「敵を騙して何が悪い? おまえは勝ちたいのか? それとも負けでいいのか?」

「おまえらの文化を変えろ。でなきゃ負けだぞ?」

 ハリルは無垢で善良なる日本人に、価値観の転換を迫っている。もし日本人にこれができたら、明治維新どころじゃない社会改革だ。おもしろいーー。そんなわけで今日も私は、ハリルが進める日本人大改造計画を興味深く見守っている。
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【サッカー日本代表】デュエルをめぐる噛み合わない議論を整理する

2016-11-26 08:51:26 | サッカー
ハリルは日本人の弱点を指摘しているのか?

 ハリルはしきりに「デュエル(球際の強さ)が大事だ」と強調する。で、それを契機に巷では目下、こんな議論が起こっている。

 ある人は、「いや、日本人はフィジカルが弱いんだから、1対1でなく数的優位を作って勝つサッカーをすべきだ」と現実論をいう。それに対してある人は、「個の強さは大事だ。サッカーでは組織以前に、まず個の強さがベースにあるべきだ」と原則論を掲げて反論するーー。

 なんかこれ、どっかで見たことありますね? そう、フィリップ・トルシエが代表監督だったころに巻き起こった「個か? 組織か?」の議論なのだ。デュエルの話がいつのまにか、またあの議論になっている。日本人は好きだなぁ、この話が。とはいえ「数的優位を作れ」というのも正しいし、「まず個の強さだ」ってのも正論。かくて議論はまたもや堂々めぐりと相成ってしまう。

 だが今回の議論がどうも噛み合わないのには、理由がある。それは「ハリルはそもそもどういう意図で『デュエル』を強調してるのか?」という議論のベースをスッ飛ばしているからだ。

 というのも当初、ハリルのデュエル論を聞き、多くの人はこう考えた。

「ああ、日本人は球際の競り合いが弱いから、『弱点を修正しようよ』とハリルは言ってるんだろうな」

 ところがその後、ロングボールを前線に入れて競り合わせるハリルの戦い方を見て、ある疑念が起こった。

「ひょっとしたらハリルは日本人の弱点を分析してたんじゃなく、『デュエルを武器(売り物)にして勝つチーム』を作ろうとしてるんじゃないか?」

「日本人はデュエルが弱いからそこを修正しよう」というのと、「デュエルで勝つチームを作ろう」というのは似て非なるものだ。まったく意味がちがう。わかりやすくいえば前者は「弱点を人並みにしようよ」という話。ところが後者は、「局面をあえてデュエルの戦いに持ち込み、デュエルの強さでこそ勝つチームを作ろう」という戦略論だ。

 そこで「えっ? ハリルがデュエルを唱えるのは、日本人の弱点を指摘してたんじゃないのか? そうではなく、『デュエルで勝つ』チームを作るって意味なのか? 話がちがうぞ」。そんな疑問をもつ人が出るようになった。で、冒頭にあげた「個か? 組織か?」みたいな議論になってるわけだ。

 日本人は「個の強さ」をもっと上げるべきだが、「デュエルを武器に戦う」というのが日本代表の指針として正しいのかどうか?
  
 みなさんはどう思いますか?
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【サッカー日本代表】本田のスタメン復活はあるか?

2016-11-25 08:32:58 | サッカー
コンディション不良で失意のエース

 ロシアW杯最終予選・サウジ戦。本田はついにスタメン落ちした。では今後彼の復活はあるのだろうか? 本田は所属チームのミランで試合に出ていない。そのため明らかにカラダが重くキレが悪い。だが結論から先にいえば、試合に出てフィジカル・コンディションさえ整えば問題ないだろう。

 彼はミランでもミハイロヴィッチが監督をやっていた頃は、守備にもあきれるような運動量ですさまじかった。こんなに短期間で年齢的な衰えがくるとは考えにくい。とすればやはり彼はコンディション次第だ。個人的にはとっととミランをおん出て、試合に出られるチームへ行ってほしいと思う。

