ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

三保ダム

2018-02-20 10:00:00 | 神奈川県
2016年1月16日 三保ダム
2018年2月17日
 
三保ダムは神奈川県足柄上郡山北町神尾田の二級河川酒匂川水系河内川にある神奈川県企業庁が管理する多目的ロックフィルダムです。
高度成長を受けて神奈川県内への人口、事業所の集中は一段と加速し、従来の相模川水系だけでは増加の一途をたどる都市用水需要を賄うことが困難となってきました。
そこで神奈川県は県西部最大河川である酒匂川に着目、建設省の補助を受けた補助多目的ダム建設事業に着手し、1978年(昭和53年)に三保ダムが竣工しました。
三保ダムは酒匂川水系の洪水調節、神奈川県全域への上水道用水の供給、東京発電田ノ入発電所での最大7400キロワットのダム式水力発電を目的としています。
 
三保ダム貯水池の丹沢湖は西神奈川を代表するレクリエーションエリアとなっており、四季を通じて多くの観光客やハイカーが訪れています。
またダム自体もダム下に公園が整備されているほか、堤体を登る道路も歩行者に開放されておりダム湖百選にも選ばれています。
 
県道76号から丹沢湖手前でダム広場への道に入ると正面に三保ダムが姿を現します。
三保ダム最大の特徴はまるで重力式コンクリートダムと見まがうばかりの巨大な洪水吐です。
この写真だけを見れば重力式コンクリートダム以外の何物でもありません。
 
ダム直下の吊り橋から
洪水吐はラジアルゲート4門、右岸に越流高の異なるローラーゲートが1門、一番右岸(向かって左手)寄りに横越流式洪水吐からの放流口があります。
 
 
ダム下公園にはミニチュアのダムや吊橋が作られています。
 
左岸から見た堤体下流面
リップラップには芝生が張られ見た目はアースフィルダム。
 
天端および下流面の道路は歩行者のみ開放されています。
 
天端は緩やかにカーブし上下に畝っています。
 
ここを見るとロックフィルだとわかります。
 
上流面
堤体が緩やかに湾曲。
 
ダム湖の丹沢湖は総貯水容量6490万立米
神奈川を代表するレクリエーションエリアです。
 
減勢工
減勢工の隣には茶畑。
 
ゲート最右岸には非常用洪水吐である横越流式洪水吐があります。
 
ダム下公園に置かれた東京電力田ノ入ダムのゲート巻き上げ機と嵐発電所のライナー。
 
東京発電田ノ入発電所の放流口。
ここは分水工になっていて、右手は嵐発電所の取水口、左手は河川維持放流や常用浮流として河内川に戻されます。
 
芝生が張られアースダムと見紛うような女性的な堤体と、それだけ見れば恰も重力式コンクリートダムのようなスパルタンな洪水吐の対比が非常に美しい三保ダム。
神奈川と言えば宮ヶ瀬ダムの人気が高いですが、個人的には三保ダムの方が好みです。
 
追記
三保ダムには1000万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに522万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0702 三保ダム(0191)
神奈川県足柄上郡山北町神尾田
酒匂川水系河内川
FWP
95メートル
587.7メートル
64900千㎥/54500千㎥
神奈川県企業庁
1978年
◎治水協定が締結されたダム


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