すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【ロシアW杯最終予選】内側のポジションを見ると頭が痛い

2017-06-18 10:36:49 | サッカー
4-2-3-1か、4-3-3か?

 今節を終えてみて、収穫についてはすでに前回の記事の最後に書いた通りだ。そこで今回は今後に向けた見通しを考察してみる。大きく分けてポイントは、システムの選択と「内側のポジション」である。

 まずシステムについてはハリルジャパンではおなじみの4-2-3-1に加え、アンカーを置く4-3-3という新しい選択肢が登場した。さていったいどちらが最適解なのか?

 4-3-3はアンカーの両脇を狙われるのが欠点だが、それを気にして親善試合シリア戦前半のようにインサイドハーフが低くポジショニングしてしまうと攻撃面でノッキングを起こす。4-3-3はアンカーを任せられる人材がいるかどうかと、インサイドハーフのセンスと能力にかかっている。日本で唯一アンカー的にプレイできる長谷部を欠く現状とインサイドハーフの人材不足を考えれば、4-3-3を日本が破綻なくこなすのは難しいかもしれない。とすればやり慣れた4-2-3-1が無難に思える。

 ただし頑固なハリルがもしも本田のインサイドハーフ抜擢を容認するなら、4-3-3は非常におもしろい選択になる。この記事で考察したように、本田をどこで活かすか? という本田問題はハリルジャパンのゆくえを大きく左右するからだ。

香川のメンタルは強くなるか?

 さて一方、内側のポジション問題へ行こう。選手別にチェックしてみる。まずトップ下の香川は技術レベルこそ非常に高いが、メンタル面に致命的な欠陥がある。

 日本代表というプレッシャーからか試合前からフリーズしているゲームもあるし(消えることが多い)、決定的な場面で思い切ったシュートが打てずパスに逃げるシーンも見られる。

 またカラダを入れ合う激しいボールの競り合いをイヤがる傾向があり、守ってはコースを切るだけのアリバイ守備も散見される。決定的にデュエルがだめだ。アグレッシブな原口あたりとはまったく対照的で、「戦えない」「ファイトしない」選手の典型である。

 これらはすべてメンタル面に起因していると思うが、だとすればいくら技術があっても才能がないということになってしまう(同じことは宇佐美にもいえる)。厳しい言い方になるが、そこが改善しない限り私は香川にまったく期待していない。となるとトップ下は清武が有力な選択肢になるが、個人的には守備面に物足りなさもあり悩ましい。

「本田問題」の解決策は?

 お次は4-3-3のインサイドハーフへ行こう。UAE戦での今野のプレイを大絶賛する声は多いが、逆にいえば彼がよかったのはあの試合だけだ。確かに目先の最終予選を勝ち抜くコマとして今野は有力だが、年齢を考えれば疑問符がつく。将来性という意味ではあくまでセカンド・チョイスだろう。

 あるいは4-2-3-1にするにしろ、ロシアW杯の本大会で中盤の底に長谷部、今野という高齢コンビが居並ぶ姿を想像しにくい。仮にその組み合わせで勝っても日本の未来につながらない。

 さて問題は本田だ。彼は親善試合のシリア戦後半で、4-3-3のインサイドハーフに入り結果を残した。だが4-2-3-1の右SHを務めたイラク戦ではバックパスの比率がかなり多く、手放しでは喜べなかった。

 確かに気温37度の酷暑のなか、あれでタメができた、時間を作ったからスタミナ消耗防止に貢献したといえなくもない。だが逆にいえば(この記事に書いたように)速いショートカウンターを捨てたプレイであるともいえる。

サイドを放棄し中へ入りたがる本田

 サイドに押し込められてボールをもつ形になる4-2-3-1の右SHだと、乾のようなスピードと突破力がない本田はタテ方向に自分で局面を打開できず、前が詰まるとどうしてもボールを保持したまま回れ右してフィールドの内側を向きバックパスに逃げることになる。

 で、そうこうするうちサイドを放棄して中へ、中へと入ってくる。本田の生存本能がそうさせているともいえるが、それならやはり最初から中のポジションで使ったほうがいい。となれば本田の適所は4-2-3-1のトップ下か4-3-3のインサイドハーフ、あるいは偽9番だ。だがいずれにせよ、本田はまず所属チームで試合に出る環境を作るのがスタートラインである。そう考えれば代表でポジション争いする状況にない今の段階であれこれ言っても意味がない。

 結局、トップ下に絶対的な存在はいない。そしてこのチームは替えのきかない長谷部が復帰し、ゾーンを無視して人に食いつく山口蛍の尻拭いをしてバランスを取ってやり、かつ両サイドに「完調な」ときの原口と久保、ワントップに大迫がいて初めて機能する。選択肢自体はほかにあっても、成功例が少ない。

 もちろん今節、乾や昌子、遠藤航、井手口の台頭という大きな収穫はあったが、やはりハリルは海外ブランド信仰を改めてJリーグからもっと選手を発掘する必要がある。てなわけで結局最後は、例によって「ハリルは頑なな固執を捨てよ」みたいな話にならざるをえない。
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【イラク戦・プレイバック】相変わらずハリルの選手起用は謎だ

2017-06-17 12:34:30 | サッカー
奇策で自己主張する代表の「爆弾」

 日本代表でいちばん「個」が強いのはハリルだ。そのため彼は試合がくるたび、「どうだ? 俺の選手起用は。驚いただろう?」という奇策を連発する。そのことによって自分を主張する。成功すればもてはやされるだろうが、ハズすと「策士、策に溺れる」になってしまう。

 なんだか私は試合のたびに、あのトルシエの2002年W杯トルコ戦を思い出す。自己主張が強くはっきりモノを言い、戦術論はロジカルなんだけど試合になるとときに策に溺れて自爆する。ハリルはびっくりするほどトルシエに似ている。

 イラク戦でハリルは原口をトップ下で使った。アグレッシブで頑張れる彼を真ん中に置くことにより、イラクに前からプレスをかけて圧倒する狙いなのか? そう思いながら見ていた。実際、相手ボールになると大迫と原口が最前列で横に並んでコースを切っていた。だがその割にプレスをかける位置が低く、デュエルというほど激しさもない。

 もちろん気温37度、湿度20%のあのシビアな環境でハイプレスをかけ前からガンガン行くなど自殺行為だが、とすれば原口をあのポジションで使った意図は何なのか? おそらく原口は単に「玉突き」で弾かれトップ下に収まっただけなのだ。

 どういう意味か? ハリルの選手起用を見ていると、彼には「どうしても外したくない選手」が何人かいる。彼はそれらの選手に異常に固執する。もし同じポジションにいい選手が台頭すれば元の選手は外すのがふつうだが、ハリルはポジションを変えてでもその選手を起用することにこだわる。例えばアウェイのオーストラリア戦で本田を偽9番として使ったのもそれだ。