プレイが立体的で緩急をつけられる

 本田のいない日本はよくいえば縦に速くスピードがあるが、悪くいえば性急で緩急がない。一本調子だ。

 例えばボクシングの試合を考えてみよう。相手にストレートを食らって一方的にラッシュされたら、ただ機械的に顔面をガードし続けていればいい。ある意味、守備は簡単だ。そこにジャブやらフックやらが立体的に加わり、緩急を付けられるからボクサーはパンチを食うのだ。

 調子がいいときの本田はそういう曲線的な流れを作れる。彼がゾーンのギャップで間受けすると何かが起きる予感がする。本田にはスピードでタテに突破するような直線的な鋭さはない。サイドにいるが「ウイング」ではない。だがプレイが立体的でタメを作れる。これは大きなストロング・ポイントである。

ポジショニングと守備が課題だが……

 もちろん、本田を使うデメリットはある。彼はカットインして中央に入ってくると、CFやトップ下とかぶることが多い。オマーン戦でも、真ん中で大迫と同じポジショニングをして大迫のシュートを邪魔してしまったシーンがあった。ただこのへんはコンビネーションの熟成次第だろう。現に気心が知れている清武などは本田が中に入ってくれば逆にサイドに張るなど、あうんの呼吸でプレイしている。

 もうひとつのリスクは守備面だ。本田はゾーンディフェンスが怪しく穴を開ける可能性がある。とはいえこれは彼だけではないし、チーム全体としてそこに手を入れるとなれば気の長い話になる。今後の課題だろう。

​ サウジ戦での「本田外し」がやたらマスコミを賑わしたが、あれは選択肢がふえたにすぎない。本田にはコンディショニングに気を配り、堂々とポジション争いしてほしい。
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【サウジ戦・分析その2】ラインの押し上げとディアゴナーレがない日本の守備

2016-11-24 06:37:02 | サッカー
コーナーに追い詰められたボクサーのようだ

 ロシアW杯最終予選・サウジ戦。世間は「勝ってよかった」一色だが、前々回の記事で分析した失点シーンが頭から離れない。あの場面には日本の守備の根本的な欠陥が凝縮されている。ここは修正すべきだ。そこでもう一度サウジ戦の失点シーンをさらに前まで巻き戻して見て行こう。

 あのシーン。実は日本には最終ラインを押し上げるチャンスが3回あった。まず1回目は後半43分、(サウジ側から見て)右サイドのハーフラインあたりから日本のゴール前にロングボールを放り込まれた場面だ。このとき吉田がヘディングで大きくクリアした。あそこで守備の原則通り、まずラインを押し上げるべきだった。

 その数秒後には同じく(サウジ側から見て)右サイドのハーフラインあたりから逆サイド深くにサイドチェンジのボールを入れられ、酒井(宏)がまたヘディングでクリアした。このときも少しでもラインを上げたかった。

 そうすれば直後に(前々回の記事で取り上げたように)本田が1人で寄せに行くのでなく、ディアゴナーレを組みながら本田の後ろの選手も連動できていたはずだ。いやそれ以前に最初のチャンスでラインを上げていれば、このとき本田はクリアされたセカンドボールを拾えていたかもしれない。

 そして本田が寄せてくるのを見て、敵ボールホルダーはバックパスする。このときもラインを押し上げられた。このように失点シーンの直前には計3回、ラインを押し上げる機会があった。

 つまり失点シーンはラインがかなり下がってしまった状態であり、敵にたっぷりスペースをプレゼントしていた。PKから失点したオーストラリア戦の後半も同じ症状だった。そして両試合の後半に共通するのは、いずれも自陣に4-4-2のブロックを敷き敵を待ち受ける守備をしていたことだ。だが日本はそのやり方をすると最終ラインが次第にズルズル下がり、コーナーに追い詰められたボクサーのように殴られっぱなしになる。これでは何度ボールをクリアしてもセカンドボールを拾えない。

