シニアー個人旅行のかわら版

国内・海外旅行の話題を中心に、アップデートな情報とともに、シニアーのための手作り旅行を発信する。

東北自動車道で行く一泊二日の旅・・・医王寺・多賀城・塩釜・松島

2009-03-29 05:52:04 | Weblog
 東北地方には芭蕉が旅した奥の細道ゆかりの名所旧跡が色濃く残る魅力的なスポットが数多くあります。高速道路料金が大きく下がった東北自動車道を利用した一泊旅行はいかがでしょうか・・・。
 東北自動車道は、比較的交通量が少なく、景色が美しい道路です。最も走りやすい高速道の一つで、観光地へのアクセスが良いというのも特色です。
 義経ゆかりの医王寺を訪れ、芭蕉一行が辿った道をほぼ忠実にドライブ、多賀城跡、塩竃神社と松島を訪れます。泊まりは塩釜、美味しい寿司を賞味します。

日 出発 0k 東京  東北高速道路へ
       265k  福島飯坂IC 国道3号で飯坂温泉方面へ 
     到着  5k  医王寺見学  
        10k  桑折(こおり)町 飯坂温泉を抜け県道124号で国道4号へ
       15k  馬牛沼 宮城県側、芭蕉も通った旧奥羽街道峠
        3k  白石
        10k  岩沼
        3k 県道20号へ右折、仙台空港へ向かう 
        2.5k 県道10号へ左折、仙台空港トンネルを抜け、塩釜方面へ
        20k 国道45号を横切り、仙石線多賀城駅へ
     到着  3k  東北歴史博物館見学
       1.5k 東北本線国府多賀城駅を過ぎ、多賀城跡見学
     到着  4k  往路を戻り、国道45号を塩釜方面へ。

日  出発  0k  ホテルから塩竃神社へ
     到着  1k  塩竃神社見学
     到着  1k  ホテルに戻りで朝食
     到着  10k 松島観光
     出発  2.5k 三陸自動車道松島海岸IC
     到着 392k  東京(仙台東部道路・南部道路・東北自動車道経由)


東京から医王寺まで
  関東平野を北へ進む東北道は景色の良い道路です。東京を抜けると、赤城山や榛名山が西に、東に筑波山が見えてきます。宇都宮を過ぎる頃から日光国立公園の山々、那須連山、白河を過ぎ、郡山に入ると、安達太良山・吾妻小富士がその特徴的な姿を間近に見せてくれます。
 宇都宮からは3車線から2車線の緩やかな登り坂となります。那須塩原を過ぎると、白河まではカーブが連続するキツイ下り坂、運転には注意が必要です。

飯坂温泉近くにある医王寺は、義経に奥州からずっと従った家臣、佐藤継信・忠信の父、佐藤庄司の菩提寺で、源頼朝に滅ぼされた一族の墓や石塔があります。芭蕉が「かたはらの古寺に一家の石碑を残す」と記したそのままの姿をとどめています。
芭蕉が訪れた当時にはあったという義経ゆかりの太刀は、太平洋戦争時に供出してしまい、弁慶ゆかりの笈だけが残るのみです。
笈も太刀も五月にかざれ帋幟」
 医王寺は、静かな村落の中にあり、周辺には蕎麦を食べさせる蕎麦屋が点在しているだけです。畑の一部が駐車場として開放されています。
医王寺https://www.iou-ji.or.jp

医王寺から岩沼まで
 芭蕉も入浴・宿泊した飯坂温泉に向かいます。川を渡って右折、狭い県道124号に・・・「馬かりて桑折の駅に出る」と芭蕉が通った道です。
桑折町には明治16年に建てられた旧伊達郡庁舎があります。一見の価値があります。
旧伊達郡役所https://www.town.koori.fukushima.jp/kankou/sightseeing/4/4782.html

国道4号(陸羽街道)を一路北上します。道は登りになり、国見町貝田(かいた)と白石市越河(こすごう)の間が福島県と宮城県の県境です。
やがて、左手に白鳥飛来地として知られる馬牛沼(まぎゅうぬま)があり、芭蕉も訪れた甲冑堂は直ぐの信号を右に下る旧街道沿いにあります。
幕末に奥州越列藩同盟の会議が行われたことで知られる白石からは、国道(陸羽街道)は白石川、阿武隈川沿いを岩沼に向かいます。
甲冑堂http://www.bashouan.com/pmKacchudou.htm