複雑なパズルを解こうとして自爆

 では今回はどうだったか? まず原口はハリルの中では今や替えのきかない選手である。そこに新しく「どうしても外したくない選手」として久保が台頭してきた。彼のポジションは右WGだ。本田とかぶる。だが本田は親善試合のシリア戦でいい結果を残しており、次のイラク戦でも使いたいーー。

 で、この3人が玉突き現象を起こし、わざわざ久保を左に回し原口を真ん中へ持ってきて複雑なパズルのピースを埋め、「どうだ? 俺の選手起用は。驚いただろう?」とハリルは大見得を切ってみせた。

 ふつうなら久保と原口を本来のポジションである左右に起き、トップ下に本田を置くのが自然に思える。だがハリルはそんな「当たり前のこと」はしない。かつ、「本田のポジションは右WGだ」と絶対に意地でも動かそうとしない。異常に自己主張が強くて頑固。いかにもハリルらしい選手起用である。

 そして我が日本代表はそんなハリルの小児性ゆえ、常に「トルシエの2002年W杯トルコ戦」自爆の日を迎える可能性があるのもまた事実である。

原口を交代させたダメージはデカい

 さて久保はシリア戦から続く不調と、試合途中からはケガで試合から完全に消えていた。彼を乾と交代させることと、下がり過ぎた全体のゾーンを押し上げること。この2つが実現していれば、あのゲームはまったく違ったものになっていただろう。そうすれば日本は追加点が取れ、酷暑のなかで2-0になればイラクの選手は戦意喪失していたかもしれない。

 その意味では運動量豊富で好調だった原口を倉田に替え、2枚目の交代カードを「ムダに」1枚使ってしまったのが大きい。他の2枚はケガによる余儀ない交代であり、そのため結果的にカードを使い切って切り札の乾を途中出場させることができなくなった。

 ハリルは「原口はバテた」と判断したようだが、私の目にはそうは見えなかった。ことにアグレッシブな原口は気温37度でケガ人だらけのこの試合のようなキツイ悪条件でこそ「次の一歩」が出せるガッツのある選手であり、そこの判断は疑問が残った。

昌子と遠藤航、井手口の台頭は大きな希望だ

「選手起用で過剰に自己主張するハリル」という地雷を抱えてはいるが、今節の代表はまったく新しい、そして大きな収穫があった。CB昌子とボランチの遠藤航、井手口だ。過去に何度も書いているがこのチームの最大の課題は世代交代であり、彼らの躍進は実に頼もしかった。

 昌子はタイトで知的なディフェンスと、正確なフィード能力を兼ね備えた逸材だ。2016年のクラブW杯でもすばらしいプレイをしていたし、なぜいつまでもベンチで腐らせておくのかとても不思議だった。もちろん今節はミスもあったが、トータルでいえば大きな収穫を得たといえるだろう。

 一方、全体のバランスを取りながらカバーリングのできる遠藤航は、(将来的に)長谷部の代わりが務まる日本で唯一の選手であり、このまま経験を積ませればロシアW杯本大会にも間に合いそうな気配がしてきた。積極的に前に出てゲームメイカー的な仕事もできる井手口とあわせ、非常にバランスの取れたいいコンビである。

 これに左WGは切り札の乾に原口、斎藤学を競わせ、右WGは久保、浅野、小林悠。ワントップは大迫、岡崎、武藤嘉則が絡めばとてもおもしろくなる。てなわけで日本代表はハリルという爆弾を抱えていながらも、こう見てくると相変わらずポジティブな要素ばかりが際立つ。

 え? シリア戦、イラク戦と2試合続けて格下と「1-1」の引き分け続き? いやもうやめましょうよ、そういうネガな悲観論は。
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【ロシアW杯最終予選】スタイルをめぐりチームに不協和音が?

2017-06-16 07:14:44 | サッカー
選手と監督の考えが一致しない?

 今回の召集で、練習中に監督のやり方と選手の考えに「食い違いが表面化した」と報道されていた。引き分けに終わったイラク戦後には、本田がそれを補足するような発言をしている。

 想像するに、たぶん「アレ」だろう。

 ハリルはロングフィードを有効に生かしタテに速い攻めをしたい。一方、選手は放り込みでなくパスをつなぎたいーー。まあ、例のやつだ。特にタメを作るのを好みバックパスを厭わない本田あたりは、ハリルの方針と真逆なのだ。

 本田は、マイボールになったら何度でもバックパスを繰り返し後ろから細かく組み立て直す「バルセロナ教」の遅攻の信者だ。彼はそのスタイルを変えるつもりはない。タテに速いショートカウンターを志向するハリルと考えが合うはずがない。

 そして本田の危うさは、そんな自分の考えるサッカーをチームメイトに説き、布教しているフシがあることだ。特に自身が代表でレギュラーをつかみかけている今だけに、彼の口が滑らかになりすぎる可能性は高い。そんな感じで選手と監督の認識のちがいがさざ波のように大きくなれば、チームは空中分解する可能性すらある。

マニュアル思考の日本人は「指示を待つ」

 日本人はマジメな上にマニュアル思考だから、監督に言われたことをそのままやろうとする。自分の頭で考えず、試合の状況がどうあれ愚直なほどに監督の指示一辺倒になる。自分の中で咀嚼し、状況に応じて別の対応をするということが苦手だ。「指示を守らなければ外される」というプレッシャーもそれを後押しする。

 そもそもハリルはこれまで、口を酸っぱくして言い聞かせても無視して指示を聞かないような「個の強い」人々がいる国で監督を務めてきた。そんな彼らに言うことを聞かせるには、自然と口調も強くなり、指示を守るまで同じことを何度も言うハメになる。

 言葉は悪いが「ムチを入れること」が必要だ。

 だがいろんな意味で個が弱く、むしろ指示待ちになる日本人にそこまで強くやる必要はない。なのにハリルは過去の経験で身についた指導法をそのまま実践している。で、その迫力に押されて選手が機械的に指示を守りすぎる状況が生まれる。これはハリルの監督就任当初から起きていた問題だ。

状況に応じてやり方を変えろ

 要はバランスの問題なのだ。

 本田の考えるサッカー一辺倒だと、必ず遅攻になる。ボールを奪えばいったんバックパスしてひと休み。味方の上りと、敵が守備の態勢を立て直すのを十分に待ってやってから攻める「ザックジャパン現象」が起きてしまう。

 だがそのスタイルが世界に通用しないことは、ブラジルW杯ですでに結論が出た。で、横や後ろにボールをつなぎ時間を作るのでなく、逆にハリルが主張する「タテへの速さが必要だ」という話になる。

