せっちゃんの毎日

せっちゃんの日々の記録

人生の宝物

2007-06-08 12:24:29 | 昔話
昨日 北海道から何時も楽しい事を発信してくれるブロガーさんが着物に付いてお尋ねだったのでお電話してみました。

初めてお電話したのにずーと昔からの知り合いのようで楽しい一時でした。


着物で思い出した訳ではありませんが、私の生活に無くてはならないものが着物です…
19歳の時の私はおてんばでとても着物に縁遠い生活をしていましたから母が「あんたにも着物を作って置かないとねぇ~」などと言っても耳を貸す訳もありません。

普段はと言うとジーパンにTシャツ安全帽といういでたちで顔も勿論すっぴんです…トラックを乗り回して「何時かスポーツタイプの車買ったる…」などと考えていました。

そんな折、母が病気で入院しました。手術の後の経過もあまりよくなくそのまま入院生活です。

ある日 私が見舞いに行くと「先生に許可とったから買い物に行こう」と言うのです。
余り顔色も良くないのに私の運転する車に乗って、この街では唯一あるデパートに行ったのです 連れて行かれたのが呉服売り場で「自分の着物でも欲しいのかな?」と思っていたら母が「ここにあるどんな高い着物でも買ってあげるから着てみなさい。」と言うのです。

座売りに色とりどりの振袖が並んでいました…ちょっと値札を見てびっくり!
(こんな高いもの私の為に買ってくれるなら車買ってくれたら良いのに…)と思いましたが流石に口にすることはできませんでした。
恐る恐る振袖に触ってみましたら売り子の人が「どんなお色や柄がお好きかしら…?」と聞きますから  その場には無い色で「濃い黒か紫。柄は、リヤカーに花を積んだのでないのがいいなぁ~」などと分かりもしないのに勝手なことをのたまったのですよ・・・(生意気な小娘め!)

そこへ若い社員の方が大量の着物を持って来て奥に積んでゆきました・・・んん?と思った私はそのまま奥にまっしぐらに進み大量の山の中からこの着物を引っ張りだしたのですよ・・・売り子の人は「お客様 そちらは非売品で結婚式場に納めるものでお値段も付いておりません。」と言われました。

私は母に「この着物なら着てもいいなぁ~」と買ってくれるはずがないと思い云って見たのです。母は、何やら偉い人を呼び、話をして決まったようでした。
帰りに「幾らしたの?」と聞いても「口にすると身体に悪いから言わない。」と教えてくれませんでした。

数日後 外泊願いを出して帰ってきた母が夜なべしながら仕立ててくれた着物にお金がないからと姉のお下がりの帯を結んで写真を撮らせてくれたのでした・・・

勿論 成人式に着てゆきましたよ・・・その他にも御呼ばれにも…自分の結婚式のお色直しにも…それだけでなく、長女の成人式にも次女の成人式御呼ばれにも・・・母が買ってくれた一枚の着物が何代にもわたって着られていることを天国で目を細めて見ていることでしょう・・・

呉服屋をしていたから言うのではないですが、こうして人生に措いて母に貰った宝物を自分の娘にも引き継げるものになるとは思っても見ませんでした・・・

きっと このように愛情を注げと教えてくれたのだと思います。