岩沼から多賀城跡まで
 岩沼から仙台まで芭蕉が歩いた道は、現在の国道4号線ですが、今ではすっかり市街地を通る幹線道路となっています。交通量も多いドライブを避け、仙台空港から太平洋の海岸沿いを走る県道10号線で直接塩釜に向かいます。
一車線の狭い道路ですが、南蔵王連山を遠望する、田園の中を走る快適なドライブを楽しめます。
 
空港トンネルから6キロほど走ると、閖上(ゆりあげ)大橋で、「名取川を渡て仙台に入」と芭蕉が記した名取川を渡ります。河口にある閖上漁港は、最高級品の赤貝の産地として知られています。
 10号は工業団地で左に折れますが、直進して道なりに行き、貨物引込み線の線路を渡ったところで左折、直進して45号線を横切り、仙石線多賀城駅を過ぎると東北歴史博物館は左側です。多賀城跡は更に北の、東北本線国府多賀城駅の北側にあります。
東北歴史博物館http://www.thm.pref.miyagi.jp/

 ここでの見どころは日本三大古碑の一つ、多賀城の由来を彫った多賀城碑です。壷碑(つぼのいしぶみ)として知られ、江戸時代に発掘されました。
芭蕉は碑を読んだときの感動を「泪も落るばかり也」と記しています。
壷の碑http://www003.upp.so-net.ne.jp/s-waichi/tagazyou.htm

塩釜神社を見学
芭蕉の「早朝、塩がまの明神に詣」にあやかって、朝食前に塩竃神社に参詣です。朝の塩釜神社は観光客の姿はなく、巫女が庭を掃き清めているだけ、また、「石の階九仞に重り、」と記された、202段の石段を登って朝の参詣に来られる地元の方を時折目にするだけ、神社の厳粛な佇まいを体験できます。

藤原秀衡の三男・忠衡寄進の宝燈をぜひご覧ください。芭蕉が見たのは寄進されてから500年後、それから更に300年以上の月日が経ちました。「五百年来の俤、今目の前にうかびて、そゞろに珍し」という芭蕉の感動を共有しましょう。
 車で行く場合は、神社の東側に隣接する小高い丘にある駐車場を利用します。
塩竃神社http://sinn.dip.jp/kesiki/miyagi/siogamazinnzya.htm

日本三景・松島へ
芭蕉は塩釜から船で松島の雄島に渡っていますが、塩釜から松島の国道45号をドライブします。海岸沿いの景色の良い道ですが、狭く、トンネルもあり、渋滞することが多い道路です。

松島の観光の中心地は、雄島と五大堂、そして国宝瑞巌寺の周辺です。
到着したら、まず、駐車場を確保、それから、ゆっくりと付近の散策や遊覧船での松島湾観光を楽しみます。
瑞巖寺http://www.zuiganji.or.jp/松島観光協会http://www.matsushima-kanko.com/

松島から東京へ
三陸自動車道が開通し、大変便利となりました。松島の山側の長老坂を県道144号で登れば松島海岸ICは直ぐです。
三陸自動車道、仙台東部道路、南部道路も高架道路で仙台の東部・南部の市街地の上を高架で走り、仙台南ICで東北自動車につながります。
東北道を一路東京へとドライブしますが、国見峠から福島盆地へ入る箇所は、長く続く急なカーブのある下りで、くれぐれも慎重な運転に心がけてください。

食べる:
 三陸海岸の豊富な魚介類、宮城産のおいしい米、浦霞をはじめとする銘酒、そして仙台という東北最大の消費地を控える塩釜は寿司店が多いところです。寿司業組合に所属する店舗だけで27店もあります。それぞれの店が、得意とするネタを、職人の技で提供してくれます。
 そんな中で、お勧めなのが亀喜寿司、職人が4,5人もいる大型店舗ですが、マグロは主人が一手に握っています。また、工夫を凝らした玉子焼きはぜひ食してください。
亀喜寿司http://www.kamekisushi.jp/塩釜寿司業組合http://www.matsushima-kanko.com/

泊まる:
 松島には観光旅館、ホテルが軒を並べますが、塩釜神社を訪れ、寿司を賞味するとなると、塩釜にあるビジネスホテルを利用したらいかがでしょうか・・・
 ホテルユニバース塩釜をよく利用しますが、清潔の室内、低廉な料金設定、機能的な食堂などビジネスマンや学生がよく利用しています。また、松島観光の利用者も多いようです。
 国道45号線の、塩釜港に向かって右側にあり、アクセスの良いのも助かります。
スマイルホテル塩釜http://www.smile-shiogama.com/









