まさおっちの眼

生きている「今」をどう見るか。まさおっちの発言集です。

まさおっち短歌集

2017-11-20 | まさおっち短歌集
下記の短歌は小生が50才の頃、10年勤めていた出版会社を退社し、失業保険で食って、毎日魚釣りばかり行っていた頃、読んだ作品です。すっかり忘れていたのに、京都に住む兄貴が掘り起こしてくれました。



       まさおっち短歌集 :2007/01/26


● この頃のきれぎれ意識まとまらず「短歌」を詠んでツギハギの我れ

● 一日を大事に過ごせと言うけれど我は漂う煙りのごとく

● 社を辞して孤独と寒さに震えしも釣り場に友の「身体こわすな」

● 沖縄娘、初雪喜々とその後は黒い雪山「雪はもういい」

● 我ひとりテトラ住みつく猫ひとり 人嫌いをば野生というか

● 北風に震えし野良猫生きのびよ握り飯投げ共に食らわん

● 「しなければ」と赤子の心かき消され齢五〇に本心が生

● キレるのはおじさんだってありまする舐めたギャル歌ミンチにしたい

● 速度上げ夢幻の日常突破して死前の瞬時に永遠を見る

● 妻の腹劇痛絶叫我どうしょケロリ治ってテレビ見るバカ

● 魚釣り美しき絶景目に入らず動かぬ浮子を見続けるヘン

● 厚切りのすぐパン焼けぬニャーニャーと鳴く猫蹴飛ばし昼飯はまだ

● 兎の縫いぐるみ小首傾げて遠くみる哀し歓びモノ言わぬ清心

● 食うことが仕事の猫は食いおわり後は寝るだけ我も寝るだけ

● 茫々と吠える風呂釜 我の声、孤独を食みて湯水と遊べ

● うららか日「春だ、春だ」と鳴き叫ぶ野鳥がうるさい我不元気

● ひとが死ぬ神業ごとくパッと消え居なかったように続く日常

● 「ここが我れ」山裾しがみつく家をみて青空飛ぶ鳥自由の舞い

● 「明日こそ輝き生きて」妻の掌の握り飯は胃に重たきかな

● 山をまたぎ巨人のようにヨッコラショ雲を食べればさらに大きく

● 火葬場エントツ在りてたなびくは雲か煙りか此岸彼岸

● 釣り人の俺には判る護岸にてムダな工事の人寄せつけず

● 真冬に蝶寝床群がり眠れない義母の電話に来るものが来た

● ダニーボーイ我が美声に酔いしれて車走らす人生はこれ

● 杖をつきヨチヨチ歩く老人の右左見て立ち小便

● 半のら猫とケンカ楽しくエサやらずふと触る指先の「痩せたなお前」

● 初めての女はすべて神仏この世に賭けるものは他なし

● 北風に湖面漂う浮子ひとつじっと見つめて仏が見える

● 強きもの強き者こそ人生の指南となりき我がこれからの

● からす瓜垂れ下がりしは残雪の密かな湖ひと知れず生きる

● 静寂な湖水岸辺の波の音 ポコリ、ポコリと我に語りぬ

● 壮大な山の麓を這いまわる車の列はアリと変わらず

● 「おのれとは」清水の囁きに消え失せて湖水に束の間の平和を見る

● 誰が為に生きてはおりぬ我がの身は湖水見つめる一匹の虫

● 陽が陰り寒さに天を仰ぎ見て雲の雄大流れ行くまま

● 生きていてすべての生き方正しいと湖上に遊ぶ虫たちの声

● 枯れ木には霊が宿る清らかな春待たずとも今を楽しんでいる

● 名も知らぬ雑草確か蕾持ち無辺広大宇宙を生きる

● 健康は手段でなくて目的に五〇過ぎれば運動靴の妙

● 春風と陽にきらめきの湖上にて曳き舟曳かれる子供らの舟

● 夕暮れにきらめく湖上鴨の飛ぶ どうどうめぐり今だやまずに

● 妻立ちぬまな板の音きんぴらにこまやかな響き母の面影

● 我が走る行方に雲の雄大な鼓舞する力に生きるぞをかし

● 水鳥はかろやか行き交う此岸彼岸どこで死ねども陽射しひとつ

● 河川敷淡雪残る白き海いろいろ考え大放尿

● 白髪の空を舞う杖行く道に野良猫一匹生きることが生きること

● 活歩するヒールの音と脚線美ぶちのめしたい抱いてもみたい

● 北風にオエオエオエと鳴く烏 逞しきかな、逞しきかな
   
● 太陽はあらゆるものに平等な陽射し暖か我今日を生きる

● 広い空自由に描けばいいものを規則正しく並ぶ綿雲

● コンクリート護岸に佇む白さぎは過去のせせらぎ知るよしもなく

● 我歩くただひたすらに歩き行く雲海清く陽射し暖か

