すちゃらかな日常 松岡美樹

すちゃらかな視点で世の中を見ます。

【U-23トゥーロン国際】チャンスの山を築くが辛勝がやっと 〜日本2-1ギニア

2016-05-26 08:40:15 | サッカー
もっとハードワークがほしい

 全体のバランスは悪くなかった。相手ボールのときにはしっかりブロックを作れていたし、マイボールになれば最終ラインを押し上げてコンパクトにやれていた。

 問題は、全体的な寄せの甘さと決定力不足だ。

 特にディフェンスのミスから失点したあのシーン。バックラインの裏を狙う山なりのボールを放り込まれ、右SBの際はボールに触らずカラダを入れて味方GKボールにしようとした。だがあそこは自分で先にボールに触り、キープしておけばなんてことはないシーンだった。この大会、際は守備時の状況判断が悪く、失点に直結するミスを繰り返している。

 また彼に限らず日本はボールに寄せ切れず、甘さが目立つ。球際の激しさがない。前へ突っ込みボールを競らず、立ち止まって「待って見ている」ようなユルさが漂っている。

「繋ぐこと」自体が目的化している

 一方、攻めてはさんざんチャンスの山を築くが決め切れない。日本はアタッキングサードでボールを繋ぐこと自体が目的化し、シュートで終われないシーンが散見された。

 特にサイドのクロスからのフィニッシュはアジア最終予選で日本の得意形だったが、その後ケガ人の山でクロッサーを欠きサイドから崩せなくなったのが大きい。FW富樫がサイドに流れていい形を作っているが、それとは別に両SBからのクロスがもっとほしい。

 とはいえケガで主力が10人以上いない状態では、結果がなかなかついてこないのはわかっていたことだ。とすればこの大会の目的は単純に勝敗にこだわることではなく、使える選手を見極めることにある。3戦終わってプレスが緩くアグレッシヴさのない鎌田、守備でミスの多い際あたりは生き残りが厳しくなりそうだ。

 なお後半途中から、日本は原川をアンカーにし井手口と大島をインサイドハーフに使った4-1-2-3にシステムを変えた。以前から何度かやる形だが、どうも座りが悪い。やはりU-23日本代表の土手っ腹は遠藤&原川のダブルボランチを軸にした4-4-2、もしくは4-2-3-1のほうがバランスがいい。
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【U-23トゥーロン国際】前を向く意識は強くなった 〜日本0-1ポルトガル

2016-05-24 17:31:54 | サッカー
足りないのは決め切る力だ

 パラグアイ戦とくらべ、パススピードの強さは改善された。ビルドアップのモタつきもない。特に後半、日本は強いパスを速いテンポで2〜3本繋げばフィニッシュに行ける感じだった。

 初戦とくらべ中途半端な横パスが減り、縦パスが増えて攻撃が活性化した。裏を狙うボールも見られた。ポルトガルはパラグアイと違い、中盤でカラダを当てる厳しい守備をしてこなかったせいもあり、日本は1戦目より伸び伸びしていた。

 あとはとにかく決め切る力だ。

 日本はゴール前でひとつ多く繋ぎすぎる。もうワンテンポ速くシュートに行きたい。また縦への速いカウンターのチャンスなのに、ひとつ横に繋いでしまいチャンスをフイにするシーンもあった(その間に相手は守備体形を整えてしまう)。

 矢島の消え方が心配だ。また野津田にはいいところで決定機が回ってくるが、シュートがことごこくバーを越えてしまう。抑えた打ち方ができてない。とはいえこれも経験だ。大会が終わるころには、ひとまわり大きくなっていることを期待したい。
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【U-23トゥーロン国際】よそ行きのポゼッション・スタイルで自滅 〜日本1-2パラグアイ

2016-05-22 10:19:12 | サッカー
縦への速さを失った日本

 日本はパラグアイにボールを持たされ、まるで鋳型にハメられたかのように「最終ラインからどうビルドアップするか?」の戦いに押し込められた。

 グラウンダーのショートパスで後ろから組み立てようとするが、相手のプレスを怖がり低い位置でバックパスしてはかっさらわれてカウンターを受けた。日本は終始、まるでポゼッション・スタイルのチームであるかのような戦いを強いられ、「他人の相撲」を取って負けた。

