ロシアW杯の検証さえやらず
一部報道によれば、次期日本代表監督は7月20日の日本サッカー協会の技術委員会をへて、26日の理事会で森保一・五輪兼任監督に決まるという。ロシアW杯の検証さえやらず、まったく狂気の沙汰だ。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「9月には親善試合のチリ戦があるし。時間がない」などと言っている。だが、そんなものは明らかな確信犯だ。
例えば当ブログがこの記事を公開した今年5月1日の時点では、すでに9月7日以降、「キリンチャレンジカップ2018」ホームゲームがなんと年内に6試合も組まれていた。ロシアW杯が終わったばかりの9月以降、年内に立て続けで6試合。明らかに異常なブッキングだが、協会のハラは読めている。
おそらくロシアW杯は西野暫定監督で惨敗するだろう。ならばW杯が終わるや即、一気呵成に次期監督を決めて体制一新。年内に立て続けにホームへ格下の弱小国を呼び、新体制で連戦連勝して「ハリル解任〜ロシアW杯惨敗」と続いた悪い空気を薄めようーー。
おそらくそんなシナリオだったのではないか?
マーケティングもせずに新商品を出す愚
だが考えてもみてほしい。終わったばかりのロシアW杯は、協会内で検証さえされてない。なのにいきなり新監督を決める。これがいったいどれほどの愚行か?
例えば自動車メーカーのA社が6月に新車を出したとしよう。ところが翌月の7月にはもう、その改良バージョンを発売するというのだ。だがそんなメチャクチャができるわけがない。
6月に新車を出したら、まずA社はマーケティングを行う。いったい消費者はこの新車のどこに魅力を感じたか? 逆にどの仕様が「不便だ」と不評だったか? カラーリングは受け入れられたか? 走行感は? 安全性は?
こんなふうに細かく市場調査し、まず「よかった点」と「悪かった点」を明らかにする。で、次に新車を出すならどこをどう改善すればいいかを検討する。その上で初めて新商品の開発に入る。
なのに一体どこの企業がこうした綿密なマーケティングをやらず、6月に新車を出したかと思えばその翌7月にもう改良バージョンを発売するだろうか? そんな行き当たりばったりの素人企業は早晩、市場から退場することになるだろう。日本サッカー協会がやろうとしているのは、これと同じだ。
そうではなく、まず日本サッカーが世界で勝つにはどんなスタイルを構築すべきか? 基本戦略を策定する。その上でロシアW杯では日本代表はどんなサッカーをし、どの部分が通用したか? またどこがダメだったか? 改良するとすれば何をすべきか? それを任せられる新監督はどんな人物か? ざっくりこの程度のマーケティングをやってから新監督を決めるのがふつうだろう。
ビジネスも重要だが長期的視点を
なにより危惧されるのは、年内に6試合もホームゲームを組む意図だ。ハリル時代に厳しいアウェイでブラジルやベルギーなどの強豪国と対戦して勝てず、サッカー協会は学習したのではないか? 「これではビジネス的に厳しい」と。
そうではなく、ラクなホームに格下の弱小国を呼んで連戦連勝させる。で、「日本は強くなったぞ」とハデに煽って、守備的で地味だったハリル時代に下降したサッカー人気を呼び戻し、グッズは売れるわ、視聴率や広告収入は上がるわ、というビジネスモデルを描いているのではないか?
もしそうだとしたら、タコが自分の足を食って目先の飢えをしのぐようなものだ。傾いた企業が信用をつなぐため、自己資金を食いつぶして無理な配当をするのと同じである。
そうではなく正しい強化は厳しいアウェイで強豪国と戦い、ねじ伏せられながら学んで行くもの。今は勝てなくても◯年先には強くなるーー。次期代表監督の件もあわせ、そんな長期的視点が必要だ。
一部報道によれば、次期日本代表監督は7月20日の日本サッカー協会の技術委員会をへて、26日の理事会で森保一・五輪兼任監督に決まるという。ロシアW杯の検証さえやらず、まったく狂気の沙汰だ。
日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「9月には親善試合のチリ戦があるし。時間がない」などと言っている。だが、そんなものは明らかな確信犯だ。
例えば当ブログがこの記事を公開した今年5月1日の時点では、すでに9月7日以降、「キリンチャレンジカップ2018」ホームゲームがなんと年内に6試合も組まれていた。ロシアW杯が終わったばかりの9月以降、年内に立て続けで6試合。明らかに異常なブッキングだが、協会のハラは読めている。
おそらくロシアW杯は西野暫定監督で惨敗するだろう。ならばW杯が終わるや即、一気呵成に次期監督を決めて体制一新。年内に立て続けにホームへ格下の弱小国を呼び、新体制で連戦連勝して「ハリル解任〜ロシアW杯惨敗」と続いた悪い空気を薄めようーー。
おそらくそんなシナリオだったのではないか?
マーケティングもせずに新商品を出す愚
だが考えてもみてほしい。終わったばかりのロシアW杯は、協会内で検証さえされてない。なのにいきなり新監督を決める。これがいったいどれほどの愚行か?
例えば自動車メーカーのA社が6月に新車を出したとしよう。ところが翌月の7月にはもう、その改良バージョンを発売するというのだ。だがそんなメチャクチャができるわけがない。
6月に新車を出したら、まずA社はマーケティングを行う。いったい消費者はこの新車のどこに魅力を感じたか? 逆にどの仕様が「不便だ」と不評だったか? カラーリングは受け入れられたか? 走行感は? 安全性は?
こんなふうに細かく市場調査し、まず「よかった点」と「悪かった点」を明らかにする。で、次に新車を出すならどこをどう改善すればいいかを検討する。その上で初めて新商品の開発に入る。
なのに一体どこの企業がこうした綿密なマーケティングをやらず、6月に新車を出したかと思えばその翌7月にもう改良バージョンを発売するだろうか? そんな行き当たりばったりの素人企業は早晩、市場から退場することになるだろう。日本サッカー協会がやろうとしているのは、これと同じだ。
そうではなく、まず日本サッカーが世界で勝つにはどんなスタイルを構築すべきか? 基本戦略を策定する。その上でロシアW杯では日本代表はどんなサッカーをし、どの部分が通用したか? またどこがダメだったか? 改良するとすれば何をすべきか? それを任せられる新監督はどんな人物か? ざっくりこの程度のマーケティングをやってから新監督を決めるのがふつうだろう。
ビジネスも重要だが長期的視点を
なにより危惧されるのは、年内に6試合もホームゲームを組む意図だ。ハリル時代に厳しいアウェイでブラジルやベルギーなどの強豪国と対戦して勝てず、サッカー協会は学習したのではないか? 「これではビジネス的に厳しい」と。
そうではなく、ラクなホームに格下の弱小国を呼んで連戦連勝させる。で、「日本は強くなったぞ」とハデに煽って、守備的で地味だったハリル時代に下降したサッカー人気を呼び戻し、グッズは売れるわ、視聴率や広告収入は上がるわ、というビジネスモデルを描いているのではないか?
もしそうだとしたら、タコが自分の足を食って目先の飢えをしのぐようなものだ。傾いた企業が信用をつなぐため、自己資金を食いつぶして無理な配当をするのと同じである。
そうではなく正しい強化は厳しいアウェイで強豪国と戦い、ねじ伏せられながら学んで行くもの。今は勝てなくても◯年先には強くなるーー。次期代表監督の件もあわせ、そんな長期的視点が必要だ。