 だがハリルの言うことばかり聞いていると、今度は状況がどうあれすぐタテに長いボールを放り込む、性急でアバウトなフィジカル勝負のサッカーになる。こうなるとむやみに競り合いが続いて体力が消耗し、タメがなく絶えずボールに追われてスタミナが削られる……。

 てなぐあいで事態は限りなく無限ループする。要はそのときの敵味方の配置など「状況に応じて対応を使い分ける」ことが必要なのだ。

オーストラリア戦はつないで攻めろ

 例えば10回、マイボールになったら「10回ともロングボールを入れる」などというのはおかしい。敵の守備隊形が完全に整っているのに、そこへボールを放り込んでも弾き返されるだけだ。

 だが逆に「10回すべてショートパスで攻める」のも不合理である。せっかく敵の陣形が崩れているのに、速く攻めずに時間を使うのでは相手に立て直しの余裕をあたえてしまう。

 特に相手チームが前がかりになり、意図的にバランスを崩して攻めてきたときボールを奪えたら? そのときは素早く攻守を切り替え(ポジティブ・トランジション)、敵の体勢が整わないうちにタテに速いショートカウンターをかけるのが有効になる。こんなふうに「そのときの状況はどうなのか?」を考え、状況に合わせたベストなプレイの選択が必要だ。

 例えば次節のオーストラリア戦などは、ハリルが考えるタテにロングボールを入れて競り合うような戦い方をすれば絶対に日本が不利だ。

 オーストラリアはそういうイングランド・スタイルが得意な上、そのやり方では彼らの強靭なフィジカルが生きる。逆に本田が考えるようなていねいにつなぐサッカーをベースにし、もしスキを見つけたら状況に応じてタテに速いショートカウンターを織り交ぜる、という戦い方がベストだ。

 サッカーはとにかくシチューション次第。ハリルも本田も、そのことを肝に銘じてほしい。
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【オーストラリア戦展望】自分たちの武器(ハイボール&フィジカル)を捨てた彼らはこわくない

2017-06-15 09:09:23 | サッカー
悲観論が渦巻く論調にうんざり

「サッカー協会首脳がハリルに疑問符」とか、「オーストラリアに勝てなければ地獄のサウジ戦だ」とか、まあどうして日本人てのはこうもネガティヴなんだろうか?

「たかがオーストラリア」のくせに首位争いしている生意気なオージービーフを、ホームで完膚なきまでにぶっ叩けるまたとないチャンスなのだ。私なんて今からもうワクワクしてしようがない。

 前回の対戦を思い出してもみよう。

 日本に引きこもられ、ボールを持たされたあげく、アタフタとぎこちなく最終ラインからビルドアップするあのぶざまなオーストラリアの姿を思い浮かべると、とうてい日本が負ける相手とは思えない。いや楽観とか油断とかそんな話じゃなく、オーストラリア自体のレベルがそう高いとはとても思えないのだ。言葉は悪いが「世界の三流チーム」だろう。

 もちろんハイボールを競り合うようなフィジカル勝負の展開になれば彼らは難敵だが、前回みたいにグラウンダーのパスで丁寧にビルドアップしようとしてくれればちっともこわくない。日本のハイプレスが効く。なんせ彼らはかつてのイングランド・スタイルを捨て、今は「つなぐサッカー」を志向してるんだから飛んで火(プレス)に入る夏の虫だ。

 オーストラリアはスピードがなく動作も緩慢で、日本の速いパスワークやプレッシング、タテに速いショートカウンターについてこられるとは思えない。前回の対戦ではハリルが過度に警戒するあまり、自分に酔う奇策(引きこもり)で勝利を放棄したが、まともにやっていれば勝てたはずだ。しかも今度は大観衆が後押しするホームだし、日本がフルメンバーを揃えれば敵じゃない。

 だいたい万一、オーストラリアに負けるようなら、仮にW杯本大会へ出たって何もできずにグループリーグ敗退が関の山だろう。それなら日本で謹慎してろ、って話だ。

 さあ後がない痺れるようなオーストラリア戦、ぶちかまそう。
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【ロシアW杯最終予選】勝ち点2を失ったが前を向け 〜イラク1-1日本

2017-06-14 09:30:37 | サッカー
アウェイで引き分けなら儲けモノ?

 日本は勝ち点1を得たのか、それとも勝ち点2を失ったのか? サッカーには付き物である永遠のお題が頭をかけめぐる。そんな試合だった。

 ハリルはこの大一番で若い遠藤航と井手口の2人をボランチで組ませ(彼らのデキはよかった)、トップ下には原口を。また久保を左WGに回して本田を右で使った。まさにスクランブル態勢の4-2-3-1。ケガ人を抱えていることもあってか、ハリルジャパンでは見たことがない選手の組み合わせと配置転換で臨んだ。

 日本は前半8分にFW大迫のヘッドでシナリオ通り早くも先制点が取れ、「あわよくば守り切ろう」という誘惑にかられる。前半20分頃からチーム全体の重心がズルズルと後ろに下がり、相手ボールになったらほぼ全員が自陣に引いた。立ち上がりから、ワントップの大迫とトップ下の原口が前に並んでイラクのボランチにプレスをかけていたが、次第に彼らの守備位置も低くなって行った。

 同じように引いて守るといっても、あのアウェイでのオーストラリア戦のときのように、自陣にブロックを敷いて「やってこい」としっかりオーガナイズされた状態では明らかにない。

 特に後半はイラクにペースを握られ、日本は運動量が落ち攻守の切り替えにモタついた。前からプレスがかからず、マイボールになっても前線で大迫が孤立する。久保もシリア戦と同様、デキが悪い。そうこうするうち後半27分に自ゴール前の混戦から押し込まれて同点にされた。

 これで曲がりなりにも日本は勝ち点17のグループ首位。2位サウジと3位オーストラリアが勝ち点16で並んだ。日本は残るオーストラリア戦かサウジ戦のどちらかに勝てばW杯本大会出場が確定するが、最終節の対サウジは厳しいアウェイだ。よって次戦、ホームのオーストラリア戦でぜひとも決めたい。

試合運びに疑問は残るが……

 この試合、判断は難しかった。気温37度の酷暑でアウェイ。先制点が取れたら無理せず自陣にブロックを敷き、機を見て追加点をうかがう試合運びをしよう、という選択肢はある。現にイタリアをはじめそういうやり方をするチームは世界に多い。

 だが日本は「受け身になったら負けだ」という国民性である。そんなイタリア人みたいなしぶとい勝ち切り方は苦手だ。ところがまるで蛾が明かりに吸い寄せられるかのように、じわじわとまさにその苦手なシチュエーションに日本は自らのめり込んで行った。

 それにしても後半27分の失点の場面。自陣ゴール前の混戦から自ゴールを向いたCB吉田は、GK川島にボールを譲ろうとした。難しい判断だが、少なくとも吉田があそこではっきりクリアしていれば失点はなかった。そのほかにも先制したあとゾーンを高く保ち積極的に戦っていれば? またボランチの井手口とSB酒井(宏)、久保の3人がケガしていなければ? など「たられば」を挙げればキリがない。

 だが死んだ子の年を数えても仕方ない。次はオーストラリア戦にすっきり勝ってロシア行きを決めよう。
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【サッカー日本代表】シリア戦の後半がもたらす「大きな意味」とは?