 日本の最終ラインがボールを持つと、パラグアイはスッと引いてブロックを作る。こうしてディフェンディングサードで日本にボールを持たせ、日本のボランチにパスが出たところにプレスをかける。このやり方が徹底していた。前へボールを引き出せない日本が苦し紛れでバックパスすると、そこを相手に狙われる。この繰り返しだった。

 後半にFWオナイウが入るとクサビのボールを前に当てる形が実現したが、時すでに遅し。相手に渡った流れを引き戻すのは不可能だった。前でボールを奪って速く攻める手倉森スタイルはすっかり影を潜めた。

相手の注文通りにハマった

 日本はアジア最終予選で見せた、バックラインからのアバウトなロングボールを封印した。この放り込みでいわば狙って相手にいったんボールを渡し、前からのプレスで奪い返してショートカウンターに行くのが日本のスタイルだった。ポゼッションを放棄し堅守速攻に徹するーー。手倉森監督が「割り切り」と表現した戦い方がそれだった。

 だが今回、おそらく選手の判断で「次へのステップ」を目指そうとしたのだろう。そしてロングボールをお蔵に入れた。

 放り込みをやめたのは「意気やよし」だ。だがそうなると最終ラインからていねいにビルドアップする必要に迫られる。で、味方の足元に出す組み立てのショートパスを敵に狙われた。かくて堅守速攻がお家芸のパラグアイと(悪い意味で)ガッチリ試合がかみ合ってしまった。

 低いゾーンで敵にハメられ、プレスを受けて自陣に火がつく。日本はディフェンディングサードでボールを持たされ、慣れない試合運びに四苦八苦した。相手にすればゲームプラン通り。してやったりの試合だろう。

ロングボールも織り交ぜスペースを作れ

 日本にすれば、そんな相手の狙いを外す必要があった。例えばフィールドの後ろ半分で膠着した局面を打開するには、2〜3回に1回は意図的にロングボールを前へ入れることも必要だった。これで相手のバックラインを下げさせ、その手前にスペースを作るのだ。

 これで敵のバイタルエリアが空けば、今度はグラウンダーのパスも通りやすくなる。ロングボールを完全封印し同じパターンのビルドアップを機械のように繰り返すのでなく、相手が押したら引く、引いたら押す。そんな細かな駆け引きがほしかった。

 とはいえCBの植田は時おり早いタイミングでグラウンダーの長い縦パスにチャレンジしていたし、MF原川のチーム操縦術やFW浅野のスピード、決定力も垣間見えた。攻撃面では物足りなかった左SBの亀川も守備では球際で執拗な粘りを見せた。一方、途中出場したFWオナイウは、クサビを受けてはボールロストしていたアジア最終予選の時とはまるで別人のようにボールの収まりがよかった。堅いポストプレーで前線にポイントを作っていた。

 個々に見れば収穫もあった。あとは全体戦術の選び方と駆け引きだ。おそらくこのチームにはまっすぐな人間が揃っているのだろう。まっすぐなやり方が多すぎる。もっと局面に応じ敵の裏をかくズル賢い戦い方を身につけてほしい。
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【U-23強化試合】高まる期待とポゼッション率 〜日本3-0ガーナ

2016-05-12 07:53:34 | サッカー
決定力の高さは相変わらず

 手倉森ジャパンは、観るたびにまったく別の顔を見せてくれる。進歩の証だ。システムこそ手慣れた4-4-2だったが、この日の彼らはアジア最終予選のときよりポゼッション率が高く、1タッチ、2タッチでテンポよくボールを回していた。たがいの距離感がよく、コンパクトだった。

 以前のように何でもタテへ大雑把に蹴り出すのでなく、必要なときにはキープできるようになってきた。精度の高いグラウンダーのパスがさざ波のように連鎖し、非常に効果的だった。チームコンセプトはあくまでショートカウンター狙いではあるが、バリエーションが増えたのは大きい。点差や残り時間、相手のスタイルに応じて使い分けがきくからだ。

