ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

釜房ダム

2017-05-29 20:00:00 | 宮城県
2016年4月  9日 釜房ダム
2017年5月27日
 
釜房ダムは宮城県柴田郡川崎町小野の一級河川名取川水系碁石川にある多目的重力式コンクリートダムです。
1940年(昭和15年)に仙塩工業地帯建設計画の一環として当地へのダム建設計画が立案されますが、戦争激化により事業はいったん中断します。
戦後、名取川の治水に加え東北の中枢として発展著しい仙台地区への都市用水水源確保が喫緊の課題となり、改めて釜房ダムが着目されます。
1964年(昭和39年)に建設省(現国交省)直轄事業によるダム建設が着手され、1970年(昭和45年)に釜房ダムが竣工しました。
釜房ダムは国交省東北地方整備局が直轄管理する特定多目的ダムで、碁石川および名取川の洪水調節、流域既得灌漑用水への補給と安定した河川流量の維持、仙台市など3市1町への上水道用水の供給、仙台湾沿岸工業地帯への工業用水の供給、東北電力釜房発電所(最大1300キロワット)でのダム式発電を目的としています。
とりわけ仙台市の上水需要の3割超を釜房ダムで賄っており、文字通り『仙台の水ガメ』となっています。
一方完成当初よりダム湖の釜房湖湖岸の環境整備が進められ、1989年(平成元年)には国営みちのくの湖畔公園が開設されるなど宮城県を代表するレクリエーションエリアとなっており釜房湖はダム湖百選にも選ばれています。

左岸下流側から
堤高は45.5メートルとさほど高くありませんが、水を支えるという重厚感が伝わってきます。
 
同じアングルで5月の新緑時に撮ってみました。(2017年5月27日)
 
同じ場所から広角で。
減勢工が大きい。
(2017年5月27日)
 
ゲート操作室。
 
IHIのガントリークレーン。
 
天端は車道で北向き一方通行。
 
取水棟。
 
直下に発電所。
 
湖畔の桜は8分咲き。
 
下流は立入禁止のため国道から
桜は見ごろ
霞んでいなければ蔵王の山並みもはっきり見えたのですが・・・。
 
 
追記
釜房ダムには洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらなる洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0297 釜房ダム(0302)
宮城県柴田郡川崎町小野
名取川水系碁石川
FNWIP
45.5メートル
177メートル
45300千㎥/39300千㎥
国交省東北地方整備局
1970年
◎治水協定が締結されたダム

半田沼ダム

2017-05-29 11:14:07 | 福島県
2017年5月27日 半田沼ダム
 
半田沼ダムは福島県伊達郡桑折町にある灌漑用アースダムです。
半田沼の西にある半田山は生野、石見とともに日本3大銀山として知られ長く採掘がおこなわれてきました。しかし採掘の影響もあり明治中期以降地滑りが続き1903年(明治36年)の大規模な地滑りで誕生したのが現在の半田沼です。
その後、福島県の事業で灌漑用水源として整備され、1950年(昭和25年)にダム化され半田沼ダムとなりました。
現在は桑折町が管理を行っています。
半田沼および半田山一帯は福島県の半田山自然公園として整備され、登山、ハイキング、キャンプなどが楽しめるレクリエーションエリアとなっており、年間を通して多くの人が訪れています。
 
県道353号線から半田沼の標識に従って西に折れ、山を登ってゆくとビジターセンターの駐車場に到着します。
ここから遊歩道を歩くとほんの数分で半田沼に到着です。
右岸上流から。
 
右岸から。
 
洪水吐導流部
この左手が堤体になるはずですが、下流面に当たる部分も植林が施され堤体と山林の区別がつきません。
 
右岸の洪水吐。
 
 
天端
ベンチが置かれ花のシーズンには絶好のお弁当スポットになりそう。
 
上流面はコンクリートで補強されています
自然公園ということで景観にマッチした石張り風の型枠が使われています。
 
左岸にある階段式斜樋。
 
半田沼
春には桜やツツジ、秋は紅葉が楽しめるレクリエーションスポットです。
 
竣工記念碑。
 
灌漑用水の確保に苦労していた半田地域の農家にとって半田沼は貴重な水源でしたが、一方でたびたび決壊被害を繰り返し、半田沼の整備は半田地域の長年の悲願でした。
 
3696 半田沼ダム(1005)
福島県伊達郡桑折町北半田
阿武隈川水系普蔵川
29.4メートル
70.5メートル
桑折町
1950年