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穂村弘に♥ご相談

2016-10-03 08:52:14 | 歌う

                穂村弘に♥ご相談

▴ 「どうしたらいいのだろう」というような鳥取砂丘のわれの足あと  松井多絵子

 二年余も前のことだが、ある批評会の二次会で穂村弘が私の隣席だった。うす暗い居酒屋に少し遅れて入った私の隣に、やはり遅れてきた穂村弘が座った。めったにない幸運に私はうきうきそわそわ、、。。でも直に彼の傍に若い女が来てその席の傍にしゃがみこみ、何やら話し始めた。同じ結社の人か、わたしは二人のことが気になった。が親しい間柄ではなさそうだ。彼女は「わたし結婚したこと後悔してるんです」と言いだす。すると穂村は「アナタの結婚は早過ぎたんですよ」と応じていた。☀「悩んで読むか読んで悩むか」 昨日朝新聞で回答していたのは穂村弘、悩みを相談したくなる人なのだ穂村弘は。

 ~ピアノの先生に「努力が足りない」といわれてしまいました。ひそかに自分は努力家だと思っていただけにとてもショック。「努力」という言葉そのものが嫌いになりそうです。こんな私に効く本を教えてください。(自治体非常勤職員女性・55歳)

 穂村弘は次のように応えている。「本当に努力が足りないかどうか、先生には断言できませんよね。努力の量は、はっきりと目に見えないから。先生にわかるのは、十分な結果が出ていない、という事なのでしょう。努力すればもっとできるはず、という励ましの気持ちがあったのかもしれません。~私は頷く。努力が足りないということは、才能があるということになる。長年、歌を詠みながら儘にならないないとき私には才能がないのかと不安になる。

 ただ、どうなんだろう。「努力が足りない」と「結果がでていない」だったら、私なら、努力不足と決めつけられるほうが嫌な気がします。と穂村弘。一般には 「才能×努力=結果」という図式が信じられています。「努力できるのも才能」ならば「才能=結果」ということに。

 『3月のライオン』は、将棋のプロの世界を描いた漫画です。その中に「だって努力できるのも才能じゃん」という言葉がでてきます。結果は誰の目にも見える。努力はそうではない。そして才能は誰の目にも見えない。是非ご一読をと薦めている本はかなりのボリューム。
羽海野チカ著 白泉社 1巻504円 2~12巻 各525円

 穂村弘は1962年 札幌生まれの歌人。『サラダ記念日』の出現以降口語短歌をさらに快適にし、洗練させた代表的な歌人。近著に『鳥肌』などがある。

             10月3日  松井多絵子


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