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出雲・長浜神社と国引き神話

2020-03-02 14:17:24 | 出雲国

出雲・長浜神社の由緒は、はっきりしないところがあるようだ。神社の由緒書によると「出雲社」とあるが、これは『出雲国風土記』に記されているものの、出雲郡条の記載であり、長浜神社が鎮座するのは神戸郡である。出雲国風土記による比定説は、やや難がありそうだが古い歴史を有していると考えられる。

この社の主祭神は八束水臣津野命である。八束水臣津野命を主祭神として祀る社は、全国で10社にも満たない。其の中で出雲国は五社を数え、著名なる社が長浜神社である。

国引き神話とは・・・

意宇と号る所以は、国引き坐しし八束水臣津野命詔りたまひしく「八雲立つ出雲の国は狭布の雅国なるかも。初国小く作れり。故、作り縫はな。」と詔りたまひて、「拷衾志羅紀(たくぶすましらぎ)の三埼を、国の余ありやとみれば、国の余あり」と詔りたまひて、童女の胸鉏(むなすき)取らして、大魚の支太(きだ)衝き別けて、波多須々支穂(はたすすきほ)振り別けて、三身の綱打ち挂けて、霜黒葛闇耶闇耶(しもつづらくるやくるや)に、河船の毛曽呂毛曽呂(もそろもそろ)に「国来、国来」と引き来縫へる国は、去豆(こず)の折絶(をりたえ)よりして、八穂米支豆支(やほしなきづき)の御埼なり。かくて堅め立てし加志(杭)は、石見国と出雲国の堺なる、名は佐比売山、是なり。亦、持ち引ける綱は、薗の長濱、是なり。(略〜同様に佐田の国・闇見の国・三穂の埼と計4回国引きする) 「今は国引き訖へつ」と詔りたまひて、意宇杜に御杖衝き立てて「意恵(おえ)」と詔りたまひき。故、意宇と云ふ・・・とある。

出雲の国引き神話は、国土の水平移動である。この種のタイプの神話は、南方系神話の特徴とされており、山陰の古代(上代)の何がしかに、南方の匂いがするが、この国引き神話もその一つである。

(一の鳥居)

(拝殿)

(本殿)

噺がそれたが、この長浜神社が面白い。本殿は大社造りで変哲も何もないといえば語弊があるが、本殿の裏手が面白い。

大和・三輪の大神神社にある三輪式の鳥居があるではないか。向かって右が岐(くなど)神社の双体道祖神と祠、中央が夫婦石で左が男根、右が女陰である。左は荒神であった。

先に大和へ旅をした。天孫族の痕跡をみたのは橿原神宮で、大神神社をはじめとして、出雲系の諸神を認め、男根・女陰のまさにアニミズムに遭遇した。この長浜神社も瓜二つである。やはり古様を示しているであろう。

<了>

 


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