 チャンスがあれば勇気をもってラインを押し上げ、コンパクトな守備を心がけるべきだ。でないと2度ある失点は3度ある。ハリル政権ではおそらく今後も、ゾーンを下げた戦い方をする機会があるだろう。同じ過ちは決して繰り返さないようにするべきだ。
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【ロシアW杯最終予選】サウジ戦に用意したハリルのシナリオを深読みする

2016-11-19 07:16:31 | サッカー
ハリルの狡猾な深謀遠慮が見えてきた

 サウジ戦の映像を何度も繰り返し見直しているうちに、あの試合で起こったことはひょっとしたらすべてハリルのシナリオ通りだったのではないかと思えてきた。ハリルは試合に先立ち対戦相手を入念にスカウティングし、緻密にゲームプランを立て、ディティールまで詰めた上で本番に臨む監督だからだ。そこで今回は、あのサウジ戦に隠されたハリルの意図を深読みしてみる。

【深読み1】サウジのビルドアップを殺すためハイプレスを採用した

 ハリルは相手のよさを徹底的に消そうとするタイプの監督だ。彼は事前のスカウティングで、サウジはグラウンダーのボールを転がしてビルドアップしてくると知っていた。ならば最終ラインからのビルドアップの1本目のパスを狙うには、ハイプレスがもってこいだ(逆に最終ラインからロングボールを放り込まれるとハイプレスは空振りする)。で、ハリルは試合の入りをハイプレスにし、試合開始から相手のよさを消すことを狙った。

【深読み2】初めからハイプレスで先行逃げ切りするシナリオだった

 ハイプレスは運動量がいるため長時間は続かない。そこで事前のシナリオでハイプレスは前半だけとした。つまり試合冒頭から激しくハイプレスをかけて先に点を取り、先行逃げ切り型のゲームプランを組んだ。前半で先制点、追加点を取り、後半はそのリードを生かしゾーンを低くして守備的に戦うこともあらかじめ決めてあった。

【深読み3】若手を使ったスタメンには「意味」があった

 試合の入りをハイプレスで行くとすれば、コンディションの悪い本田では持たない。そこで若い久保が選ばれた。またハイプレスでファースト・ディフェンダーになるワントップとトップ下にも若くカラダが切れている大迫、清武を抜擢した。とすれば大迫、清武、久保の起用はあくまで「サウジ戦に最適なメンバー」を選んだだけであり、実は必ずしも「世代交代」うんぬんとは関係ない。

【深読み4】後半の頭から本田を投入した狙いとは?

 本田はタメを作り、試合を落ち着かせ、時間をうまく使うプレイ(遅攻)が得意だ。つまり前半で点を取り先行逃げ切りを図るなら、本田の持ち味はむしろ後半に生きる。そこで本田をあえてスタメンから外して前半のハイプレスを免除し、ゲームプラン的に彼がより機能するはずの後半頭から投入した。

【深読み5】香川の後半起用にも「意味」があった

 香川は(代表チームの中では珍しく)ゾーンディフェンスを完全に理解している。それはオーストラリア戦における守備対応でも実証されている。とすれば前半に点を取り後半は守備的にして逃げ切るゲームプラン上、ゾーンディフェンスを知っている香川は後半投入にもってこいの駒だった。特に自陣に4-4-2のブロックを敷き、相手を待ち受ける守備をやる場合、オーストラリア戦で見られたように香川は理想のファースト・ディフェンダーとして機能する。最前線でパスコースを切りディレイをかける仕事を、香川は完璧にこなすことができる。よってそのタスクを与えるため、ハリルは香川を後半に投入した。

【深読み6】じゃあ岡崎の投入は?

