すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【次期代表監督】ロシアW杯で実った果実を継承すべきだ

2018-07-25 10:48:49 | サッカー戦術論
日本人みんなで同じ方向を向く

 森保一・東京五輪監督がA代表監督を兼任するのではないかと噂されている。おそらく日本サッカー協会の関係者がメディアにリークし既成事実を作る手法で進んでいるのだろうが、非常に奇妙なのはその森保氏がA代表監督に就任した場合に「どんなサッカーをするのか?」が一切語られない点だ。

 本来ならロシアW杯を分析した上で「日本が世界で勝つにはこういうサッカーをすべきだ」との指針をまず協会が出し、「だから森保氏にやってもらおう」というのが筋だ。ところが森保氏が就任したらどんなサッカーをするのかは一向に語られず、これまでの監督選びと同様、「サッカーの中身やコンセプトは新監督に丸投げしよう」的ななし崩し感を漂わせながら事態は進んでいる。

 個人的には、日本はまだまだ外国人監督から学ぶべき点が多いと考えているので日本人監督には基本反対だが、ただ一点、ロシアW杯で日本が見せたあのサッカーが継承されるなら森保氏もアリだと考えている。

日本人みんなが共感するサッカー

 西野ジャパンの躍進と国民の熱狂を見て、やはり代表は国民性に合ったサッカーをすべきなんだなと感じた。無論それだけでなく、あのチームが世界で勝てる日本の進むべき道を示したのは事実である。ならばロシアW杯で日本代表が繰り広げたサッカーを日本のモデルにし、指導者や選手も含めサッカー関係者の志向性を同じあの方向で揃えるべきではないか?

 ロシアで日本が見せたのは、コンパクトで攻守の切り替えが速い軽快なパスサッカーだ。日本人のアジリティのよさを生かしてテンポよくボールをつなぎ、主導権を握りながらピッチを広く使ったワイドな展開をする。「前へ」の推進力がカギだ。

 ビルドアップは相手チームのファーストディフェンダーの枚数に応じ、適宜、セントラルMFが1列落ちて両SBを高く張り出させる。またボールを保持するCBやSBから、サイドに開いた両WGへ精度の高い放射状のロングパスをダイレクトに射し込む。フィールドを斜めに横切るダイアゴナルな長いサイドチェンジを織り交ぜながら、瞬間的な裏抜けやハーフスペースからのフィニッシュを積極的に狙う。そんなダイナミックなサッカーだ。

 同じ日本人といってもフットボールの好みはさまざま。だがロシアW杯で日本が演じたあの攻撃的で爽快なサッカーならば、みんながちょっとづつ自分の好みを譲り合い、あのスタイルを日本人共通の最大公約数にできるのではないか? そしてみんなが同じ方向を向いて力を結集させる。そうすれば意思統一の取れたムダのないスピーディーな強化ができるはずだ。ただし失点の原因を作った守備の強化は絶対だし、セットプレーから点が取れる形作りと被カウンター対策は上積みする必要があるが。

森保氏のスタイルとの整合性は?

 そこで浮上するのが、森保氏の志向性と「あのサッカー」とのギャップだ。森保氏が広島の監督時代にやっていたのは、スタート時は3-4-3だが相手ボールになればディフェンディングサードまで深くリトリートし、自陣に5-4のブロックを敷くサッカーだ。これでボールを奪えば最終ラインから丁寧にビルドアップし、コレクティブカウンターを狙うようなイメージだった。攻撃時にサイドを使ってワイドな展開をするのが特徴だ。

 西野ジャパンが前から守備をしボールを奪う位置が高いのとは真逆で、いったんリトリートし相手にボールを持たせてカウンターを狙うあたりはむしろハリルジャパンと共通している。

 さて森保氏が就任すれば、やはり上にあげた広島時代のようなサッカーをやるのだろうか? 広島時代のスタイルは非常にインテリジェンスがあり共感していたが、冒頭に書いたような、ロシアW杯が終わったこの機会に「日本の方向性を揃えたい」という意味ではギャップが生じる。もちろん両者のいいところ取りのハイブリッドで行く、というなら賛同するが。

 日本はせっかくロシアW杯でめざすべきスタイルを見つけた。あのサッカーなら日本人全体の共通理解も得られそうだ。ここは一気呵成に「ジャパン・スタイル」を作る千載一遇のチャンスである。関係者にはそこをよく考えてもらって話を進めてほしい。

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