ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

小河内ダム

2016-03-03 16:00:00 | 東京都
2015年11月14日 小河内ダム
2016年  2月28日
 
小河内ダムは東京都西多摩郡奥多摩町原の一級河川多摩川本流上流部にある東京都水道局が管理する上水道用水および発電目的の重力式コンクリートダムです。
人口増加や京葉工業地帯の発展を受け東京では水道需要が急増、1926年(大正15年)に当時の東京市は多摩川上流部へのダム建設を企図します。
1936年(昭和11年)の内務省裁定により東京府が多摩川の水利権を獲得、これを受け東京市はダム建設に着手しますが、2年後の東京都誕生に伴い都が事業を引き継ぎます。
しかし戦争激化による中断もあり、建設着手から14年後の1957年(昭和32年)にようやく小河内ダムが竣工しました。
小河内ダムで貯留された水は同時に完成した東京都交通局多摩川第一発電所で最大1万9000キロワットのダム式発電に使われたのち多摩川に放流され、下流二か所の取水堰で水道原水として取水されます。
現在東京都の水道水の多くは利根川水系に依存しており、小河内ダムからは多摩地域への給水に限られていますが、万一の渇水の際のサブ貯水池として重要な存在であることに変わりはありません。
 
ダム湖の正式名称は小河内貯水池ですが「奥多摩湖」の名のほうが一般的で、登山、釣りやキャンプなど関東有数のレクリエーションの拠点としてダム湖百選に選ばれています。
また2015年(平成27年)には日本ダム協会により日本100ダムに、2018年(平成30年)には土木学会選奨土木遺産に認定されました。
 
残念ながら小河内ダム堤体下流側は立ち入り禁止となっており、ダムを下流側から見ることはできません。
小河内ダムは非越流型重力式コンクリートダムで、余水吐は堤体から地山を挟んだ左岸側に位置しておりこちらは国道411号から見ることができます。
最奥にローラーゲートが5門見えます。また向かって右手から河川維持放流が行われています。
 
上流から見た余水吐ゲート
耐震強化工事中です。
 
余水吐導流部。
 
左岸から堤体下流面
放流設備のないすっきりした堤体。
 
上流面
堤体には対になったエレベータ棟と展望棟があるだけ
 
天端から
白い建屋が東京都交通局多摩川第一発電所。
ダム下のプールは水褥池(すいじゅくち)
水褥池??
上からは見えませんがダムの下部には放流管が2条あります。一方左手の発電所からの放流水も水褥池に放流され、それぞれ減勢させる目的の副ダムと言えます。
水褥池からは河川維持放流が川に戻され、残りは導水路で東京発電氷川発電所に送水されます。
 
2車線はある広い天端ですが、歩行者のみ開放されています。
 
右岸から上流面
遠く対岸に余水吐が見えます。
 
余水吐ゲートを遠望
網場かと思ったら巡視艇繋留用の浮きでした。
 
右岸展望台から。
 
左岸上流から
左手は発電用取水ゲートで、上は緊急用ヘリポートになっています。
 
左岸の大麦代園地から遠望
余水吐ゲートと堤体が地山を挟んで分かれているのがよくわかります。
 
追記
小河内ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに3558万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0692 小河内ダム(0052)
東京都西多摩郡奥多摩町原
多摩川水系多摩川
WP
149メートル
353メートル
189100千㎥/185400千㎥
東京都水道局
1957年
◎治水協定が締結されたダム