
今年の4月に出発予定だった韓国旅行ですが、北朝鮮の金正日総書記死去の後ということで取りやめ、10月出発に延期しました。しかし、今回も竹島問題で日韓の緊張が高まり、周りからは何も今の時期にという声も聞こえました。
世界遺産・昌徳宮が休日で残念でしたが、代わりに訪れた景福宮は我が国と朝鮮との歴史を振り返ることができ、有意義な旅となりました。
夜の明洞を一人で歩きましたが、東京の繁華街の夜を歩く感覚と変わりはありません。四日間の旅の中で日本人観光客として不快な体験はありませんでした。
10月は遠足シーズンのようで、ソウルの景福宮(キョボックン)、水原の華城(ファンソン)・韓国民族村(ハングミンソクチョン)は子どもたちで賑わっていました。景福宮では幼稚園の園児たちが通り過ぎる私たち夫婦に声を揃えて「コンニチワ」と正確な日本語で挨拶してくれたのには驚きました。先生の指示があったようでしたが、日本語を幼稚園で習っているのでしょう。
水原華城では小学校高学年のグループと出会いましたが、「アンニョンハセヨ」と声をかけると発音から日本人とわかるのか「I like Japan」と少女が答えてくれました。もっとも、通り過ぎる瞬間、「Japanese ドロボウ」と英語と日本語ちゃんぽんで言う男の子の声が聞こえました。大人が話す「ドロボウ」を覚えていたのでしょうか。
初めての韓国訪問であり、半年ほどのテレビのハングル講座の学習では韓国語もおぼつかず、竹島問題後のソウル事情が分からないこともあり、ソウル観光の2日間は日本語ガイド・ソンヨスンさんをお願いしました。ソウル観光は地下鉄利用を考えていましたが、私たち夫婦とヨスンさん3人ということもあり、移動は全てタクシー利用となりました。
10月7日(晴れ) 金浦空港






1.金浦空港バス乗り場⑥からリムジンバス6001番に乗車。バス停の係員から乗車券購入、スーツケース引き取り券も受け取る。車内のアナウンス(テープ)は日本語もありひと安心。40分で宿泊ホテルのイビスアンバサダー明洞前に到着。
2.午後2時にヨスンさんとホテルで待ち合わせ。旧京城三越と旧朝鮮銀行の建物の前を通り、旧京城駅(旧ソウル駅)に・・・昨年8月から文化駅ソウル284と名を変えて公開されるようになった。東京駅設計者辰野金吾の弟子塚本靖が設計、東京駅建設の11年後の大正14年に竣工、日本撤退後も2004年まで使用された。現在は文化サークルの展示場となっているが、構内は建設同時の面影が色濃く残る。各所の説明はハングルと英語のみ。




3.夕日が残る仁寺洞を散策、景福宮近くから南に緩やかな下りとなっており、王朝時代の両班(ヤンバン・貴族)の屋敷があったところ。没落した両班が自宅の骨董品を売り始めたのが仁寺洞の始まりという。伝統と近代が融合する街。横道の奥にある伝統茶店に入り、茶色のどろりとした暖かいナツメ茶と桃色の冷たい五味子茶(オミジャ茶)を味わう。


4.夜の明洞を歩く。南大門に接する明洞はソウル一番の繁華街。NHKハングル講座から消えた懐かしい2pmのユックンの等身大の写真に何度も出会う。ヨスンさん出入りの土産店で家内が買い物。夕食後、ヨスンさん案内で韓方エステへ向かう家内と別れ、一人明洞をぶらつく。

10月8日(晴れ) ホテル








1.広々とした光化門広場には秀吉軍を撃退した李舜臣将軍とハングルを制定した君主世宗の巨大な像が建つ。資料館が地下にあるが10時開館ということであきらめる。広場では農村の稲刈りの様子を紹介していた




2.景福宮は日本に翻弄された歴史を持つ朝鮮王朝の正宮である。1592年小西行長軍の侵攻で焼失、以後273年間廃墟まま放置され、1868年に興宣大院君が再建するが多大な建設費と皇后閔妃との対立から朝鮮王朝の滅亡につながる。朝鮮を植民地とした日本は光化門(クァンファムン)を移動し、多くの建物を壊し、ここに三階建ての巨大な石造りの朝鮮総督府を建設した。現在の景福宮の多くの宮殿はその後の再建。





3.景福宮散策の最後は乾清宮(コンチョングン)・・・ここは26代高宗とその妃・閔妃が暮らし、閔妃が暗殺された宮殿。閔妃の後ろ盾となっていた清国が日清戦争で敗れ、ロシアに援助を求めようとする動きを知った大院君側と日本が暗殺に関わったとされる。


4.大統領官邸・青瓦台(チョンワデ)は景福宮の背後にある。北朝鮮兵士が背後の北岳山(ブッカサン)から進入しようとして以来、付近の警備は厳重に。現在では青瓦台の写真撮影は許されているが、付近には制服、私服の警察関係者の姿が目に付く。

5.イチョウ並木美しい三清洞(サムチョンドン)は、昔ながらの韓屋(ハノッ)を改造したレストランやカフェ、ショップが集まる。ヨスンさんの話だとここ数年で急速に発展、地価も高騰しているとのこと。地元の客で混雑するヨスンさんも初めてという大衆的な食堂・三清洞スジェビ(すいとん)で昼食。


