ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

樽床ダム

2017-05-19 13:21:01 | 広島県
2017年5月8日 樽床ダム
 
樽床ダムは広島県山県郡北広島町の太田川水系柴木川最上流域にある中国電力の発電用重力式コンクリートダムです。
1951年(昭和26年)の電力分割民営化によって誕生した中国電力は、戦後の電力不足解消を目指し新たな電源開発を進めます。
太田川水系ではすでに戦前に本流に立岩ダム、滝山川に王泊ダムが建設されていましたが、まだ開発の手が及んでいなかった柴木川に1957年(昭和32年)に建設されたのが樽床ダムです。
ここで取水された水は導水路で下流の柴木川第一発電所に送られ最大2万4000キロワットの発電を、さらに柴木川ダムを経て柴木川第二発電所で最大6600キロワットの発電を行っています。
樽床ダムは立岩ダム、王泊ダムとともに中国電力の『太田川3ダム』と総称されています。
ダムは観光名所である三段峡の最上流部にあたるほか、ダム湖の聖湖畔には大規模なキャンプ場が設置されており夏や紅葉シーズンには多くの観光客が訪れる観光スポットにもなっています。
 
国道191号線の道戦峠付近から樽床ダムの標識に従って分岐を南西に進むとダム左岸に到着します。
左岸から下流面
 
上流面
取水設備が見えます。
 
取水設備の機械室建屋
ガントリークレーンのような建屋は同じ時期に改修された王泊ダムのそれと似ています。
 
柴木川第一発電所への導水管が堤体から直接出ています。
 
天端は車両通行可能。
 
右岸上流から。
 
ゲートをズームアップ
関電と見紛うようなブラックゲートも王泊ダムと共通。
 
堤体直下への道は立ち入り禁止でしたが、たまたま作業中だった職員さんにお願いしたらOKが出ました。
1950年代のダムらしく打設面がくっきり出ています。
 
下流から
クレストはラジアルゲートが2門
下の穴が利水放流ゲートになるようで維持放流が行われています。
 
ゲートをズームアップ
さすがにこの辺りは雪が多いと思われゲートピアには被覆された管理橋があります。
 
訪問したのが午後4時過ぎ、ちょうど作業を終えかけた職員さんが駐在しておられ、だめもとでお願いしたら立ち入り禁止のダム下や監査廊の中まで見せていただけました。
 
追記
樽床ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに1081万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
1958 樽床ダム (0999)
広島県山県郡北広島町東八幡原
太田川水系柴木川
42メートル
261.2メートル
中国電力
1957年
◎治水協定が締結されたダム