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東京から夜行日帰り花見プラン・・・錦帯橋と宮島へ

2009-03-20 04:51:17 | Weblog
更新しました。次のページをご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/masa4439er/e/2fe83aad07165b01b9fd24d30bfccca6



三月最初の土、日、月と二泊三日で斑尾高原に春スキーに出かけました。
今年最後のスキーです。冒頭の写真がその時のものです。
春とは言っても、北信濃は雪で覆われていました。

 さて、今年は暖冬・・・桜の開花が大幅に早まりそうです。
 花見は、私の歳時記の中で、外せない行事となっています。
 今年の春は、友人と石見銀山に出かけますが、桜の開花に合わせて出かけようと週間天気予報と睨めっこです・・・花見は開花からわずか一週間、晴天を選んで出かけられる個人旅行のメリットを生かせるのです。

 ところで、昨年の旅の中で、ぜひ一度は訪れたい究極の花見の候補地を見つけましたので、紹介しましょう。
◎ 川、湖、海の辺にある桜並木で、
◎ 背景に山があり、
◎ できたら城、橋、神社がある

・・・これが私が考える理想の花見のシチュエーションですが、それが錦帯橋のある岩国と世界遺産の宮島であることを見つけたのです。
 高速夜行バスを利用して、日帰りで、しかも両方の花見をゆっくりと楽しくことができるのです。

プランです

第一日  出発:19:30 東京駅八重洲口 高速バス「萩エクスプレス号」
第二日    6:29 岩国駅前
     到着 7:30 錦帯橋
         花見・・・錦川の川辺、城山を散策
       12:11 岩国駅
       12:36 宮島口駅
     到着 13:00 宮島
         花見・・・三時間の散策
       17:23 宮島口駅
       17:48 広島駅
       18:05 広島駅 のぞみ50号
     到着 22:13 東京駅

交通費です

総額32,630円
 ○萩エクスプレス号(高速バス)・・・・・・12,640円
 ○岩国駅―錦帯橋(往復路線バス)・・・・・・ 480円
 ○錦帯橋(通行料)・・・・・・・・・・・・・300円
 ○岩国駅―(宮島口途中下車)-東京駅・・・18,870円
 ○宮島口―宮島(渡船往復)・・・・・・・・・340円

お花見ポイントです
錦帯橋:
 天然鮎が遡上する清流・錦川沿いの桜並木、城山を背景とする武家屋敷、そしてもちろん、錦帯橋・・・非の打ち所がない花見の名所です。

 桜並木を十分堪能したら、ロープウェイで城山頂上の城址に・・・眼下に、錦帯橋、錦川、岩国市越に瀬戸内海を見ることができます。
私のブログ「吉香公園・城山を散策する・・・岩国・錦帯橋への旅」をお読みください。

宮島:
 世界遺産であり、日本三景の一つである宮島にも桜が多いのです。

瀬戸内海と朱の厳島神社大鳥居を背景とするソメイヨシノやシダレザクラ桜の美しさは多くの写真で紹介されています。
 桟橋から、厳島神社、多宝堂、五重塔などを観光と花見をかねてゆっくり歩いて3時間です。またロープウエイで登り、下山しながら自然を楽しむハイキングコースもあります。

桜の開花状況は・・・
 るるぶcom が参考になります。
http://www.rurubu.com/season/spring/sakura/detail.asp?SozaiNo=350001
http://www.rurubu.com/season/spring/sakura/detail.asp?SozaiNo=340001

昼食は岩国ずしを・・・
 農林省が選んだ日本の郷土料理100選には山口県の郷土料理として「ふぐ料理」とともに「岩国ずし」が選ばれています。錦帯橋近くにある元祖三原家がお勧め。
http://www.miharaya.jp/index.html
 
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アルハンブラ宮殿へ個人旅行で出かける方へ・・・

2009-03-14 10:02:22 | Weblog
 海外旅行を全て独力で・・という方針で海外ドライブ旅行にも挑んでいます。 インターネットを活用して、企画・予約・購入など何から何まで、自分の手で・・・自分の指でと言い換えたほうが適切でしょうか・・・キーボード上の操作で可能になった時代にめぐり合えた幸せに感謝しています