 ぶっちゃけ大迫は前半でかなりバテていた。ハイプレスに奔走したのだから当然だ。ゆえに本当はもっと早く岡崎を投入してもよかった。だがオマーン戦とサウジ戦の大迫のとんでもないデキを見て、ハリルは彼に強くひと目惚れしたはず。で、ハリルは大迫への強い執着から、大迫をあそこまで引っ張った。つまり「点を取ってくれ」ってことだ。

【まとめ】なんて用意周到な監督なんだ

 今回、考察した深読み1~6により、すべてはハリルのシナリオ通りに進んでいたことが判明した。本田・香川・岡崎の途中投入にまで意味があったとは。「みんなで勝ち取った勝利だ!」てなクサい演出をするためか? などとうがった見方をしていたが、実はすべてに戦術的な意味があった(ハリルごめん)。いやはや、なんて用意周到な監督なんだろう。

 参りました、ハイ。
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【サウジ戦・戦術分析】進化した試合運びと頻発する守備のミス

2016-11-18 07:07:21 | サッカー
流れの中で初めて失点する

 15日に行われたロシアW杯アジア最終予選・サウジアラビア戦は、2-1で日本が勝ち切った。あらためてサウジ戦の映像を繰り返し再生し詳細に分析すると……点差に応じて押し引きする日本の試合運びのうまさが浮かび上がってきた。だが反面、後半はゾーンを下げて守備的にし、相手にボールを握らせて先行逃げ切りを図ったが守備のミスが目立った。ここが課題だ。

 この試合、日本は最終予選で初めて流れの中から失点した。特に本田は2点目の起点になったことばかりが報道されているが、逆に失点の原因も作っている。1勝1敗だ。日本がW杯本大会でグループリーグ突破を目指すなら、いま一度、守備の基本を精査する必要がありそうだ。

「ハリル・マインド」で日本は狡猾になった

 日本は前半立ち上がりからアグレッシブにハイプレスをかけて高い位置でボールを奪い、ショートカウンターを狙った。だが1-0でリードして後半に入ると、一転して自陣に4-4-2のブロックを敷き、ゾーンを低くして相手を待ち構える守備に切り替えた。つまり後半は守備的にしてハイプレスで先行した1-0のリードをしっかり維持し、あわよくばカウンターで追加点を、というゲームプランである。

 結果、相手のポゼッション率は高まるが、「やられている」わけではない。相手にボールを持たせているだけだ。この流れから狙い通り2点目を奪っている。こういう戦い方の切り替えはハリル以前の日本にはなかったものだ。その意味で日本代表は「ハリル・マインド」により狡猾になったといえる。

 またこの試合、日本は局面に応じて速攻と遅攻、ポゼッションとカウンターをうまく使い分けた。ハリルが考えるタテへの速さに加え、選手が自主的にアレンジして「タメ」を効かせパスワークを増やした。そもそもサッカーでは相手が前がかりでくれば速いカウンターのチャンスだし、自陣に引かれてしまえば時間をかけて遅攻にせざるをえない。90分間、単一の戦術を取るという一辺倒な戦い方はありえない。

 このあたり、イラク戦に代表されるように今までの日本はややもすると戦い方が一本調子だったが、この試合ではスコアに応じて変化をつけられるように進化していた。ただし守備面には課題が多いのだが……。

失点シーンの発端は本田だった

 サウジ戦、日本はアジア最終予選で初めて流れの中から失点した。その失点シーンは日本のクリアボールをキープした敵に対し、本田が食いついて前に出たのが発端だった。彼が飛び出したことで、3ラインのうちMFラインのゾーンに穴が開いた。

 近づいてくる本田を避けて敵ボールホルダーはいったんバックパス。それを見て本田は安心したように前へ出たまま足を止めてしまう。ここでMFのラインに戻らなかったのが致命的だった。その瞬間、すかさず中央にパスを出されて本田は置き去りにされる。このときパスを受けた敵ボールホルダーには山口がプレスをかけたが、本田はそもそも山口に対しディアゴナーレのポジション(斜め後ろの位置)を取り、山口に中を切らせるべきだった。