 一方、守備に回れば、相手CBがボールをキープするとセンターサークル先端周辺からプレスをかけた。全域でよくプレスが効いており、ブロックもしっかり組めていた。メンバーを変えた後半は攻守両面で失速したが、特に前半は合格点だった。

 ただし相手はA代表とはいえガーナの国内組であり、ブラジルW杯でドイツを苦しめたあのガーナとはまったくの別物だった。アタッキングサードでのアイデアがなく、守備も緩く怖さがまるでなかった。あのクラスなら日本が圧倒できるのも当たり前だ。もっと強い相手でなければ強化にならない、というのが実感だった。

右SB伊東の推進力とクロスの質が目を引いた

 選手別ではなんといっても、1、2点目を叩き込んだ左MF矢島慎也の日だった。非常に冷静に、正確に、彼はボールをゴールにプレゼントした。後半はボランチに回っていたが、やはり矢島はサイドで使って攻撃力を生かしたい選手である。

 3点目を決めたFW富樫敬真も、氷の心臓を見せつけた。前へ出てくる相手GKに対し、その頭上を越える技ありのループシュートを見舞った。得点にからんだプレイ以外でも周りがよく見えており、FWカテゴリーにまたひとつ重要な選択肢ができた。

 一方、うしろの選手では、まず2点目をアシストした右SBの伊東幸敏は上がるタイミングと前への推進力、クロスの質がひときわ目を引いた。1試合だけではなんともいえないが、コンスタントにあのレベルのプレイができるなら買いだ。ケガでリハビリ中の右SB室屋も早ければ6月に復帰できるとのことで、このポジションには光が見えてきた。

 またCBの植田直通はすでにリーダーとしての風格を備え、頼もしさを増した。彼は最終予選ではアバウトなロングボールを放り込んでばかりいたが、この日はグラウンダーの縦パスでビルドアップしようという意欲が見えた。パスミスもあったが、将来性でいえば未来のA代表候補だろう。

 最後に、以前からそうだが左SBが大きく見劣りする。なんとか長友にOAで来てもらえないか? という気にさせられた。SBはケガ人続出で大きな補強ポイントだろう。

 さて次は18日から始まるトゥーロン国際大会(フランス)だ。このチームはいったいどこまで伸びるのか、見届けさせてもらおう。
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【リオ五輪サッカー】メンタルが強いFW大久保ならOA大賛成だ

2016-05-08 09:58:18 | サッカー
すでに協会が川崎Fに打診済み

 一部報道によれば、川崎FのFW大久保嘉人がオーバーエイジ(OA)候補に挙がっているようだ。すでに協会がクラブに招集の可能性を打診済みだというから実現性はある。大久保なら大賛成である。

 彼にはJリーグ3年連続得点王の実績がある。点取り屋としては国内ナンバーワンだ。33才という年齢面もあり、A代表のハリルは招集に及び腰。だが今年もうすぐ行われるリオ五輪となれば、年齢問題はネックにならない。なぜなら大久保は今日現在で現役No.1だからだ。

 さらに大久保はメンタルが強く、「気持ち」で奇跡を起こしてきた手倉森ジャパンのチームカラーにぴったり合う。献身性もあるし、前線での守備を重視する手倉森監督のオーダーにも応えてくれるだろう。

 大久保にとっては、ブラジルW杯の借りを返す貴重な機会になる。もしリオで結果を出せば、さすがの頑固なハリルも「Yes」と言わざるをえないかもしれない。おもしろくなってきた。
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【リオ五輪サッカー】湿度80%の地獄に勝て

2016-05-03 09:43:44 | サッカー
ハイプレスは避けガマンのサッカーか?

 U-23日本代表はリオ五輪で、第2戦までを高温多湿なアマゾンのマナウスで戦う。平均気温は30度以上、湿度も軽く80%を越える。とてもサッカーをやるような場所ではない。

 とすればあの3月の強化試合、U-23メキシコ戦でやったようなハイプレスは無理だ。ブロックを低めに構え、相手をおびき寄せてカウンターを狙うような戦いになるだろう。おそらくリオ五輪は日本に限らず、ブラジルW杯のときのように守備的な試合が多くなる。

 マナウスの気候に勝つのは大変だが、それなら味方にすればいい。手倉森ジャパンはガマンくらべなら得意だ。案外、劣悪な気候条件が逆に追い風になり、ガマンのサッカーで勝ち進むかもしれない。

 いよいよ楽しみになってきた。
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【サッカー日本代表】ドルトムントと代表の香川はなぜ別人なのか?

