世界の街角

旅先の街角や博物館、美術館での印象や感じたことを紹介します。

北タイ陶磁の謎が解けない・その3

2015-01-18 19:51:30 | 北タイ陶磁
 前回の続きである。過日、ネットで「バンコク大学東南アジア陶磁博物館」と入力し検索していたら、「の~んびり タイランド2」なるブログがヒットした。ブロガーはバンコク在住の方と思われ、紀行文や古陶磁についての記事である。その中で、北タイ・ナーンにある「ワット・プーミンのプーン・バン博物館」なる記事を探し当てた。種々ある展示物の中で、ナーン・ボスアック窯の古陶磁で、興味の湧く写真が目に飛び込んできた。
 頸部、口縁や全体の姿が、バンコク大学東南アジア陶磁博物館やホノルル美術館の例の貝耳壺と似ている。写真に写る肩の印花文様を見ると、多きく湾曲する2本の波線の間に点模様があるではないか(他人様の写真なので、そのものずばりを掲示できないので、スケッチを掲載しておく)。


 はっきり云って、これは驚き以外の何でもない。「北タイ陶磁の謎が解けない・その1」で呈示した、堺市立博物館で見たサンカンペーン印花文盤の文様と、よく似ている。盤の文様は不鮮明であったが、湾曲する2本の弧に囲まれていたのは巻貝の印花文だったと思われる。

 この盤は、確か変則的(規則正しい等間隔ではない)な輪花縁盤であり、この種の文様と合わせて、サンカンペーンではあまり見かけたことがなく、キャップションのサンカンペーンとの表示に、多少首をかしげていた。前述のことを考えると、この盤はナーン・ボスアック産と思われる。
 話が横道に反れたが、本題の壺に話を戻す。「プーン・バン博物館」の掛分け釉双耳壺の印花文様は、東南アジア陶磁博物館とホノルル美術館の壺の印花文様と似ているが、そこに印されている稲穂のような文様(北タイの吉祥文?・・・これはこれで追及しているが、手掛かりが得られていない)を両壺以外に見ないのが多少気になるものの、それらの壺はナーン・ボスアック産の可能性が高まった。
 アデレード大学のドン・ハイン氏はラオスのバン・サイハン産であるとし、関千里氏はパーンに言及されている。当該ブロガーはまとまりがついていないが、ナーン・ボスアックについて更に追及してみたいと思っている。
 それにしても、2014年1月7日―8日のナーン紀行の際、ワット・プーミンは参拝したが、その境内に「プーン・バン博物館」があることなど、全く知らず不覚であった。そこでナーン訪問当時の写真を探すと、ボスアックの窯址に建つジャー・マナス私設資料館の壺を思い出した。それは口縁部の形状が異なり、青磁の一色釉でほぼ完器、頸部の印花文が「プーン・バン博物館」の掛分け釉双耳壺と同じであった。もっと注意して観察する必要があることを痛感した。その壺の写真を下に掲示しておく。



 当件に関し何か情報をお持ちの方は、一報願いたいものである。尚、参考に「ボスアック古窯址群・その6」を参考にして頂ければ幸いである。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