 だが時すでに遅し。本田はのんびり歩いてプレスバックをサボる。かたや山口はボールにただ食いつくだけで、中を切りパスコースを外に限定しようという発想がない。加えて山口の真横にいた長谷部もディアゴナーレ(山口の斜め後ろについてカバー)を怠り、足を一瞬止めたため前斜めへのパスコースを作ってしまう。結果、カバーのない山口はボールホルダーにあっさり中へ向き直られ、ゴール前のド真ん中に深刻なパスを出された。これが失点の契機だ。

 3人続けて守備のミスをすればひとたまりもない。まず直接的には、最初にボールに食いつきそのあとプレスバックしなかった本田のミス。彼は確かに2点目の起点になったが、「失点の起点」にもなってしまった。本田が考えるサッカーは「ボールを出し入れして敵を食いつかせる」バルサ流だが、あのシーンではまさに本田自身がその餌食になりボールに食いついている。

ファウルでごまかしFKで失点するか、流れの中で失点するかの違い

 このようにハリルジャパンは自分たちのミスからピンチを招きがちだ。いつもならそのミスを取り返すためファウルで逃げ、FKやPKから失点するのが恒例のパターンだ。それがこの試合ではたまたま流れの中から失点した。ハリルは「最終予選では流れの中から一度も失点していない。しっかりオーガナイズされている」というが、単なる詭弁だ。致命的なミスをファウルでごまかし直後のセットプレイで失点するか、流れの中で失点するかの違いにすぎない。

 現にその後もゴール前で吉田がクロスをかぶるなど日本は致命的な守備のミスを連発し、いつ同点にされてもおかしくなかった。意図的にゾーンを低くし、相手を待ち受ける「やってこい」のディフェンスができるほど日本の守備は安定していない。

 もしこの形を続けるならひとつ提案だが、あのオーストラリア戦前半のような、待ち構えるコンパクトな守備をする練習をくり返しやるべきだ。相手ボールのとき、「この瞬間にディアゴナーレはできているか?」を常に意識すること。今後も迂闊な失点を続けないよう、日本はチャレンジ&カバーの守備の基本に立ち帰って修正点を確認すべきだ。
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【香川・本田外し】ハリルの大博打? 冗談じゃない

2016-11-17 08:13:50 | サッカー
苦戦の原因はハリルの頑迷な選手起用だ

 アジア最終予選も折り返し地点を過ぎた。首位争いしているサウジにしろオーストラリアにしろ、圧倒的な強さがあったわけでもなんでもない。むしろ拍子抜けだ。ではなぜ日本は予選通過でこんなに苦労しているのか? 敵は自分だ。日本は明らかに自分で自分の足につまずいている。

 適正な競争が起こり、適正なメンバーさえ選出されれば、日本は自然に予選通過するだろう。すべては過去の実績や「ヨーロッパ・ブランド」にこだわるハリルの硬直的な選手起用が招いた危機である。

 香川や本田をスタメンから外したサウジ戦の采配を、マスコミは「ハリルの大博打」「大胆采配」などと騒いでいる。だが博打でもなんでもない。逆に不調の香川や本田をここまで引っ張ったことのほうが大博打だ。

 先日、テストマッチのオマーン戦でやっと新戦力台頭の兆しが見えた。だが世代交代など、相手がはるか格下のアジア2次予選で若手を積極的に試していれば済んだ話だ。そうすれば1年も前に世代交代は自然に進んだ。

 にもかかわらずハリルは、2次予選初戦のシンガポール戦が引き分けに終わったことで、すっかりビビり上がった。「こりゃ予選通過がやばいぞ」。あげく海外組をズラリ揃えて鉄板スタメンを完全固定で組み続けた。そんな新しいトライのない超・保守的采配で香川と本田をここまで引っ張り、日本を最終予選で苦境に陥れたのはハリルの采配ミスであることは銘記されるべきだ。

