まさおっちの眼

生きている「今」をどう見るか。まさおっちの発言集です。

「歌を忘れたカナリヤは裏のお山に捨てましょかー」

2009-09-27 | 随筆
一日、府中の東京競馬場で、博打をやった。惨敗だった。家に帰って、風呂の湯船に浸かりながら、煙草を吸った。若い頃、ゴダール監督の映画「気狂いピエロ」でジャンポールベルモンドが湯船で葉巻を吸いながら、子供に詩を読んで聞かせるシーンが印象的だった。この映画は物質文明の世の中に「絶望」と言いながら、最期は体中にダイナマイトを巻いて自爆するところで終わる。俺の名画ベストスリーに入る傑作だ。ところでこの主人公のように湯船で煙草を吸うと実に贅沢な気分になる。俺はいつも湯船に浸かって煙草を吸いながらバカな一日を忘れるようにしている。「自分に勝ち、味方に勝ち、敵に勝つ。人生は闘いじゃ、闘え、闘え」、そう以前勤めていた雑誌社の社長は言っていた。男はやはり外に出て闘ってこそ、生きがいがある。しかし、仕事を辞めてしまった俺には闘うものがない。外に向かって闘わないから、自分に勝つという克己心もない。心も服装もだらけっぱなしである。せいぜい、闘う世界はギャンブルだけで、パチンコの台と闘って負けて、女房の生活費の封筒から金を盗んで怒られる始末だ。「歌を忘れたカナリヤは裏のお山に捨てましょかー」、いえいえそれは可哀想、とは、誰も言ってくれない。すべては俺が悪いのだ。