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謎のサンカンペーン青磁印花双魚文盤

2016-06-03 09:14:19 | サンカンペーン陶磁

過日、京都府立図書館にて長谷部楽爾著「インドシナ半島の陶磁・山田義雄コレクション」をみた。当該コレクションは町田市立博物館に収められているらしい。当該博物館では、どうも常設展示されていないようである・・・残念。
当該著作当時は、パヤオとサンカンペーン陶磁は同じものとして扱われ、区別はできていなかったようである。

写真の劃花草文盤はパヤオの最大の特徴である。今日、サンカンペーンとパヤオの判別は可能である。
問題は次の、印花双魚文盤である。書籍はサンカンペーンと紹介している。その魚文は初見で、過去鉄絵・印花文合わせて数百点を見ているが、この手の文様は経験がない。先ず写真を御覧いただこう。

サンカンペーン青磁印花双魚文盤と紹介されているが、解像度が低く文様が不鮮明である。拡大すると多少輪郭が分かるが、不鮮明な部分も多々残っている。


先ず鰭の数であるが、背側は1箇所で腹側ははっきりしない。背側の鰭が1箇所の印花文は、パヤオとナーンの特徴である。

文様を拡大しても不鮮明であるが、文様の特徴として後3点を確認することができる。
1点目は、筋状の尻鰭が上下に分かれている点である。これもパヤオとナーンの特徴である。以下、上から2つがパヤオ、3つ目の魚文がナーンの文様である。このような尻鰭の文様はサンカンペーンでは見ない。

 

 


2点目は、魚体に骨のような文様を垣間見る。このような文様はパヤオ魚文の特徴である。
3点目が最大の特徴であるが、魚体の周囲に小さな○文が配置されている点である。この手の文様を見た経験があることを思い出した。
それは、チェンマイ大学陶磁資料室である。それが下の写真であるが、波状の劃花文の周囲を小さな○文が囲んでいる。この○文の使われ方の趣旨は双方同じものと思われる。

陶磁資料室の学生に尋ねると、陶片資料番号からサンカンペーンという。手にとって見ると、口縁に釉薬が掛かっている点、胎土や高台の形状や様子から、どことなくサンカンペーンとは異なるようで、個人的には焼成地が特定できていない。チェンマイ国博敷地内のタイ芸術局第8支所の担当者に質問すると、パヤオかナーンではないかとの指摘であった。
この山田義雄コレクションの印花双魚文盤の胎土と高台の様子をみれば、サンカンペーンかそうではないのかの概要がつかめそうである。今日一番見てみたい謎の陶磁である。








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