 2度あることは3度ある。サウジ戦の勝利でハリル解任論は沈静化するだろうが、ハリルのキャラクター自体は変わらない。今回はたまたま「香川・本田問題」だったが、いつまた別の問題(例えば体脂肪率原理主義とか)でハリルが頑迷なワンパターン思考に陥り、日本代表を苦境に陥れるかわからない。戦術面ではハリルを支持するが、彼の選手起用には大きな問題がある。先が思いやられる。
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【ロシアW杯最終予選】新戦力が躍動し首位が見えた激闘 〜日本2-1サウジ

2016-11-16 08:07:43 | サッカー
大迫・清武・原口の奮闘で2位に浮上

 たがいに前からプレスを掛け合い、緊迫感のある打ち合いを演じた試合だった。勝ち点3差の首位サウジアラビアをホームに迎えた大一番だ。日本は勝てば状況によっては首位もあり、負ければ脱落という天国と地獄。ふたを開けてみると今予選屈指の熱戦になり、日本はPKから先制したあと原口の最終予選・4試合連続ゴールになるダイレクトシュートで突き放した。結果、日本はサウジと勝ち点が並んだが得失点差で2位に。今節が終わってみればグループ4位のUAEまで、上位4チームがわずか勝ち点1差にひしめく大混戦になった。

 最終予選が前半戦を折り返す、このカド番。ハリルは不調の本田と香川、岡崎の3枚看板をスタメンから外す大手術を決行した。ドイツ・ケルンで好調な大迫をワントップに据え、トップ下には清武。本田不在の右SHには新鋭の久保(ヤングボーイズ)を抜擢した。

 立ち上がりから日本はアグレッシブで積極的だ。動きがいい。こんなにコンディションのいい選手ばかりを揃えた試合はいつ以来だろうか? 大迫はえらくボールが収まる「神ポスト」を連発し、前線で基点を作る。彼にボールが入るとプレスをかけられても足元からボールが離れない。かたや清武はゾーンのギャップで間受けしては幅広く動いてゲームを作る。

 一方の原口はネガティブ・トランジションがよく、サウジボールになればすぐにディフェンスして相手ボールを足に引っかける。そしてマイボールにするとすぐポジトラを発動、ダイナミックに前へ出て行く。すごい闘争心だ。彼はイラク戦とオーストラリア戦で点を取ったときの、この守備から始まりシュートで終わる「止まらない動き」をこの日も繰り返した。選手の熱い気持ちが伝わってくる好ゲームである。

サウジは日本のビルドアップを研究していた

 サウジは(放り込みでなく)グラウンダーのパスできっちりビルドアップしてくる。ボールをしっかり繋ぐ個の強い攻撃サッカーだった。インテンシティも高い。なにより首位でアウェイの彼らが、あんな前がかりで積極的にプレスをかけてくるとは思わなかった。

 日本は最終ラインからのビルドアップのとき両センターバックが開き、押し出すようにSBを高い位置に上げて基点を作る。サウジはこの日本のビルドアップを明らかに研究しており、日本の2CBに対し前の2枚が常にプレスをかけて2対2を作っていた。ビルドアップ時にはアンカーが降りて一時的に3CBにするなど、ハリルは早急に対策を考える必要がある。でないと前から狙われる。

 また彼らはほとんどバックパスせずに前へ前へと押し上げてくるが、日本は前が詰まるとすぐ最終ラインにバックパスしてビルドアップし直す遅攻のクセが身についてしまっている。明らかにこの点もサウジに研究されており、彼らはしつこいフォアプレッシャーで日本のバックパスをかっさらおうと狙っていた。日本が快勝したように見えるが実は鼻の差だ。どこかのパスやシュートがボール1個分ずれていたら、試合はどうなっていたかわからなかった。