}アルハンブラ宮殿の現地ツアーに参加
 チケットの購入に、市内のホテルから、朝暗い内にあの長い樹木に覆われたアルハンブラへの坂道を登り、チケット売り場に並んだというブログを読んだことがありますが、決してこれは誇張ではありません。
私が訪れた4月7日は「セマナ・サンタ(聖週間)」の真っ只中、午前8時に並んだ人でも4時間待ちでようやく午後の最終見学時間のチケットが買えたという混雑振りで、諦めて立ち去る何組の日本人旅行客を目にしました。
 やっと手に入れたチケットを高々と掲げながら記念撮影をするスペイン人のグループやカップルもいました。

 以前でしたらアルハンブラ宮殿を管理する協会のホームページ上で簡単に予約ができましたが、協会がチケットの予約を大手の民間会社SeviCaixaに委託したため、日本国内からの予約が困難になってしまいました。
  そこで、日本語ガイドのツアーに参加するのが得策でしょう。アルハンブラ宮殿の入場料込みの料金で、チケット購入の手間が省けます。
 次のサイトをご覧ください。
http://www.alan1.net/jp/europe/spain/sg/2738/ag/14239/
   
}アルハンブラには食堂はありません
 観光客の中には飲み物と食べ物を持っている人を目にしましたが、アルハンブラの周辺では、ゴミ一つ無くきれいに整備されていたので、持ち込んだものは全て持ち帰っていたのでしょう。
 あの人気No.1のパラドール・グラナダのレストランで食事を取ることができますが、待ち時間は覚悟してください。勿論、宿泊者なら優先的に入ることができますが・・・
 アルハンブラ宮殿への取り付け道路を下れば、広場周辺に多くのレストラン・バールが在ります。


}車でアルハンブラに行かれる方へ
 くれぐれも市内からアルハンブラ宮殿へ行こうとしないこと・・・道路が複雑、しかも治安上の問題があります。地元ドライバーも避けているようです。
 グラナダを取り囲むように高速道路が走っています。その一つ、高速道E-902,A-44でグラナダの町の南端から入るのがベストです。Armillaアルミジャ近くのポスト132でA-395に降り、アルハンブラ方面の標識に従って進み、地図には示されていませんが、トンネルを抜けて、T字路に・・・ここを左折、大きな坂を道なりに上ると、アルハンブラ駐車場に・・・
(パラドール・グラナダのアクセスマップにリンクを張ってあります。参考にしてください)


フラメンコ・ショウを予約する
 グラナダに折角出かけるのです、ぜひフラメンコを見学されることを勧めます。
 市内には観光案内を営業している複数の旅行業者がありますが、インターネットでAlhambra.orgという社のホームページに出会いました。「Official Alhambra Guides (認定アルハンブラガイド協会)」とあり、スペイン語、フランス語、英語版も用意、ホームページの構成もしっかりした内容でしたので選びました。
○ ジプシー住居地区Sacromonteサクロモンテの洞窟でのフラメンコショウ
○ 家族単位のジプシーの踊り手
○ スペインを支配したのMoor(ムアー人)の結婚式の踊りに起源
○ サクロモンテ地区の散策・アルハンブラ宮殿の夜景
○ ホテルへの送迎付き
がうたい文句です。

 予約はホームページ、左上の英国国旗ユニオンジャックをクリック⇒英語版に替わります。{FLAMENCO SHOW}をクリック⇒フラメンコ・ツアーの説明に替わり、ページ下が予約用紙です。氏名・メールアドレス・電話番号(日本国内のものでOK)・滞在ホテル名・人数・通訳の希望言語(Others—その他)を選びJapaneseを記入・ツアー参加日時を入れて、「確認欄」にチェックを入れて、ページ右下の{Send}をクリック⇒受付完了と返信メールを送るという文字が出ます。しばらくしてメールで確認書が送られて、クレジットカード情報を送るように求めてきます。

 メールでカード情報を送ることに一抹の不安を感じて、個人情報管理システムについてメールで問い合わせましたが、それに対す回答はなく、代わりに振込先銀行の口座番号が送られてきました。しかし、日本の銀行から海外銀行の口座への振り込み手数料が4,000円掛かり、50€(二人分)を送るには高すぎます。カード会社にカード情報をメールで送る安全性を確認しましたところ、信頼できる会社なら大丈夫だとのことでした。
 カード情報を送って直ぐに、{Voucher}(保証書)がメールで送られてきて、集合場所のホテル名(パラドール駐車場前のホテル)と通訳の言語が英語であること、この確認書をプリントアウトして、当日、係りに手渡すようにとの内容でした。

