ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

城山ダム

2015-10-27 10:59:00 | 神奈川県
2015年10月12日 城山ダム
 
城山ダムは神奈川県相模原市緑区城山の一級河川相模川本流中流部にある神奈川県企業庁が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
神奈川県は1938年(昭和13年)に『相模川河水統制事業』を採択し相模川の水資源開発事業に乗り出し、同事業の基幹施設として1947年(昭和22年)に相模ダム ・相模発電所が完成しました。 
しかし高度成長期に入り県内の都市用水や電力需要の増加は留まるところを知らず、加えて相模川中下流域氾濫原での宅地開発が進むに及び、相模川の抜本的治水や新たな利水用水源、発電能力の増強が喫緊の課題となってきました。
この状況に対処するために1960年(昭和35年)に神奈川県、横浜市、川崎市、横須賀市は『相模川総合開発共同事業』に着手し、1964年(昭和39年)に竣工したのが城山ダムです。
同事業では城山ダムに加え、同ダムと揚水式発電を行う上部池として本沢ダム、新たな用水確保の為の取水堰として相模川下流に寒川取水堰が建設されました。
城山ダムは上記4自治体の共同事業で建設された兼用工作物で、相模川の洪水調節、神奈川県営水道・神奈川県内広域水道企業団および横浜市、川崎市、横須賀市への上水および工水の供給、同ダムを下部池、本沢ダム を上部池とした神奈川県企業庁城山発電所での最大25万キロワットの揚水式発電、神奈川県企業庁津久井発電所でのダム水路式発電を目的としています。 
城山発電所は日本で唯一地方自治体が運営する純揚水式発電所です。

一方2000年(平成12年)の宮ヶ瀬ダム完成に合わせて道志ダムから宮ヶ瀬ダム宮ヶ瀬ダムから城山ダムへの導水路が整備され相模、城山、宮ヶ瀬各ダムの連携による相模川水系の総合運用が可能となりました。 
相模川各ダム間の具体的運用については神奈川県水資開発等概要図をご覧ください。

さてダムの見学に移りましょう
残念ながらダムを下流から正対できるポイントはありません。
左岸の展望台から
ここから見るとクレストゲートは6門のように見えますが、中央2門はダミーでローラーゲートは4門。
 
ダムをまたぐパイプは、上流の横浜水道沈殿池からの横浜水道送水管。
 
天端を国道413号線が通っており、かなりの通行量です。
日本で最も天端交通量の多いダムと言えます。
 
左岸の津久井発電所向け取水ゲート。
 
上流面
ここから見るとゲートが4門だとわかります。
城山ダムは洪水期(6月1日~10月15日)と非洪水期(10月16日~5月31日)で容量配分が変わります。
上流面の白と黒の境界線が非洪水期の常時満水位になりますが、訪問した10月12日はまだ洪水期。10月16日以降はあと4メートル水位が上がります。
 
天端から
取水ゲートの隣に浮桟橋があり巡視艇が繋留されています。
平成27年9月関東・東北豪雨による流木やゴミがすごいことになっています。
 
ゲートと導流部。
 
右岸から。
 
右岸から上流面。
 
ダム湖の津久井湖は総貯水容量6230万立米。
上流の相模湖と並んでこちらもハイキング・登山など・釣りなど神奈川を代表するレジャースポットの一つです。
 
(追記)
城山ダムには洪水調節容量が配分されていますが、治水協定により台風等の襲来に備えて事前放流を行うための予備放流容量が配分されました。 

0700 城山ダム(0015)
神奈川県相模原市緑区城山 
相模川水系相模川
FWIP
75メートル
260メートル
62300㎥/54700㎥
神奈川県企業庁
1964年
◎治水協定が締結されたダム


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