生気のない本田と香川を途中起用する迷采配

 ハリルは本田と香川、岡崎を途中から投入したが、あれは試合展開とはまったく関係なく事前に考えてあった采配だろう。「みんなで勝利を勝ち取った」的なクサい演出だ。現にハリルは試合に先立つ記者会見で「今回が最後のW杯になる者もいる」などと珍しく感傷的なコメントを発していた。感動を演出して盛り上げようみたいな意図だろうが、おかげで好ゲームの流れがブツ切りになってしまった。

 スタメンを外された本田と香川は、モチベーションが落ちて魂を抜かれた亡霊のように生気がなかった。プレイもパッとしないデキで、何か「やらかす」んじゃないかとヒヤヒヤした。勝ったからいいようなものの、あれでもし逆転されていたらハリルは即、解任だった。ごく自然に世代交代が起ころうとしているのに、なぜ時計の針を戻すのか? 相変わらずの迷采配だ。

「大胆に言えば」右SHの久保を代えるなら斎藤学が見たかったし、トップ下の清武を引っ込めるなら小林祐希をチェックしたかった。新生・日本代表の成長を阻害するだけの、必然性のないああいう選手起用は絶対に考え直してほしい。
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【サウジ戦・展望その2】焦点は右サイドに誰を使うかだ

2016-11-15 10:26:30 | サッカー
一長一短でパズルのピースがはまらない

 今夜行われるサウジ戦のスタメンは、1人を除きほぼ予想がつく。最終ラインとボランチ、左SHはいつものメンバーだろう。ワントップは大迫、トップ下は清武と予想する。唯一、パズルの最後のピースがはまらないのが右SHだ。どの候補も一長一短あり悩ましい。そこで今回は右サイドをめぐる功罪について考えてみよう。

【プランA】本田を使うリスクとメリット

 まず経験を買って本田を使った場合である。メリットはゲーム展開が立体的になることだ。本田はもともとトップ下の選手だけに試合を構築する力がある。タテ一辺倒に急ぐのでなく、サイドチェンジを入れたり、ひとつボールを持ってタメを作るなどリズムを変えられる。右SHに浅野を使えば短兵急になる恐れがあるが、本田の場合それはない。コンディションさえ整えば、彼はまだまだ「持って」いる。

 一方、最大のリスクは体のキレだ。オマーン戦でも「やろうとしていること」はいいのだが、体が追いつかないシーンが多々あった。いくら能力が高くても、それを表現するカラダが動かなければ意味がない。またコンディションがいいときのかつての本田はネガティブ・トランジションに優れ、相手ボールになったらすぐにカラダを張って泥々になりながら守備をしていた。そんな魂のプレイがチームを鼓舞した。だが守備に回す力が残ってない今は、望むべくもない。

 もうひとつ、本田を使う大きなデメリットがある。それは真ん中寄りにポジショニングし、ワンツーやショートパスを使って中央突破にこだわる「自分たちのサッカー」に陥るケースだ。特に香川、清武と本田を組み合わせるとこうなる可能性が高い。2次予選初戦のシンガポール戦、最終予選のUAE戦ではいずれも「自分たちのサッカー」を発動してしまい、中央突破に拘泥し相手守備網を崩せずチームは苦しんだ。この展開になったら最悪だ。

【プランB】浅野を使えば裏は狙えるが単調になる恐れも

 有力候補とされているのが浅野を使うパターンだ。スピードのある彼を使えば、タテに走らせてウラを狙える。チャンスメイク重視ならおすすめである。ただしもちろん本田のような展開力はないし、裏目に出ればタテに急ぐだけでゲーム展開が単調になる恐れもある。また最近の浅野はプレイに迷っている感があり、シュートを打つべき場面でパスを出してしまったりするケースが目につく。持ち前の思い切りの良さが出ていない。それが出せるようならプランBはイケる。