2016-05-02 10:34:07 | サッカー
仲良しクラブのフォローが手厚いドルトムント

 このところドルトムントでプレイする香川に、「2戦連発」「今季9ゴール目!」とやたら景気のいいマスコミの見出しが躍っている。だが問題は、日本代表に戻ったときにもこのパーティーが続くかどうかだ。

 ドルトムントでの香川は周りの選手が香川の弱点をカバーする動きをしてくれ、逆に香川が自分の武器を発揮しやすくなるようなプレイで助けてくれる。だから周囲と相互補完の関係になり活躍できる。ドルトムントでの香川はいわば周りの「仲良しクラブ」によって底上げされている。上げ底だ。

 そうした周囲の手厚いフォローがない日本代表で、果たして活躍できるかどうか? 香川の真価はそこで問われる。
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【ロシアW杯サッカー】プレイ精度の向上が永遠のテーマだ

2016-05-01 08:04:43 | サッカー
タテを狙う意識が定着してきた

 しばらく代表のゲームがないので、録画してあるアジア2次予選の試合群を毎日飽きずに眺めている。するとおもしろいことに同じ試合を何度も観ていると、リアルタイムで観たときには気づかなかったポイントがいろいろ見えてくる。

 ひとつは縦への意識だ。ハリル就任初期の無理な縦ポンがひと段落し、状況に応じて、それでも選手たちは意欲的にタテを狙っていることがよくわかる。特にボールを奪ってからのタテ方向への攻めが速くなってきた。ひとつ飛ばして遠くへ、という縦パスの意識が定着した。

 一方、問題点はすべての局面におけるプレイ精度だ。例えば縦への意欲は増しているものの、急所をえぐる縦パスが通る確率がまだまだ低い。精度が低いからだ。ここを直す必要がある。

 またご多分に漏れずフィニッシュの精度も低すぎる。この点を修正しない限り、日本は世界では戦えない。サッカーは点を取って勝敗を争うゲームだ。いくら途中経過が芸術的でも、フィニッシュが決まらないことには試合に勝てない。

 高い位置でボールを奪い、精度の高い縦パスを入れる。そして最後は精度の高いフィニッシュで終えることーー。これさえできれば日本はワールドカップで勝てる。
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【高倉なでしこJAPAN】世代交代は「悪」か? 〜マスコミの印象操作とメディアリテラシー

2016-04-30 11:47:46 | サッカー
記事に込められた「含意」を読み取れ

 日本サッカー協会は4月27日に記者会見を開き、なでしこジャパンの新監督にU-20女子日本代表の高倉麻子監督が就任すると発表した。で、メディア各社が監督のコメントをさまざまに報道しているのだが、ひときわ違和感があったのが日刊スポーツの記事だった。なでしこジャパンの世代交代を、まるで「忌むべきもの」のように書いているのだ。

 いやもちろん日刊スポーツに他意はなく、何の気なしに書いているのだろう。だが、それを読んだ読者の中には「世代交代は悪なのか?」と洗脳されてしまう人もいるかもしれない。そこで今回はモデルケースを挙げながら、ニュース記事を読むときのメディアリテラシーについて考えてみよう。

 さて、問題の日刊スポーツの記事はこれである。同紙は編集部サイドの「地の文」を織り交ぜながら、高倉新監督のコメントを随所に散りばめるスタイルを取っている。その文中で違和感を感じた「世代交代のくだり」を以下に引用する。

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 選手選考は横一線の競争だ。「世代交代」が叫ばれるが、若手だからと、優遇することはない。

 高倉監督 その時に一番いいパフォーマンスをする選手を選考するのが基準。ベテランの経験値、若手の伸びしろのアドバンテージも考えながら、うまく融合させていければ。年齢で区切ることはない。

なでしこ高倉新監督、五輪で金獲る 自信の所信表明(日刊スポーツ)