6.三清洞から細い階段の坂道をジグザクに登り、狭い路地に伝統な造りの韓屋が並ぶ北村韓屋(プッチョンハノッ)マウル(村)へ・・・西に景福宮、東に昌徳宮に挟まれた台地は貴族階級・両班の住まいがあったところ。ソウルの中心街を望み、この付近の絶景ポイントを選んで「北村八景(プッチョンパルギョン)」と称しているそうだ。カメラを持った若い女性の姿が目立つ。
光化門広場から歩き始めて、1万5千歩、5時間の散策となった。






7.車は世界遺産・昌徳宮の脇を通り、東大門市場(トンデムンシジャン)に・・・五間水橋(オカンスキョ)からかつての美しい姿を取り戻した清渓川(チョンゲチョン)を望む。高架道路を撤去し、暗渠のドブ川を元の姿に戻し、市民の憩いの場とした施策は反対を押し切って強行されたが、今では市民から高く評価されている。
広蔵市場(カンジャンシジャン)の屋台で昼食予定であったが三清洞で済ませたため予定を変更、五間水橋の角にある東大門履物卸売商街(トンデムンシンバルトメサンガ)へ・・・両側にぎっしりと靴屋が並ぶ狭いアーケードは圧巻。ヨスンさんが値引き交渉、2足購入。


8.渋滞する通りを南大門市場(ナンデムンシジャン)に、・・・ソウル最大の市場であったが、隣接する明洞に移転した店も多く、かつての勢いがないようだ。この地区も日本語の呼び込みも多いが、ヨンスさんによると、日本語が話せなければ商売にならないとのと。ホテルまで歩き、明日の水原旅行で困ったことがあったら電話連絡するようにと念を押すヨスンさんと別れる。ありがとうございました。

10月9日(晴れ) ホテル









1.今日からガイドなしの個人旅行。ホテルを7時15分に出発、朝早いこともありソウル駅まで10分で到着。窓口で「スオン トウジャン(水原 2枚)」で切符購入、「プラットフォーム?」と日本語で尋ねると、乗車券に赤で「5」、出発時間・ムグンファ号・スオンに印を付けてくれた。


2.ガラガラだったムグンファ号だが漢江(ハンガン)を渡り、次の永登浦(ヨンドウンポ)で満席となる。指定席に関係なく座る姿が見られた。途中から地上に出て並行する地下鉄は満員・・・列車利用で正解。30分で水原に到着。


3.地図を手に入れようと水原城観光案内所に行くが9時開業、タクシー乗り場に戻る。一般タクシーを待つ人が多く、隣の模範タクシー乗り場に。八達門(パウダルムン)を抜け、八達山の裾野にある行宮駐車場に・・・。頂に見える西将台(ソチャンデ)への道を駐車場にいた係員の若い女性に尋ねる。ネイティヴと変わらない英語に驚く。整備されている階段の山道を一気に143メートルの高さにある西将台まで登る。城内を見下ろせる指揮所であるだけに景色は抜群。
最高地点の西将台からは城壁沿いに周辺の景色を楽しみながら下る一方の楽な道、韓国最大の城門・長安門で入場料を払い、華城の白眉といわれる水原川を城内に取り入れる華紅門・訪花随柳亭、弓道広場のある蒼龍門、のろしの数で敵の状況を知らせる烽火台、八達門まで3時間のゆっくりとした5キロのウオーキング。途中、3組の日本人ツアー客と出会う。訪花随柳亭では私たちを含めて10数名の日本人が占拠。









4.八達門でタクシーに乗る。行き先を告げないうちに「カボジョンカルビ?」と運転手に尋ねられたのにはビックリ。昼時であり、カメラを持ち、ハットとメガネという典型的な日本人スタイルから分かったのだろう。20世紀初頭には全国3大牛市場のひとつである大規模な牛市場があったことから、水原はカルビが有名。ソウルから各国大使も来店するという超有名店・佳甫亭カルビへ。本館と別館(予約客専用)が道路を挟んで向き合っている。サービス料金の昼食カルビを食べる。

5.佳甫亭カルビから韓国民族村(ハングッミンソクチョン)へタクシーで30分,16,000ウオン。水原市はソウル中心街まで地下鉄で1時間、通勤圏内。高層住宅が目立つ。水田風景が見えてくると民族村が近い。
前日までに連絡すれば日本語ガイドも可能とのことだったが、日本語の案内板が完備しており、ガイドなしでもそれなりに楽しめる。20万坪の敷地に実際に使われていた家屋168棟を全国各地から移築して復元展示、韓国の生活文化に触れられる施設も多いとあるが、時間がなくほとんど見学できなかった。一日2回公演の能楽とチュルタギ(綱渡り)を見ることができたのは幸運だったが・・・
帰りは水原駅への無料バスに乗車。




10月10日(小雨) ホテル


帰路もリムジンバス6001番を利用。バスは一方通行の周遊で、中心部を回るので空港への帰路は30分以上余計にかかる。また、金浦空港は国内線乗客がほとんどで、国際線ターミナルで降りる乗客は少数,あわてて空港最初の停留所で降りる。