【プランC】クセ者、久保の存在もおもしろい

 久保は前に張ったFWの周囲を衛星的に動くセカンドストライカーとして2トップで使われる選手だ。それを考えればサイドでのプレイも比較的苦にしないように思える。思い切りもよく、ゴール前に顔を出せれば威力のあるシュートを打てる。所属チームでも試合に出ており調子もいい。コンディションは万全だ。ただし反面、今回代表へは急な参加であり読めない部分も多い。当たればデカいがリスキーといえばリスキーだ。

【プランD】斎藤を左で使い右に原口をもってくる

 マリノスの斎藤はオマーン戦で非凡なところを見せた。Jリーグでもドリブルがキレまくっており非常に威力がある。彼をジョーカーとして相手が疲れてきたころ途中交代で使うテもあるが、スタメンでもおもしろい。もちろんリスクはあるがメンタルも強く抜擢されて爆発する可能性も高い。原口は左右どちらでもできるので右に回ってもらう。破壊力という意味では、プランDが最強かもしれない。

 さて、予選突破がかかる世紀の大一番だ。

 すべてのサポーターよ、埼スタに魂を送れ。
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【サウジ戦・展望】サウジは引いてロングカウンター狙いでくる

2016-11-14 11:17:02 | サッカー
大迫・清武はOK、「右SH・浅野」は機能するか?

 ホームに首位を迎える大一番のサウジアラビア戦。日本はオマーン戦で結果を出した大迫、清武をスタメン起用し、右SHには本田を外し浅野を使う可能性が出てきたようだ。とすれば大迫、清武はまったく問題ないが、若い浅野のデキが試合を左右することになる。

 本田は確かにオマーン戦でキレが悪かったが、やろうとしているプレイ自体は悪くなかった。もし浅野が代わって出るなら、あの本田のようなサイドから真ん中にかけての組み立ての仕事が消えてなくなる。タテへのスピードを武器にする浅野は持ち味がまったく違うからだ。浅野の起用が吉と出れば裏を狙ってチャンスが作れるし、凶と出れば展開が単調になる。また浅野が右SBとうまく絡み、SBを生かせるかどうかもポイントになる。

 そして最大の焦点は、思い切りがよかったはずの浅野がこのところ消極的になっている点だ。周囲のベテランに遠慮しているのか、ドリブルでタテに抜け出すべき場面やシュートの局面でパスを選択してしまう。彼は本田のように「人を使う」タイプではない。逆に「使われて」スピードが生きる選手だ。経験が浅い浅野には、「自分が生きるスタイルとは何か?」を考え、ベストな状況判断をしてほしい。

サウジをどう攻略するか?

 さて首位サウジアラビアに勝ち点3差をつけられた3位の日本としては、ホームで首位を叩く絶好のチャンスだ。勝って勝ち点3を取る以外の戦い方はありえない。

 では一方、サウジアラビアはどんな戦い方でくるか? サウジは堂々のグループ首位。しかもアウェイだ。攻撃的にくる理由がない。おそらく引き気味で守備的に戦い、引き分け含みの「勝ち点1で十分」というやり方でくるはずだ。とすれば日本は「引いた相手をどう崩すか?」という、2次予選から頭を悩ました問題に直面する。カギはサイド攻撃だ。

 日本はオマーン戦でやったように、SHが絞るぶんSBが高いポジショニングを取ってサイドに基点を作りたい。日本がサイドに開けば、自陣に引いてスペースを消してくるサウジの陣形を横に広げることができる。その結果、肝心の真ん中が空く。そこを突きたい。具体的にはいったんボールをサイドに運んで敵を横に間延びさせ、クロスを入れる、または相手を横に開かせた上でボールを中央に素早く展開し、大迫のポストプレイから敵のギャップを突いてフィニッシュに行く。

 清武の展開力があれば、開いたSBを使いながら大迫を機能させる仕事は十分こなせるはずだ。あくまでサウジは自陣のスペースを消して真ん中を固めてくる。とすれば、くれぐれも日本はショートパスを使った中央突破にこだわるような戦い方は避けたい。敵の術中にハマるだけだ。
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