世界の街角

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村田製作所に死角はないのか?・#3

2019-07-10 06:53:19 | 村田製作所とTDK

またまた数字で恐縮である。

〇海外売上高比率 91%

 内、中華圏売上高比率50%

〇日本国内生産比率 65%

ただの数字の羅列であるが、それなりの意味を持つ。海外売上高比率91%に対し、海外生産比率91%ではなく35%で、国内生産比率が65%である。過去、競争力確保のため同業は一斉に海外生産、特に中国に進出した。一時期TDKは中国の生産拠点が十数カ所に達した。いくらなんでも遣りすぎだろう。その結果が一斉撤退である。muRataも海外進出が盛んに議論されたが、未だに日本国内生産比率が65%である。安直な直接人件費削減の海外進出はせず、人件費の高い日本に留まり、合理化投資とコスト削減に邁進し、国内雇用は維持したのである・・・ここまでは立派の一言。

中華圏売上高比率が50%は気になる。しかも通信・スマートフォン向け売上高比率が48.4%である。つまりファーウェー向けである。世界の物作りが中國に集中しているといえばそれまでで、中国一辺倒にならざるを得ないにしても気になる。おまけに、日韓貿易戦争でサムソンやLGにも電子部品を販売しており、この出先も見えないなか2020年3月期は、へたをすれば減収決算の危険性を孕んでいる・・・しかし、これらは我慢の時代の始まりではあろうが、死角にはあたらない。

日経ビジネス6月3日号には、MLCC生産現場の記事で工程間仕掛りが多いと記載されていた。これは今に始まったことではなく昔からで、過去にはJIT(Just in Time)取組みで仕掛り削減取り組み行っていたが、どうなったのか?・・・MLCC生産は擦り合わせ技術の最たるものである。日経ビジネス37Pageには、”焼成工程なら、焼き上げる温度をどう管理するかは現場の作業員しか分からない”・・・とある。これは真っ赤な大嘘。

原料ロットが変われば、加工条件は微妙に変化する。焼成条件が変化するのは毎回のことである。過去からの加工条件・焼成条件と原料特性データを基礎に、先行試験条件を幾つかに振って先行試作・評価してから条件設定するのである。これを現場の作業員ができるわけない・・・というようなことで、工程間仕掛りが介在せざるを得ないのも事実である。従って仕掛りが必要悪であるならば、そんなものの削減に注力するより、品質確保の原点管理に注力する方がよっぽど賢いことになる。

muRataに死角があるとすればここである。MLCCの世界シェアは40%。先行評価で加工条件設定に時間を要しすぎる、あるいは品質問題を起こし出荷に支障がでれば、シェアが高いだけに即刻納期問題につながる。曰く得意先のラインが止まる問題である。製造責任者が常に配慮しなければならないのは、納期問題に気を取られ、品質から目が外れることである。muRataではないが、近年検査データの改竄や偽装問題が世間を騒がせた、そのmuRata版発生が心配される。ものつくりの原点管理が常に行われている現場こそ大切で、数%のコスト削減など必要ではあるが本質でも何でもない。今回はここまでとする。

 

<続く>

 

 


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