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 このように「地の文」を混ぜるのはよくあるパターンだ。だが上に挙げた引用文中、高倉監督のコメントの前にある1行の地の文がクセ者だ。

『「世代交代」が叫ばれるが、若手だからと、優遇することはない』という1行である。

 監督コメントの前にこの1行が入ることにより、まるで世代交代とは「若手を特別扱いしながら進めて行くもの」であるかのような印象になる。で、新監督はそんな「悪しきもの=世代交代」には手を染めないのだ、というような記事の流れになっている。

 同じ部分をもう一度引用してみよう。今度は問題の「地の文」の1行を入れず、純粋に監督のコメントだけを以下に抜き出してみる。さて印象はどう変わるだろうか?

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 高倉監督 その時に一番いいパフォーマンスをする選手を選考するのが基準。ベテランの経験値、若手の伸びしろのアドバンテージも考えながら、うまく融合させていければ。年齢で区切ることはない。

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 ごらんの通り、監督はきわめて真っ当なことを述べている。だがこのコメントの前に『「世代交代」が叫ばれるが、若手だからと、優遇することはない』という問題の地の文1行が付け足されると、たちまち印象が180度変わる。地の文込みで、以下に再掲しよう。

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 選手選考は横一線の競争だ。「世代交代」が叫ばれるが、若手だからと、優遇することはない。

 高倉監督 その時に一番いいパフォーマンスをする選手を選考するのが基準。ベテランの経験値、若手の伸びしろのアドバンテージも考えながら、うまく融合させていければ。年齢で区切ることはない。

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 これを読んだ読者はどう解釈するか?

「なるほど。新監督は若手だからといって特別扱いせず、そのときの実力で選手選考するつもりだ。(逆に言えば)世代交代というものは若手を優遇し、特別扱いして実現するものなんだ。それなら無理に世代交代などやらなくていいな」

 こんなふうに誤読する読者だっているかもしれない。世代交代とは若手を「えこひいき」することで行なうものだと仮にこの記者が考えており、ゆえになでしこがそんな「悪い方向」へ行かないよう世論誘導しよう、と記者が考えてこの記事を書いたのだとすれば、その企てはまんまと成功したことになる。

 さらにおかしいのは、世代交代という語句を地の文の中でわざわざカギカッコ「」に入れてある点だ。このカギカッコの意味はなんだろう?

 記事を書いた記者の心理を推測すれば、「いまここで記事に『世代交代』という言葉を使うが、あくまでカギカッコ付きですよ。私は別に世代交代を『良いことだ』と思って書いているわけではないですよ。誤解なきように」というような含意の可能性がひとつある。つまり記者は世代交代に関し、なんらかの含みを持っているのではないかと想像できる。例えばそれは「意図的な世代交代には弊害アリ」というようなマイナス意識かもしれない。 
 
 さらにうがった見方をすれば、この記者は宮間や川澄ら、なでしこジャパンのベテラン選手と「ナアナア」の関係であり、記事中で世代交代なる言葉を使えば彼女たちベテラン選手の心象を害してしまう恐れがある。そこで世代交代という語句にわざわざカギカッコを付け、「私は世代交代を良いことだとは思っていませんよ」とベテラン選手たちに向けたエクスキューズつきで記事にしたーーこんな推理も成り立つ(もちろんあくまで想像であるが)。

 では一方、参考までに他社はどう報道しているだろうか? 例えば「スポーツ報知」が記事でなでしこの世代交代に触れた部分は以下の通りだ。

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―選手選考は。

「年齢で区切ることはない。パフォーマンスを注意深く見て、いいものを持った選手をなるべく多く発掘しながら競争させ、代表をつくっていきたい」

■【なでしこ】高倉新監督に聞く…東京五輪メダル獲得へ「年齢で区切らない。競争させて代表をつくる」(スポーツ報知)

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 まったくフラットな内容である。この記事からは何の含みも読み取れない。まっすぐな文章だ。ちなみに「何らかの作為があるのではないか?」と邪推できてしまう、前掲の日刊スポーツの記事と読みくらべてみてほしい。

