ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

真野ダム

2017-05-30 14:45:04 | 福島県
2017年5月28日 真野ダム 
 
真野ダムは福島県相馬郡飯館村の真野川にある福島県営の多目的重力式コンクリートダムです。
真野川は飯館村の三郷森付近に源を発し飯館村から南相馬市鹿島区を東西に横断して太平洋に注ぐ2級河川です。阿武隈山地北東端にあたる相馬地域は山懐が狭い上に真野川は急流河川のため豪雨のたびに流域に洪水被害をもたらしてきました。
一方で渇水による干ばつ被害も多く安定した灌漑用水の確保が求められてきました。
さらに都市化の進展や相馬中核工業団地の造成により都市用水の需要増加が見込まれ新たな水源確保が課題となってきました。
これらの諸課題に対応するため福島県は真野川総合開発事業を策定、その中核施設として1991年(平成3年)に竣工したのが真野ダムです。
真野ダムは真野川の洪水調節、安定した河川流量の保持と既得取水権としての灌漑用水への補給、相馬市等への上水道用水及び工業用水の供給を目的とするほか、東北電力傘下の東北自然エネルギー(株)真野発電所で最大1100キロワットの発電を行っています。
 
真野ダムは県道268号線沿いにありアプローチは簡単です。
ダム下への道は立ち入り禁止ですが、県道から下流面をみることができます。
クレストには自由越流式洪水吐が並び、中央に真っ赤なラジアルゲートが1門設置されています。
 
下流面。
 
堤体には取水設備がビルトインされています。
 
 
天端に埋め込まれた方位版。
 
相馬野間追を描いた陶板。
 
高覧下にも馬が描かれています。
 
ダム湖(はやま湖)
総貯水容量3620万立米
鯉釣りの名所で上流では多くの釣り師が湖畔で糸を垂れていました。
 
堤体は右岸側が緩やかに湾曲しています。
 
右岸上流展望台から
堤体が湾曲しているのがよくわかります
それにしても赤いゲートが鮮やか。
 
同じ展望台からインクラインと『まのダム』の植栽。
 
ダム湖周辺はレクリエーションエリアとしてよく整備されていますが、やや荒れ加減なのは震災の影響なのでしょう。
 
追記
真野ダムには1100万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害予想される場合に事前放流により新たに最大1285万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0524 真野ダム(1011)
福島県相馬郡飯館村大倉
北緯度分秒,東経度分秒
DamMaps
真野川水系真野川
FNWIP
 
69メートル
239メートル
千㎥/千㎥ 
福島県土木部
1991年
◎治水協定が締結されたダム

山田溜池

2017-05-30 13:07:59 | 福島県
2017年5月28日 山田溜池
 
山田溜池は福島県相馬市坪田にある灌漑用アースダムで、ダム便覧によれば1971年(昭和46年)に福島県の事業で整備されました。
相馬地域は海岸段丘上に農耕地が広がっていますが、大河がなく山が海に迫っているため降雨もすぐに海に流下し灌漑用水の確保が困難な地域でした。
そのため多数の溜池が密集し中には大規模なため池も見られますが、堤高15メートル未満のためダムと認められている溜池は些少です。
そんな中、山田溜池は堤高が15メートル以上であることことが確認され、2016年(平成28年)にダム便覧に新規に掲載されました。
 
坪田地区の集落最奥に民家が一軒あります。その手前の分岐を左折し未舗装の道路を200メートルほど進むと山田溜池に到着します。
天端は舗装されており車も入れます。
 
総貯水容量8万3000立米と小規模なため池です。
 
右岸の斜樋。
 
右岸の洪水吐。
 
 
上流面はアスファルトで護岸されています。
 
下流面
秋に刈り払われたようでまだ草は伸びていません
ダム下は昔は水田だったようですが今は放棄され藪になっています。
 
洪水吐。
 
右岸上流からの上流面。
 
斜樋。
 
1971年(昭和46年)竣工とありますが、洪水吐やアスファルト処理された上流面をみるとその後大規模な改修があったようです。
 
3697 山田溜池(1010)
福島県相馬市坪田
日下石川水系町場川
20メートル
93.3メートル
管理者未確認
1971年

鴻の巣ダム

2017-05-30 11:08:23 | 福島県
2017年5月28日 鴻の巣ダム
 
鴻の巣ダムは福島県相馬郡新地町にある灌漑用アースダムで、1978年(昭和53年)に福島県の事業で建設され現在は新地町土地改良区が管理を行っています。
 
今回は宮城県丸森町から国道113号を南下、常磐道新地インター入口の先を左折すると左手に鴻の巣ダムの堤体が見えてきます。
 
堤体に天端へ上がる階段がありますがその手前の門扉でゲートアウト。
 
いったん引き返し天端へ向かう道路に入るとこちらも関係者以外立ち入り禁止。
 
結局下流からの姿を見るだけに終わった鴻の巣ダムでした。
 
0517 鴻の巣ダム(1008)
福島県相馬郡新地町駒ヶ嶺
地蔵川水系立田川
23.5メートル
187メートル
新地町土地改良区
1978年

小田川水源地取水堰堤(参考掲載)

2017-05-30 10:30:00 | 宮城県
2017年5月28日 小田川水源地取水堰堤
 
小田川水源地取水堰堤は宮城県角田市小田の阿武隈川水系小田川にある角田市が管理するの上水道目的の表面石張玉石コンクリート堰堤です。
1934年(昭和9年)に当時の角田町によって建設され、竣工当時の堰堤がそのまま残っており、Cランクの近代土木遺産に選定されています。
堤高5.67メートルとダムの要件を満たしていませんが、戦前の貴重な土木遺産ということでダム便覧に参考掲載されています。
現在も現役で稼働しており下流にある浄水場を通じて角田市小田地区に上水道用水を供給しています。
 
角田市中心街から県道105号線を南下し、小田地区に入ります。浄水場をやり過ごしてさらに進むと左手に小田川水源地取水堰堤が現れます。
想像以上に小さな堰堤で左岸に取水用のハンドルが並びます。
 
関知石を布積みしています。
堤体下部に穴があり排砂口と思われます。
 
小さな堰堤で貯水池も池と呼ぶのさえおこがましいサイズですので、雨でも降ればすぐに越流するんでしょう。堤頂部は泥で汚れています。
 
取水口
ここで取水した水は下流の浄水場を経て小田地区に供給されます。
 
S013 小田川水源地取水堰堤(参考掲載)(1007)
宮城県角田市小田
阿武隈川水系小田川
5.67メートル
12.37メートル
角田市
1934年