2017-06-10 07:37:20 | サッカー
新戦力がチームを活性化する

 ひどいデキだった先日のシリア戦「前半」に警鐘を鳴らす声がなんだか多い。だが私はまったく心配していない。それだけ「後半」のもたらす意味が大きいと考えるからだ。つまり後半に出場した乾と本田、井手口の台頭である。

 ポイントは2つだ。まず第一に、チームというものは絶えず活性化が必要だ。これがなくなれば鉄板スタメンが固着して動脈硬化を起こしたザックジャパンの二の舞になってしまう。

 例えばここ数試合の貢献で原口はなんだか「不動のレギュラー」みたいになっているが、その同じポジションに乾が出てきた。2人は今後ライバル意識を持ち、激しいレギュラー争いをしながらハリルジャパンに刺激をあたえて行くだろう。

 その意味がチームにとってどんなに大きいか? もちろんこれは山口蛍がアンカー確定みたいな雲行きだったところに井手口が「待った」をかけたのも同じである。

中盤で「時間」を作れる本田

 そして第二のポイントは、右インサイドハーフに本田という大きな選択肢ができたことだ。個人的には、彼はあくまで中盤の選手であり、年を重ねたらひとつポジションを下げてボランチが適任だとずっと思っていた。だがインサイドハーフは攻撃的な本田に、より向いている。

 とかく「縦ポン」一辺倒になりがちなハリルジャパンの中盤にキープ力と展開力のある本田が入れば、タメを作ることができる。これは大きい。いやハリルジャパン最大の武器は(アバウトな放り込みでなく)狙い澄ました正確なタテへのロングフィードであることはいうまでもない。だがそればっかりではあのイラク戦みたいなドタバタにもなる。

 そこでキープ力と展開力に優れる本田が中盤でタクトを振れば、適度な「時間」を作ることができる。そのできた時間のあいだに味方がオーバーラップしたりダイアゴナルランしたり、マークを外す動きをしたりできる。つまり「仕込み」の時間が生まれるわけだ。これは大きい。

 タテに速いショートカウンターが来たかと思えば、お次はいったんタメて深みを作る。これにより対戦相手はたちまち的を絞りにくくなる。サッカーにはそういう柔軟性が必要だ。その意味で本田に中盤での見通しが立ったのはデカい。

 悲惨な内容だったシリア戦「前半」を分析し危機感を煽るのもいいが、サッカーのプレイと同じく批評にも柔軟性が必要なんじゃないだろうか?
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【キリン杯】本田や乾が可能性を示した後半に光 〜日本1-1シリア

2017-06-08 09:42:03 | サッカー
前半はひどいデキだった

 日本は前半の立ち上がりからバタバタとずっと落ち着きがなかったが、後半にメンバーをガラリと替えてから有機的に機能するようになった。前半の出来の悪さより、むしろ後半に出場した本田や乾、井手口らの輝きに期待がふくらんだ試合だった。

 スタメンはGKが川島。CBには昌子が抜擢され吉田と組んだほか、SBは右の酒井(宏)と長友。アンカーは山口蛍が務め、インサイドハーフに今野と香川。FWは左から原口、大迫、久保が並ぶ4-3-3だ。

 前半の日本はコンビネーションに乏しく、ボールのつなぎも散発的でまったく試合をコントロールできなかった。前の選手が引いてボールを受ける場面が多く、そこからビルドアップできない。逃げのショートパスばかりですぐ前が詰まる。ハリルジャパン最大の特徴である急所を突くロングフィードがほとんど見られなかった。

 だが後半の頭から久保に替え本田を、53分にはアンカーに代表初出場の井手口を入れた日本はボールがよく動くようになり、立ち上がりに失点したものの58分に長友のクロスから今野が詰めて同点に追いつく。その後は終始、日本がゲームを支配した。

本田がインサイドハーフで輝く

 選手別では、後半途中から右のインサイドハーフに入った本田は、「やはり彼は中盤の選手だな」と感じさせた。キープ力と展開力で少し引いた位置から試合をコントロールした。

 思えば彼はミラン移籍から(持ち味と正反対の)スピードを求められる右WGに押しやられ代表でも同じ右WGに。自分の武器を出せないミスマッチなポジションでずいぶん時間を浪費した感がある。案外、本田の未来は「これから」かもしれない。彼のインサイドハーフは大アリだろう。

 また緩急の切り替え鋭いドリブルで敵を翻弄した乾は、大いに可能性を感じさせた。ボールをもち、マーカーと正対して前をうかがう彼の姿には風格があり、「あれはレアル・マドリーの選手では?」などと錯覚させるに十分だった。同サイドの長友をうまく使ったコンビネーションもよく、チャンスを量産した。その長友は運動量豊富に左サイドを駆け抜けチャンスメイク。酒井(高)と比べ1日の長があった。

 悲惨なデキだった前半を抜きにすれば、後半は全体にチームの完成度はまずまず。特に途中出場した新戦力が将来に希望をつないだゲームだった。ここまできたらもうポジティブに考えるしかない。香川はケガで交代したが、代わりにインサイドハーフとしての本田を発掘できた。乾や井手口も輝きを見せた。13日のイラク戦は、ハリルの大胆な選手起用に期待したい。
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【タイ戦プレイバック】「予選は結果がすべて」じゃなかったのか?

2017-03-30 07:37:51 | サッカー
批判が噴出した「4-0の大勝利」

 さて今回のお題は「人によって意見が違う」ので、あえて「私は」と一人称を多用して書こう。

 今節、サッカージャーナリストのみなさんが書いているタイ戦の戦評には、どうも違和感を覚えた。論点はザックリ3つある。厳密には2つに大別できるが、片方が2つに枝分かれするのでまあ3つだ(ややこしいなぁ)。

 まず第一は「予選は結果がすべて」論についてだ。日本のサッカージャーナリストは確か「結果がすべて」論者がほとんどだったはずである。

 だがなぜかタイ戦での4-0の勝利を喜ぶ声がない。「内容を問う声」がほとんどだ。どうも矛盾している。ダブルスタンダードだ。むしろ逆にふだんから「予選といえど結果だけでなく内容も求めたい」と余計なことを言って叩かれる(笑)私のような人間がタイ戦を見て「すごい決定力だった」などと褒めているのだから笑える。

 ただこの点に関しては、それだけ内容が悪かったんだからまあしかたない。ここをあんまり掘っても生産的じゃない。次の論点に行こう。

ロングフィードは是か非か?