 こんなふうに記者が何気なく付け加えたほんの1行の地の文から、いろいろな情報が読み取れる。メディアの記事を読むときにはあらゆる可能性を考えながら、くれぐれも世論誘導されないよう気をつけたほうがいい。
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【リオ五輪サッカー】OA枠は必要か? 〜オーバーエイジの功と罪

2016-04-29 07:17:02 | サッカー
本田や香川ら海外組の招集は消えた

 一部報道によれば、予想通りリオ五輪代表への海外組のOA招集は可能性が極めて低くなったようだ。

 そもそもJリーグのクラブでさえ、「五輪期間中もJリーグが中断されるわけではないから」といって代表への選手の送り出しを渋るチームがあるくらいだ。にもかかわらず日本とまったく関係ない、海外のミランだのドルトムントだのが「Yes」というわけないだろう。ちょっと考えればわかる話だ。

 だいたい個人的には、OA枠を使うこと自体にためらいも感じる。

 例えばいまやA代表は、高齢化とメンバーの固定化が定番になっている。すでにロシアW杯で世代交代は無理だが、その次のW杯までにはなんとか進めたい。その意味では、あえてリオ五輪でOA枠を使わないという選択は十分ありえる。それどころか大いに有意義なトライといえるだろう。

 にもかかわらずメディア上では、「本田と香川を動員し、メキシコ五輪以来48年ぶりのメダル獲得を!」などという近視眼的で現実味のない論調が出てくることに疑問を感じる。

 個人的には、仮に本田と香川を招集したとしてもメダルなど難しいだろうし、そもそも日本は向こう100年くらいは「まずグループリーグ突破を目指します」と地に足をつけた目標設定をすべきだと考えている。それくらい段階的、計画的にプロジェクトを進めるべきだろう。

 W杯や五輪になるたびに、「次の目標はベスト4だ」、「48年ぶりのメダル獲得を!」みたいなイケイケ・ドンドンの報道ぶりになるのが本当に不思議だ。
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【リオ五輪OA枠】「戦術=岡崎」で、と日刊ゲンダイが仕掛ける壮大な釣り

2016-04-27 17:40:24 | サッカー
「岡崎を1人だけ選べばいい」の時代錯誤

 いやはや、昨日の日刊ゲンダイを読んで目が点になった。この記事はひょっとして釣りだろうか? 要約すると……(1)強豪ひしめくリオ五輪では、日本は弱者のサッカーを強いられる(2)ゆえにOA枠はレスターで堅守速攻を体現している岡崎を1人だけ選べばいい。「戦術=岡崎」でOKだーーなる論旨である。

 いや前段の(1)に異存はない。日本はレベルの低いアジアでこそ一定の地位を占めるが、「世界」へ出た瞬間に弱者の立場になる。その意味でこの記事の現状認識は正しい。

 だが後段の(2)「戦術=岡崎」はどうか?

 いちばん引っかかるのは以下のくだりだ。

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 岡崎はシーズンを通して“弱者のサッカー”をやり続けて結果を出している。岡崎を1トップに置き、その岡崎を最大限に生かすための戦術を採用する。これこそが、手倉森ジャパンの命運を左右する。

戦術ピタリ リオ五輪サッカーOAに岡崎1人召集という選択(日刊ゲンダイ)

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 それをいうなら「岡崎を生かすための戦術を採用する」のでなく、「堅守速攻なら結果として岡崎が全体戦術に貢献できる」という言い方が正解だろう。両者は似て非なるものであり、むしろ主客転倒だ。頭とお尻がひっくり返っている。

 レスターには岡崎に近い働きをする選手が何人もおり、彼らが揃ってプレスをかけコレクティヴに機能するから勝っているのだ。百歩譲って五輪代表に岡崎が11人いるなら、この記事の論旨もある程度は意味をなすだろう。11人の岡崎が組織的な動きをし、彼らが全体として「戦術」になるーー。なるほど、それなら話はわかる。

 だが当然ながら岡崎は1人しかいない。その岡崎をOA枠で1人だけ選び、「戦術=岡崎でOKだ」で事足れりとの発想はいただけない。いつの時代の話だよ、って感じである。

 この考え方は、例えばフィールドの中央にチームを仕切るゲームメーカー(死語)が帝王として君臨し、彼の存在がすなわちチーム戦術になるみたいな時代の論理だ。まるで80年代以前の話である。そんなふうに個がそのまま全体戦術化する世の中なんてとうの昔に終わっている。

 当然の話だが、現代サッカーでは岡崎を1人入れても単なる11分の1だ。彼1人の存在がそっくりそのまま戦術になるってありえない。

 日刊ゲンダイは、(釣りだとは思うが)もうちょっとサッカーを勉強すべきだろう。
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日本のサッカー界を左右する2つの大ニュースが気になる

2016-04-27 14:45:06 | サッカー
清武がブンデス2部でプレイするだって?