● 雲のとび飛び跳ねる様照らしゆくお天とさまは真っ直ぐ生きろと

● 身を守るためだと思いプライドを捨ててしまって身を滅ぼす

● クソも出て万事平和と吸う煙草漂う「今」に係わる事なし

● 人生は行き詰まったほうが楽しいとタケシの言葉に希望を見出だす

● 社を捨てて過去も捨てたり我がの身は何でも有り無しこれからの人生

● 独りで生まれ独りで死ぬる我の身に過去未来などあるはずもなく

● すべてのもの壊され壊しゼロになり放蕩遊戯三昧の日々

● 目覚めれば女房も我も髪立ちて互いに顔見て「あんた誰?」

● 春陽射し戯れる風湖上にて浮子を見ながら俺はこれでベスト

● 春一番野鳥の鳴き声絢爛の俺まだ沸き上がるほど春を感じず

● もう一度人生あっても今と同じ湖水見ながら魚と遊ぶ

● 春の日の陽射しが楽し風楽し寝そべる我はすべておおらか

● 悲しみの稀薄な時代は複雑で動きは惑いもっと悲しく

● 並木道並木をバッサリ切り落とし胴だけ並ぶ木はモノ言えず

● 幾たびか空中分解する人生その度ごとにゼロからの出発

● 秋風に銀杏落とす並木道今は春待つ青空の枝たち

● 色香雲心とどめておくものをカメラ買う間に変形せりし

● 溜め息を深くつきても行く道の見えぬことにはおのれが見えず

● 絶望の自己の闇夜を見続けて不安に狂気に語るすべなく

● あるがまま、あらゆることを飲み込んで立ち向かう事こそ強きもの

● 何もない、何もないから我が内と係わり続けてどうどうめぐり

● 暖めて慰めてくれて和らげて太陽ほどに有り難きものなし

● 命には奇跡あるなしヒアシンス アスファルトを破って花咲かす

● 誰か来てわが行く道を教えくれ いつまで叫ぶ死ぬまで叫ぶ

● 腹の立ついつも山なみどっかりとどうしてそんなに不動の心

● 竹を見て竹好き義父の逝く想うあの世とこの世の間が人生

● 自らの行く道追えず自らの睾丸ちぎり去勢した我

● 生と死と社会と我の坩堝の中で清く冷たい戦い挑め

● 身が立てば人に好かれようとも思わぬ毒ぜよ毒ぜよ毒で身を立てよ

● ニヒリズム我の本音ぞ気がつけばいい子ぶっておのれが消ゆ

● もったいない生きているんだ味わって嬉しいことも悲しいことも

● 高齢の義母が言うには亀のよう仰向け倒れ手足ばたばた

● 老病苦死つよき者こそまぼろしの一切の解放精神の自由

● 我の主人公はわれ、社会にまどわされず自分が主体

● 情熱を奮い立たせよ行く道の今だ知られず知りたきものに

● 我の身はわれに戻してわれ管理われ主体なら楽しきものなり

● 人生をここで捨ててはもったいない俺の人生おれのもの

● 弱きもの死にゆく過去を捨て去りし高ぶる魂燃やしてゆかん

● アレは星広大な空にアレは雲アレは太陽というが「何か」

● ババ殺せジジイも殺せ若者も我ひと知らん歩くぞをかし

● 異常なるみんなみんな異常なる人間の群れそれでも山は

● 人間は、どれだけ大きくなれるか、どれだけ強くなれるか

● 山嗤い、山は嗤い、山嗤い ひと滅びゆく様を見ながら

● 独りおり杖はいらぬと立つことの自立なくして自由はない

● 湖はすべてを飲み込み泥濁をなみなみ静かに騒がずおれり

● 独りおり何一つとて依存せず立てる力が生命の力

● 団体は弱き者たちの集まり だから強き嘘をつく

● 人世ではあらゆる価値づけ無になるもあるがまま生きる強さ持てよ

● 友はガン我は釣りをし遠方のラブホテルは白くリメイクし

● 二五年通いつめりし釣り場にて湖水見ながら昨日のごとし

● 早春の冷たき風に浮子揺られ口ずさみしは「愛の讃歌」

● 最近はどこの釣り場も鴨が増え何かが変わった鴨のみぞ知る

● 病院で生まれたと思えばここが世界ここで戯れここで楽しむ                         (友へ)
● 生き死にの止まり知らず流されて時の流転ぞ何故停止せぬ

● 悠然とテトラ見回るノラ猫はここが世界だ俺の世界だ

● 人生は心の底に住まう神に認めてもらうそれが出発

● 敗れても敗れてもなお生き続けまだへこたれぬぞ我が人生は