 もうひとつ、なかなか結論が出ない永遠のテーマなのがロングフィード是非論だ。ここでハリルジャパンに対する評価が大きく分かれる。

 例えば同じタイ戦を見ているのに、「ロングボールばかりじゃないか」という人が多い。ところが私の目には逆にバックラインでボールを回したり、横や縦にショートパスをつなごうとしてはカットされるシーンが目についた。同じ試合を見ているのにこれだけ見方が違うのだ。

 もちろんザックジャパンとくらべれば現代表はロングフィードが多くなったが、私はタイ戦を見て「多すぎる」とは思わない。なぜなら、それは相手のやり方に合わせる必要があったからだ。

 どういう意味か?

 私がタイ戦でロングフィード支持を唱えた理由はふたつある。ひとつは相手が前からプレスをかけてきていたこと。もうひとつは日本のボランチ・コンビの機能不全だ。

 私としては、タイ戦のように相手が前からプレッシングしてくる試合ではロングフィードはアリだと思う。相手の陣形を縦に伸ばせるからだ。これで敵が全体に引いてくれれば、今度は相手が前からプレスをかけられなくなる。つまりタイがやりたいフォアプレッシャーを回避することができる。かつ、ロングボールで相手を下がらせれば、逆に日本の低い位置にスペースができるので後ろからビルドアップしやすくなる。

状況に応じてプレイすべきだ

 サッカーはなんでもそうだ。ケースバイケースである。

「何でもかんでもロングフィード」「何でもかんでもショートパス」「相手がどんなやり方をしてこようが『自分』を変えない」。そうじゃなく、相手の手に合わせて柔軟に戦うのが賢いと「私は」考える(もちろんここでも考えは分かれるだろう)。

 とはいえ目を瞑ってアバウトなロングボールをなんとなく前へ蹴り込み、前線の選手がヘディングで競ってこぼれ球をひろう、みたいなサッカーは私もよしとしない。だがCBの吉田と森重は非常に正確なロングボールをピンポイントで蹴れるのだ。「放り込み」ではなく、前線の選手の足元にピタリとパスを付けることができる。なら使わないテはないだろう、と私は思う。

 ここで議論がまっぷたつに分かれる。「日本の持ち味はショートパスをつなぐパスサッカーだ」という論者には、ロングフィード肯定論は受け入れられない。なかには相手がどんなやり方をしてこようが「美しいパスサッカー」をすべきだ、と考えている人もいる。で、ハリルジャパンを否定する。

 いやもちろん私だって、勝てるならどんなスタイルだっていい。だが相手のやり方に関係なく「常にショートパス&ポゼッション」では日本は世界で勝てないことが、ザックジャパンで実証されたと私は考えるのでそっちの論には組しない。あくまでケースバイケース(相手のやり方次第)であるべきだ。

あの急造コンビでボランチ経由の組み立ては無理だ

 さてもうひとつ、タイ戦でのロングフィード肯定論が枝分かれしたほうの問題についてだ。

 UAE、タイと続いた今回の連戦では、長谷部がケガで欠場した。彼は日本でいちばん替えのきかない選手である。どうも日本では長谷部の評価が異様に低いように感じるが、私は彼をいつも感心して見ている。長谷部の全体のバランスを取るポジショニングと正確なロングフィードは(特に前者は)マネできる選手がいない。

 例えばコンビを組む山口蛍は長谷部が下がりバランスを取ってくれるからこそ、何も考えずにゾーンを無視してピューッと前へ出て人に食いつけるのだ。

 だがその長谷部は今回いない。そのため今野が招集されたが(厳密には彼は長谷部の代役[=アンカー的プレイヤー]ではないが)、その今野もケガで欠場した。もう駒がいない状態だ。

 で、代表では左SBだが所属チームでボランチをやってる酒井(高)をスタメンにし、山口蛍とコンビを組んだ。この時点で、もうやる前から結果は想像できる。

 ぶっちゃけ、酒井(高)にはボランチの適性はない。彼はスピードに乗った飛び出しやオフ・ザ・ボールの動きに優れる。非常にアグレッシヴでいい選手だ。だが足元の技術があまりない。ゆえに自分がボールを持つとパニックになり、とたんにミスをしてしまう。つまり「使われるタイプ」の選手であり、「人を使うタイプ」の選手ではない。この点では山口蛍も同じだ(ただ彼のほうがまだ人を使えるが)。

 つまり大昔のディフェンス・ラインに例えれば、タイ戦ではストッパー・タイプのボランチが2人並んでいた。スイーパー・タイプ(アンカー)不在だ。そんなバランスの悪い急造ボランチコンビが機能しないのは、ちょっと考えれば分かる話である。実際、実戦でもデキが悪かった。

 だが私はアンカー的な駒が払底した状態で無理やり組まされた、あのコンビを批判するのは酷だと思った。ゆえにマッチレビューではあえてまったく触れなかった。と、やっとここでロングフィードに話が戻ってくる。

 今回のコンビがどちらも人を使うタイプじゃないのは前述の通りだ。つまりボランチを経由して組み立てができないなら、ビルドアップにはある程度目を瞑り後ろからのロングフィードを有効活用するしかない。で、私はタイ戦ではロングフィード肯定論を唱えた。だってそうするしかないじゃないか。

3つの課題は永遠のテーマか?

 図らずもタイ戦で露呈したこれらの問題点は、ハリルジャパンの急所である。

 ひとつはアンカー的にプレイできる長谷部の後継者がいないこと。才能的には遠藤航は代表で経験を積めばやれると思うが、ロシアW杯には間に合わない可能性が高い。なにより所属チームで違うポジションをやっているのが痛い。

 第二の論点は、ゲームメイカー的な機能を果たすボランチもいない点だ。

 私は柴崎岳に期待していたが(そして今も期待しているが)彼はハリル政権下ではもっとデュエルに長けなければ起用されないだろう。となると小林祐希かなぁと思うが、いかんせん彼はボランチの経験が浅い。個人的には本田がやるのがベストだと思っているのだが、本人には全くやる気がないようなので絵に描いた餅である。

 あとは青山とか比較的上の年代にいい選手はいるのだが、個人的には今の代表は世代交代が必要だと考えているのでボツだ。こう考えてくると結局ないものねだりになって結論が出ない。

 さて第三に、ハリルジャパンの特徴であるロングフィードを肯定するかどうかだ。

 これに関してはもはや宗教論に近い。「美しいパスサッカーこそ日本らしい」教の人にどう論理的に理屈をもって説得しても宗教ゆえにムダだろう。キリスト教徒にいきなり「イスラム教に改宗しろ」と言うのと同じだ。

 すなわちこのテーマに関しては「どっちが正しい、まちがっている」の問題ではなく価値観の違いであり、「その人がどんな人生を送りたいか?」の問題だから(謎)人によって必ず異論が噴出して結論は出ない。

「4-0で勝った。大勝だ」と喜びスルーしたって済むタイ戦ひとつとっても、これだけ論点が噴き出してくる。議論がつきない。そして残念ながら結論も出ない。

 さてあなたはどう考えますか?