 日本のサッカー界を左右する2つの大きなニュースがあった。ひとつは、なでしこジャパンの監督にU―20女子日本代表の高倉麻子監督の就任が決まった件。もうひとつは、2部降格が確定したドイツ・ブンデスリーガのハノーバーでプレイするMF清武弘嗣の動向についてだ。

 まず世代交代のただ中にいるなでしこジャパンは、いろんな意味で転換点にある。高倉監督はむずかしい舵取りを迫られるが、ぜひがんばって成功に導いてほしい。なでしこジャパンの再興を願い、熱いエールを送りたい。

 そしてもうひとつの話題も、大変気になる。

 清武はこのままだと2部でプレイすることになるが、もし他クラブから実オファーがあり、5月31日までに固定違約金650万ユーロ(約8億1300万円)が支払われれば、移籍が可能とのことだ。実際、プレミアリーグのクラブ等から軽い当たりはあるらしい。

 清武には、日本の未来がかかっている。

 彼の居場所は2部ではない。

 ぜひ1部で優勝争いするチームに移籍し、心身ともにひとまわり大きくなることを祈っている。

 がんばれ清武!
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【映画評】「僕の彼女はサイボーグ」が描くアンドロイドの輪廻転生(2)

2016-04-24 18:57:09 | 映画
人間に生まれ変わった「彼女」はまた彼を選んだ

 映画「僕の彼女はサイボーグ」(監督:クァク・ジェヨン / 主演:綾瀬はるか)は、未来の「僕」=ジローがタイムマシンを使って過去の自分自身に送ったサイボーグの彼女と、「僕」との愛と葛藤を描いた作品だ。

 そしてこの映画の裏テーマのひとつが、サイボーグ綾瀬の発する無償の愛=母性であることは前回の記事で書いた。今回は、この映画のもうひとつの裏テーマについて書こう(ネタバレあり)。それは機械の彼女が体験した輪廻転生の物語である。

 サイボーグ綾瀬はジローとのふれあいのなかで、少しずつ愛が理解できるようになった。そして半ば人間化しながらも、彼を助けて身代わりに地震で破壊されてしまった。

 だが物語は終わりではなかった。

 なんと彼女は、未来で人間の女子高生として転生したのだ。

 だが、もちろん前世(サイボーグ時代)の記憶はないし、自分がサイボーグの生まれ変わりだなどという自覚はない。で、運命の糸に導かれるように、彼女は博物館に展示された寿命の切れたかつてのサイボーグ綾瀬と出会った。

「このサイボーグは、なぜ私と同じ顔をしてるんだろう?」

 好奇心にかられた未来の綾瀬は、オークションでサイボーグ綾瀬を父に買い取ってもらった。そしてサイボーグに埋め込まれた記憶チップを使い、いわば自分の「前世の記憶」を脳に再インストールした。この時点で前世が補完された人間の綾瀬は、文字通りあのサイボーグ綾瀬と完全融合した転生・綾瀬となった。

 そして地震後のラストシーンでは、主人公のジローと転生・綾瀬が結ばれるーー。

 彼女はサイボーグ綾瀬の記憶と意識をもち、サイボーグ時代の綾瀬と完璧に一体化している。なにより彼女は、人間として転生したのだから。そして生まれ変わった彼女は最後にジローと結ばれる。

