軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

タマゴタケ 2022

2022-10-14 00:00:00 | キノコ
 今年はタマゴタケの発生数が多かったと感じている。6年ほど前にタマゴタケが自宅周辺にも発生していることを知り(2016.9.9 公開当ブログ)、その季節になると朝の散歩コースを少し延長して迂回し、タマゴタケを探しながら歩くようになった。どのような場所に発生するかが、次第にわかるようになってきていた。

 そんなことも手伝ってか、今年は例年に比べてタマゴタケを見かけ、撮影する回数も増えている。

 今年の初見日は7月9日で、昨年の6月22日より半月ほど遅かった。その後この原稿を書いている10月上旬にもまだ発生が続いていて、12日に見つけたタマゴタケは、これまで見た中でも一段と赤色の強いもので、次のようであった。長さは約10㎝ほどである。


カサの赤色が濃いタマゴタケ(2022.10.12 撮影)

 以前、妻がツイッターでタマゴタケの写真の1枚を紹介したところ、「ベニテングの会」の関係者の目に留まり、写真利用の問い合わせが来たので、承諾したことがあった。その後、何回かその方に当地で撮影したタマゴタケの写真をお送りしたが、軽井沢のタマゴタケの形状は、寒冷地型ですねとのコメントをいただいた。

 タマゴタケに地域による変異があるとは知らなかった。そこで、ウィキペディアでタマゴタケの項を見ると、

 「タマゴタケ(卵茸、Amanita caesareoides)は、ハラタケ目テングタケ科テングタケ属のテングタケ亜属タマゴタケ節に分類されるキノコの一種。従来の学名はA. hemibapha (Berk.& Br.) Sacc.だったが、近年の遺伝子レベルでの研究により変更された。ただし、遺伝子解析及び胞子の分析から、日本産のタマゴタケには外見上見分けがつかない未記載の隠蔽種が存在することが判明している。狭義のタマゴタケは亜寒帯に生息し、隠蔽種は温帯に生息する。」

とあるので、およそ1000mの高地にある軽井沢に産するものは、この狭義のタマゴタケの方かと思われた。ウィキペディアには外見では見分けがつかないとあるが、慣れた目には違いが判るのだろうか。

 また、ウィキペディアには信州大学で栽培に向けた研究が進められていると紹介されているが、菌糸の培養に成功したのが亜高山帯の集団で、狭義のタマゴタケと書かれているので、軽井沢産のものと同じ種ということになる。

 ただ、今年撮影したタマゴタケの写真を見比べてみると、カサ部分の色や形、柄のまだら模様の強弱などさまざまである。当地のタマゴタケには前記の2種が混在しているのかもしれないなどと思ったりする。

 そうしたことから、以下に今年撮影した写真を多めに紹介する。

 まず、タマゴタケの名の元になっている卵殻状の白い外被膜に包まれて、まだキノコの部分(子実体)が出てくる前のものから。
 この状態では似たキノコもあるので、タマゴタケと断定はできないが、すぐ近くに赤い子実体の見えるものが発生していたので、間違いないと思う。


まだ外被膜に完全に覆われているタマゴタケ(2022.9.14 撮影)

 続いて外被膜を破って赤い子実体が出始めているもの。

赤いタマゴタケの子実体が出てきた(2022.7.25 撮影)

 この子実体は外被膜を地面に残して10センチ前後の長さに成長する。このカサの部分が閉じている時期を幼菌と呼んでいる。

外被膜を破り成長するタマゴタケ(2022.9.17 撮影)

タマゴタケの幼菌 1/5(2022.8.29 撮影)

タマゴタケの幼菌 2/5(2022.8.31 撮影)

タマゴタケの幼菌 3/5(2022.7.25 撮影)

タマゴタケの幼菌 4/5(2022.7.27 撮影)

タマゴタケの幼菌 5/5(2022.9.3 撮影)

 この後、カサが開き、中心部から外に向かう条線が見えるようになる。

カサが開き始めたタマゴタケ 1/4(2022.7.25 撮影)

カサが開き始めたタマゴタケ 2/4(2022.7.27 撮影)

カサが開き始めたタマゴタケ 3/4(2022.7.29撮影)

カサが開き始めたタマゴタケ 4/4(2022.8.31撮影)

カサが開いたタマゴタケ 1/2(2022.9.12撮影)

カサが開いたタマゴタケ 2/2(2022.7.27撮影)

 カサはさらに開き平らな状態から中心部のくぼんだ皿状になるが、この状態は老菌と呼ばれる。

カサが平らに開いたタマゴタケ 1/3(2022.7.29 撮影)

カサが平らに開いたタマゴタケ 2/3(2022.9.1 撮影)

カサが平らに開いたタマゴタケ3/3(2022.8.31 撮影)

カサの中心部が窪みはじめたタマゴタケ(2022.9.1 撮影)

カサの中央が窪んだタマゴタケ(2022.8.19 撮影)

珍しくたくさんのタマゴタケが発生していた(2022.8.29 撮影)

 
カサが反り返り枯れ始めた老菌のタマゴタケ(2022.8.4 撮影)

 タマゴタケは鮮やかでよく目立つ毒々しいような外観に似合わず、優秀な食用キノコであることが知られているので、採集され食卓に上ることも多いと思われるが、以前にも記したように、軽井沢では山菜・野生きのこ採集の自粛要請が出されており、状況は現在も変わっていない。次のようである。

 「軽井沢町産のコシアブラ・タラノメ・ゼンマイ及びコゴミ(野生)については、食品衛生法の基準値(※1)を超える放射性セシウムが検出されているため(※2)、長野県から採取、出荷及び摂取に係る自粛要請が出ています。
 
 また、軽井沢産のコシアブラ及び野生きのこについては、複数の市町村で食品衛生法の基準値(※1)を超える放射性セシウムが検出されているため(※2)、原子力対策本部長から出荷制限の指示が出ています。
 
(※1)基準値:放射性セシウム100ベクレル/kg
(※2)過去に検出されたものを含む
 
 採取、出荷及び摂取の自粛対象品目、出荷制限の対象となっている品目において、検査結果で基準値を超えないものもありますが、確実な安全性が担保されていないとのことから、自粛要請及び出荷制限は継続となっています。(2022年5月18日 更新 軽井沢町公式ホームページより)」

 残念なことであるが、今のところ屋外で見かけたタマゴタケは観察・撮影だけにとどめるしかない状況である。

コメント
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