 本当に「サッカーを考える」っておもしろいですねぇ。
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【ロシアW杯最終予選】敵のやり方に合わせたハメ方ができず 〜日本4-0タイ

2017-03-29 09:35:02 | サッカー
神様 久保さま 大黒様

 日本はケガで離脱した大迫と今野に替えワントップに岡崎、ボランチに酒井(高)を起用したスクランブル態勢で格下相手の試合をしのいだ。トップ下に香川、右に久保を置く4-2-3-1だ。

 タイは4-4-2のゾーンディフェンス。ラインが高くコンパクトでコンディションも非常によかった。彼らは日本を怖がらず思い切りがいい。前回とはまったく違うチームになっている。

 ただしラインが高いためウラにスペースがあり、再三、久保にそこを突かれた。久保や原口はぽっかり空いた前のスペースでもらいたい。だがボールを持った最終ラインは途中からロングフィードがぱったり影を潜め、後ろから短くビルドアップしようとしては前が詰まってバックパスに終始する。UAE戦と同様ゾーンが縦に間延びし、日本は前線と後ろ半分がまるで別の指揮系統で動いているかのようだった。

 もっとウラを狙って正確なロングボールを積極的に前線に入れていれば、タイの守備陣はガタガタになっていたのではないか? なのにラインを高く保ちプレッシングして前でボールを取ろうというタイのゲームプランに日本は見事にお付き合いし、後ろからビルドアップしようとして敵のプレス網にかかりあわててバックパスを繰り返す。または横につなごうとしてボールを取られる。

 そうではなくウラにスペースがあれば徹底して狙おう。それにより敵のゾーンを下がらせれば、前からプレスがかけられなくなる。そして相手が下がったぶん今度は日本の自陣寄りにスペースができるため、後ろからのビルドアップがラクになる。ポゼッションするなら、この仕込みをやってからだ。日本はそんな相手のやり方にうまく合わせた臨機応変なハメ方ができてなかった。ハリルの指示で途中から修正しようとしていたが、うまくいかなかった。

 単純なパスミスも目立ったし、なにより何度もチャンスを作られた守備に関しては抜本的な見直しが急務だ。プレスもかからない。このあたりは課題だろう。

チャンスに必ず決める驚異の決定力

 ではなぜ大量得点できたのか? もちろんひとつには1ゴール2アシストの久保様の活躍。第二に、とても日本とは思えない驚異の決定力である。

 久保は自分で行くこともできるし、味方を生かすクロスも非常に正確だ。特に岡崎がニアに入り頭で決めたチーム2点目のクロスはドンピシャだった。もし久保がいなかったら、日本は敵のプレスに苦しみ低いゾーンに押し込められていたかもしれない。この日の活躍で久保はもうレギュラー確定ではないか?

 一方、UAE、タイと続いたこの連戦での日本の決定力は目を見張るようだ。この日の2点目はカラダを投げ出す岡崎にしかできない点の取り方だし、1点目の香川もフェイクを入れて敵をかわしてからシュートするなど非常に落ち着いていた(香川はこのゴールが復活の契機になればいいが)

 3点目を決めた久保も、ペナ外から思い切りのいい絶妙なコースを狙うシュート。4点目の左CKからの吉田のヘッドもドンピシャだった。

 いまだかつて日本が、こんなに迷いのないクリーンシュートばかりを決めた試合があっただろうか? UAE戦でもそうだったし、過去の決定力不足がまるでウソのようにチャンスにキッチリ決めている。日本の決定力は案外着実に上がっているのだろうか。このへんは今後の試合でも継続的に観察して行きたいポイントだ。

 相手のゲームプランにお付き合いしてしまったのは修正点だが、とはいえこの効率的な勝ち方は目を引く。かつてのようにバックパスを多用しキッチリ後ろで組み立ててから、というのでなく、早めに前へボールを運んであとは決定力で勝負する「ニュージャパン」が誕生しつつある。ポゼッション一辺倒からの脱皮が進んでいる印象だ。

当たりまくり、ハリルの采配で裏ドラが乗る

 ハリルの采配もUAE戦に続きズバリ当たった。

 大迫の代わりに起用した岡崎が追加点を取り、香川に替えて途中出場させた清武がダメ押しの4点目を呼ぶナイスフィードでアシスト。所属チームで試合に出てないのに、突然UAE戦に続きスタメンをまかせたGK川島が見事にPKを止めた。リーチをかければ必ず裏ドラが乗る流れに乗った選手起用だ。

 それだけじゃない。

 アウェイのUAE戦対策だったのだろうが、この連戦でなんの前触れもなく今野や川島らベテラン陣をとつぜん起用し始めた。またあれだけクサしていたJリーグ勢を重用したかと思えば、UAE戦ではシステムを変え、前に出て人に食いつくタイプの山口蛍を適性とは真逆のアンカーに起用するなど、意表を突きまくりの采配だが見事にすべてが当たっている。

 いやはや、参りました。

 ほんとにあのおっさんは、謎が多くておもしろいねぇ。

 最後に、何点取られてもボールに食らいついてくるタイのファイティング・スピリットには敬意を表したい。心を動かされた。ありがとう、タイ。
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【ロシアW杯最終予選】ハリル采配がズバリ当たるも消化不良 〜UAE0-2日本

2017-03-25 10:34:43 | サッカー
悪いながらも勝てるのは老獪さか?