 この解釈なら、サイボーグ綾瀬の方にしか感情移入できず、「最後に結ばれるのはサイボーグの方であってほしい」と願う人たちの心もサルベージできる。

 ただし、この物語は単純なハッピーエンドではない。

 人間の転生・綾瀬はラストで過去に介入し、ジローといっしょに生きて行くパラレルワールドを選んだ。歴史を変えられた時空はまた歪められ、いつか再び強い力でもとへ戻ろうとするだろう。その揺り戻しが起こす災難は、三たび彼と彼女を襲うはずだ。今度は、地震どころでは済まないかもしれない。

「それでも私は、彼といっしょに生きて行く」

「未来にくるであろう破滅も込みで、それでも私はまた彼を選んだ」

 この映画は、そういう物語なのである。


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【映画評】「僕の彼女はサイボーグ」が発散する母性の愛(1)
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【映画評】「僕の彼女はサイボーグ」が発散する母性の愛(1)

2016-04-24 07:52:21 | 映画
男たちはアンドロイド・マザーの夢を見るか?

 すべての男はマザコンである。

 自分の身を犠牲にし子を育てる母の無償の愛があるからこそ、息子は男として家庭を旅立てる。ゆえに、すべての男はマザコンである。

 映画「僕の彼女はサイボーグ」(監督:クァク・ジェヨン)は、未来の「僕」がタイムマシンで過去の自分に送ったサイボーグの彼女と僕(=ジロー)との愛や輪廻を描いたSF仕立てのラブストーリーだ。

「タイムパラドックスが穴だらけなのに、なぜか何度も観たくなる。この映画が気になって仕方ないーー」。ネット上では、よくそんな声を聞く。

 それはあなたが、主演する綾瀬はるかの姿に「母」を見ているからだ。身を挺し何度もジローの危機を救ってくれるサイボーグ綾瀬に、あなたは母の無償の愛を感じている。ゆえにこの映画は観た男性に本能的な思慕の情を起こさせる。すべての男は無意識のうちに胎内回帰願望を刺激される。

 だから何度も観たくなるし、この映画が気になって仕方ない。

 そう。本作最大の裏テーマは、無償の愛=母性である。見返りなど求めず、危険を冒してジローの危機を何度も救うサイボーグ綾瀬は母性の象徴なのだ。

機械の心が嫉妬する

 たとえば劇中で時間を遡行し、ふたりでジローの心の故郷へ帰るシーン。夕焼けをバックにサイボーグ綾瀬が主人公をおんぶするくだりがある。あれは「子供を背負う女=母性の象徴」という位置づけだろう。

 その証拠に「君の背中は機械だから冷たい(が母の背は暖かかった)」とジローにいわれ、サイボーグ綾瀬は背負ったジローをわざと落っことす。彼女はこのとき明らかにジローの母に嫉妬している。機械の心で愛を感じている。

 だが他方、クラブでジローがナンパした軽薄な女性には嫉妬していない。つまりあの程度の女はライバルに値せず、母性の象徴たるサイボーグ綾瀬の嫉妬の対象はあくまでジローの母であることを暗示している。

 実は故郷へ帰るシーンは、母性がこの映画のひとつのテーマであることを絵解きしたカギになる場面だ。「故郷へ帰るくだりは長すぎる。カットしてOK」という意見がネット上に多いが、重要なポイントを読み外していると思う。

 あの帰郷のシーンこそが、男たちの故郷=母の胸へと帰るこの映画最大の裏テーマを象徴するシーンなのである。

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【リオ五輪サッカー】本田と香川をOAで、って冗談でしょう?

2016-04-22 21:18:59 | サッカー
それでメダルを取って何になるのか?

 一部報道では、U-23代表の手倉森監督がリオ五輪のオーバーエイジ(OA)枠に関し「本田、香川も頭にある」と言ったとか、あるいはその案はすでにハリルに断られた、などという噂が流れている。

 本田、香川をOAで、というのは手倉森監督一流の「釣り」だとは思うが、もし万一本気なのだとしたら大反対だ。仮に本田と香川入りでメダルを取ったとして、いったいそれが何になるというのだろう?

 それならいっそOA枠など使わず、最終予選を勝ち抜いたイキのいいメンバーで前からプレスをかけて玉砕したほうがよほど将来のためになる。

「森重をCBで使う」などというなら有益だが、(釣りだとは思うが)本田と香川の選択には絶対反対だ。
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