 UAEにはこわさがなかった。

 明らかに前回のチームとちがう。日本はそんな不出来な相手に助けられたゲームだった。

 日本は守る時はコンパクトだったが、攻める時はコンパクトじゃなかった。ラインの押し上げが効かず、前線との間が間延びしている時間帯が長かった。また選手が集団としてプレイするときスムーズさがなかった。いかにも急造チームという感じだ。

 ケツを叩かれた形の香川も相変わらず冴えない。特にシステムが4-2-3-1から4-3-3に変化したときインサイドハーフとしてのポジショニングが悪く、機能しなかった。

 もちろん得点シーンはどちらもすばらしかった。いい形、いい時間帯に先制点と追加点が取れ、日本は本調子でないながらも試合をリードできた。悪いながらもペースを握れる。それでも勝てる。これはとても大きいことだ。特にチームの心臓である長谷部不在の試合をしのげたのはデカい。山口蛍がうまくバランスを取った。粘っこい今野もよかったが、年齢的に彼が長谷部とともに本大会で起用されるとは思えないので複雑な心境ではある。

 いずれにしろこの試合の分水嶺は前半20分だった。あのUAEの決定的な1対1をGK川島がもし止めてなかったら(あそこで同点になっていたら)、どう転んだかまったくわからない試合だった。そこは肝に銘じる必要がある。

 ただし勝敗に関しては、ハリルの采配がズバリ当たった。突然ベテランを重視し始めたので何かと思ったが、おそらくスカウティングの結果なのだろう。香川に代えてユーティリティな倉田秋を途中投入し守備を修正したのもお見事。マンツーマン気味の守備もハマった。逆に得点についても監督が抜擢した今野と久保がゴールを取れ、ハリルが選手をよく操った感じだ。

 内容的には楽観できない。だが勝ったのは大きい。ポジティブに考えれば、日本は悪いながらもこうして予選を勝ち抜いて行くのだろう。

 問題は、本大会で「何ができるか?」だ。
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政権交代が起きない日本というシステムの不幸

2017-03-05 19:19:33 | 政治
安倍政権の1強多弱を小選挙区制が補完する

 森友学園問題でさかんに紛糾する日本の政局。だが正直、打倒・安倍政権を掲げて活動する反自民勢力の中にも、「日本会議ではない温和な勢力が、新自由主義でなくケインズ的な政権運営をやってくれれば自民党に投票するのに」という人も多いのではないか?

 ではなぜそんな声は政権交代に結実しないのか?

 ひとことでいえば、現行の小選挙区制度ゆえだ。

2大政党制が定着しない日本の特殊事情

 小選挙区制度下では政治勢力は政党ごとにまとまり、2大政党制が促進されるといわれている。

 だが野党第1党の民進党は、野党共闘をまとめるどころか民進党内ですらまとめ切れない。かつて党首をつとめた小沢一郎氏のような、政権志向の割り切りができない。

 党内民主主義とやらで意見が分裂し、肝心の「自民党と対決する」というベクトルに向かわない。

 結果、何が起きているか? 岩盤のような安倍政権の1強体制だ。自民党は民進党とちがい、権力志向の割り切りができる。小選挙制区度下では政党単位でまとまらなければ肝心の政権が取れない。そうハッキリ理解している。

 すると森友学園疑惑で大激震のこの政局でも、安倍総理以外の対抗馬が安倍体制に異議を唱える、ということがない。政権の外にいる石破茂氏が「奇ッ怪だ」と発言したくらいだ。

 日本会議という政権の芯を軸にまとまり、盤石の結束を見せている。

中選挙区制度下では自民党内にも擬似・政権交代があった

 これがひと昔前の中選挙区制度下でならどうだろうか?

 自民党はいい意味での派閥単位で政策別に結集し、政権派閥に難が起きたら非主流派勢力が取って代わる、という自民党内における擬似・政権交代が起きていた。つまり冒頭でふれた、「日本会議ではない温和な勢力が、新自由主義でなくケインズ的な政権運営をやれば自民党に投票するのに」という声が政権運営に具現化できた。

 だがいまの小選挙区制度下では、「安倍総理に逆らうなんてとんでもない。安倍一択でまとまろう。でなければ小選挙区制度下では政権が取れない」という原理が働いている。

 民進党がかつての55年体制下の旧社会党のように、政権を目ざさない野党第1党としての「利権」に安住する限り、政党間の政権交代は起きない。結果、自民党政権が永続的に続く。しかも安倍政権のように独裁的な政治体制のまま。最悪のシナリオである。

 果たして日本は、小選挙区制度を続けるべきなのだろうか?

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【サッカー日本代表】Jリーグ開幕、国内組の追い上げは大歓迎だ

2017-02-26 08:13:34 | サッカー
小林悠と斉藤学が気を吐いた

 国内組では本ブログいち押しの2人、小林悠(川崎)と斉藤学(横浜FM)がJリーグ開幕戦で活躍した。

 小林は日本人トップタイの4年連続開幕ゴール、斎藤は決勝弾に絡む2アシストだ。Jリーグに上から目線のハリルをグウの根も出ないようにさせるには、国内組はこういう目に見える結果を積み上げていく必要がある。

 ハリルジャパンは小林のように点の取れるFWを渇望している。また海外移籍を封印した斎藤は移籍の話などスッパリ忘れ、持ち場のJリーグで気を吐いてほしい。

 所属チームで試合に出てもいない名ばかりの海外組が我が物顔の日本代表にとって、イキのいい国内組の追い上げは必須だ。今季、小林と斉藤はハリルの度肝を抜いてほしい。
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【サッカー日本代表】本田の偽9番はおもしろい

2017-02-22 09:48:14 | サッカー
中盤に下がる動きでゾーンにギャップを作る

 考えれば考えるほど、本田は偽9番にぴったりだ。なぜなら彼は展開力と得点力を同時に兼ね備える代表でも珍しいタイプの選手だからである。

 本田はいつのまにか「右サイドの選手だ」ということになっている。だが適性からいえばどう考えてもセンターの選手だ。

 現状、彼は右サイドから真ん中に入り込み、CFやトップ下とポジショニングが被って交通渋滞を起こしがちだ。その意味で本田の偽9番は、彼の起用法における最適解になるかもしれない。すなわち最初っから、彼を真ん中に置いておけば問題ないわけだ。

 状況に応じ偽9番の彼が中盤に下がってゲームメイクし、マーカーの敵CBを前におびき出せば、相手最終ラインにゾーンのギャップができる。そこに後ろの選手が飛び込んでフィニッシュに行ける。また本田の中盤へ下がる動きに敵がライン全体を押し上げれば、スピードのある武藤嘉紀や小林悠、浅野らがライン裏のスペースを狙える。

 逆に敵CBが本田の下がる動きについてこなければ、本田は中盤でフリーになれる。そして彼はゾーンとゾーンの「間」のわずかなスペースさえあれば決定的な仕事ができる選手である。

 彼は決定機にもパニックにならない強いメンタルと、強靭で正確なシュート能力をもっている。もし今後、本田のコンディションが上向くことがあったなら、彼の偽9番は大いにありうる選択肢だろう。(もっとも、ミランで飼い殺しにされている現状では望むべくもないが)

 いずれにしろミランにいるまま試合に出られない状況では、本田は厳しい。プロは試合に出てナンボ。このままではフィジカル・コンディションとゲーム体力がどんどん衰えていく。

 だが彼は老け込むにはまだ早い。別にミランでなくたっていいじゃないか。「ミラン」ブランドなんて関係ない。ほかのクラブで躍動する彼の姿がぜひ見たい。とっととミランに三行半を叩きつけ、新天地でまた牙を磨いてほしい。
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【映画の見方】強制予約録画のすすめ

2017-02-20 09:53:50 | 映画
知らない映画でも片っぱしから録画すべし

 夜中にテレビで知らない映画をよくやっているが、ああいうのをテキトーに予約録画しておくのはおすすめだ。

 人間は恣意的に選んで映画を観ると、自分の知ってる範囲で好きな映画しか観ないようになる。するとどうしても世界が狭くなる。

 ゆえに知らない映画だろうが片っぱしから強制的にテレビで予約録画し、無理やり観るようにすると思わぬ発見をする。自分は知らない(が才能のある)監督や俳優をザクザク見つけることができる。結果、自分が大きくなる。未知の金脈はまだまだ地中深く眠っているわけだ。

 例えば私の場合、完全な洋画志向だ。だから邦画に関しては致命的に無知である。そこで私はテレビでやっている邦画を手当たり次第に予約録画することにしている。すると、どんどん世界が広がって行く。

 例えば『ウォーターボーイズ』(2001)というタイトル名はもちろん知っていた。だがなんと矢口史靖監督の名前は知らなかった。なぜならあの映画が封切当時は、猫も杓子も話題騒然のバカ騒ぎだったからだ。するとヘソまがりな私は「そんな軽薄な映画なんか、絶対に意地でも観るか」と完全スルーしてしまう。いけないとわかっていながらそうなっちゃう。で、せっかくの重要な新人監督や俳優さんを知らないまま見逃してしまうのだ。

 ところがつい先日たまたまテレビで、夜中に矢口監督の『WOOD JOB!(ウッジョブ) 神去なあなあ日常』(2014)をやっていたので、何の気なしに予約録画して寝た。で、翌日起きて観てみると、なんと冒頭の30分間を観ただけでとんでもない傑作であることを直感した。

 だがあいにくその日は、どうしても出かけなきゃならない用事がある。しかたなく冒頭の30分を観ただけであわてて外出し、用事を済ませるや帰りに速攻でビデオレンタル屋へ直行した。そして矢口監督の『スウィングガールズ』(2004)、『ハッピーフライト』(2008)の2本をレンタルしてきた。

 なぜって作品冒頭の30分間を観ただけで、「この監督は絶対にハズさない監督だ」ってことが充分確信できたからだ。で、試しに『ハッピーフライト』を観てみると案の定、傑作だった。これでまたひとつ、私の頭の中の「優秀監督リスト」が充実したわけだ。

 こんなふうに人生は勉強の連続である。

 恥ずかしいことに、邦画オンチな私はかたや行定勲監督の傑作『今度は愛妻家』(2010)もまったく知らなかった。これもたまたま夜中にテレビでやっていたのを偶然、予約録画したのだ。そして翌日観てみたら感動しまくり。ワアワア泣いた。

 で、また速攻でビデオレンタル屋へ走り、さみだれ式に行定監督の『ロックンロールミシン』(2002)、『世界の中心で、愛を叫ぶ』(2004、おい、こんな大ヒット作も観てなかったのか?)、『北の零年』(2005)、『クローズド・ノート』(2007)、『ショコラの見た世界』(2007)、『パレード』(2010)など一連の作品をレンタルしてきたのは言うまでもない。これでまたひとつ、賢くなれた。やれやれ。

 てなわけでテレビでやってる知らない映画の強制予約録画、ぜひおすすめします。

【関連記事】

【映画評】矢口史靖監督が仕掛ける『ハッピーフライト』(2008)のからくり
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【映画評】矢口史靖監督が仕掛ける『ハッピーフライト』(2008)のからくり

2017-02-17 17:03:59 | 映画

畳み掛けるギャグ、空港での裏方仕事を精緻に描く

 ミュージシャンズ・ミュージシャンという言葉がある。同業者であるミュージシャンから支持されるミュージシャン、という意味だ。

 彼らは一般消費者からのウケは必ずしもよいとは限らないが、同業の音楽専門家から高く評価される。この映画はちょうどそんな作品である。映画監督と同じように、物語を作る作家など何らかの物作りに従事するプロが「うまいな」と心酔しそうな映画だ。

 シンクロナイズド・スイミングに挑む男子生徒達を描いた青春ドラマ『ウォーターボーイズ』(2001)で一世を風靡し、今2月11日からは最新作『サバイバルファミリー』が劇場公開中の矢口史靖監督の手による2008年作品である。出演は田辺誠一、時任三郎、綾瀬はるか、ほか。

 この作品は日本からホノルルへと飛び立ちアクシデントに見舞われる飛行機の機内を軸に、その周辺で働く空港管制塔の職員たちや気象予測担当者、整備士など各分野のプロフェッショナルたちが織りなす人間模様を描く。彼らが「たったひとつの目標」を目指し、一致団結して知恵を出し合いゴールのテープを切る。

 とはいえ、よくあるパニック映画などのようにド派手な大事故や出来事が続々起こるわけじゃない。そういうあざとさで勝負する映画ではない。

 ここで描かれる物語はある意味、えらく地味だ。例えば空港には飛行機の写真を撮るマニアたちが張っていたり、鳥が飛行機にぶつかる事故を防ぐ専門職員がいたり。これらの地味な小ストーリー群がモザイク画のように組み合わさり、ため息が出るほど巧妙な仕掛け時計が回って空港の時が刻まれて行く。

 しかも何がすごいってこの映画、事前に空港業務のあれやこれやをものすごく丹念に取材している。で、われわれ一般人がふだん何気なく利用している飛行機の旅の背後には、こんなにもたくさんの裏方さんがいろんな専門業務をこなしてるんですよ、と人間ドラマをまじえて教えてくれる。「ほぉー、空港ってこんな仕組みになってるんだ」と思わず感心させられる。絶え間なく笑いを挟みながら。

 そしてほとほと参るのは、彼らが行う仕事の見せ方がきわめて精緻でディテールが細かいところだ。とんでもなく緻密に計算されたシナリオをもとに、物語の歯車がガッチリかみ合い、テンポよくギャグも絡めて空港業務が演出されて行く。

「この監督、ウマいなぁ」「緻密に計算してやがるなぁ」

 やっかみ半分、そう無意識のうちに唸らされる。

 ゆえにこの映画は物語を作るような仕事をしている人か、それに準じる何らかのモノ作りをするプロへの訴求度が高いはずだ。映画版「ミュージシャンズ・ミュージシャン」というのはそういう意味だ。ネタばれになるから細かくは触れないが、ぶっちゃけ私はこんなにウマく作られた映画を観たのは生まれて初めてである。いやはや。

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