 さて、当日はどうだったでしょうか・・・なんと、15人のイタリア人観光客のグループの中に入れられ、イタリア語を聞く羽目になりました。
 契約内容に偽りありと憤慨しましたが、送迎バスの中で歌を歌う陽気なイタリア観光客・・・気の毒がって、ガイドの説明を一生懸命英語で通訳してくれた高校生ぐらいの少女・・・今ではイタリア人の仲間に入れてもらったことは楽しい旅の思い出となり、感謝しています。

 こんな体験はしたくないという方には、日本語ツアーに参加するのが良いでしょう。

スペイン旅行について記した私のブログをお読みください。
航空券購入とホテル予約
バルセロナ8日間のプラニング
今、スペインにも不況の嵐が・・・
これでパラドールの全てが分かります
誰でも楽しめるスペインドライブ
日本の旅館とパラドールを較べる
とっておきのスペインドライブルート
マドリッド周辺の世界遺産を訪ねる1000Kドライブ
アラブ人最期の地アルプハラ
シェラ・ネバダの村々を訪ねる
山岳道路、鉄道、そして白い村々
支倉常長とアンダルシア


 
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明治31年発行の四万温泉案内木版画を読み解く

2009-03-06 04:13:11 | Weblog
宿泊した四万温泉積善館の廊下には明治時代の木版画が展示されており、明治時代の四万温泉の様子を知ることができます。その一つ、明治31年発行の「四万温泉乃眞景」には興味を惹かれました。なお、冒頭の写真は積善館様からご提供いただきました。

明治版の温泉案内パンフレットでした
この木版図の図案から推測すると、原版にはまず、外枠として「大日本鐡道線路略図」として国内の鉄道網を、上部に「諸国温泉一覧」として全国93箇所の温泉名を彫り、それから、別版で、温泉地ごとの様子を「眞景」として描き、重ねて印刷したのでしょう。

 因みに上州(群馬県)では「草津乃湯、伊香保乃湯、四万乃湯、川原乃湯、沢渡乃湯、花屋敷乃湯、老神乃湯、慶徳乃湯」の八湯が一覧に載っています。恐らく、各温泉地にもこの「眞景」が残っているかもしれません。
四萬温泉入浴者道案内」として「高サキ―馬車鉄道五リ―渋川―馬車道四里半余―中ノ条―四リヨ―四万温泉」と紹介され、高崎駅まで鉄道で、そこから馬車鉄道で渋川へ、さらに馬車道を中之条へ、そこからは徒歩・かご・人力車などで四万温泉までくるアクセスが記載されています。
 注:札幌・北海道開拓の村・馬車鉄道の写真です。


もう一つ、展示されている明治14年の「湯元関善平蔵元」の板図では積善館の当時の様子が描かれ、かごや人力車で積善館の門前に乗りつける湯治客の姿も描かれています。これは積善館の主人が発行したもので、湯治客にお土産として販売されていたのでしょう。
 江戸時代、江戸見物にやってきた人々には、江戸名所浮世絵と出身地の藩の上屋敷・下屋敷の浮世絵がお土産として人気があったそうですから、明治時代の温泉湯治客も訪れた温泉地の絵図が湯治記念として買い求めていたかもしれません。

「大日本鐡道線路略図」は正確、無比の出来栄えです
カタカナ交じりの小さな文字で、四隅にびっしりと書かれていますが、実に、正確に、明治31年当時の日本全国の駅を、網羅しているのは驚きです。発展途上にある当時の鉄道建設の様子をいろいろと知ることができます。

東京駅はまだできていませんでした。
上野駅は「東京・上野」として載っていますが、東京駅はありません。東京駅が開業したのはずっと遅れて大正8年です。東京市内は徒歩での移動が一般的で、船、馬車、人力車などの利用もあり、鉄道施設が遅れたのかもしれません。
現在の中央線は大正8年、山手線が大正14年に開通しました。

飯田橋駅が始発駅として載っています
国木田独歩は、明治28年に当時三崎町にあった飯田橋駅から国分寺駅まで出かけましたが、「武蔵野」にその記述があります。

上野・青森間はすべての駅名をのせています 
 東北本線の路線の敷設は、明治24年に完成しています。帝政ロシアとの対決を不可避と見た明治政府が北海道防衛のため建設を急ぎました。

秋田県、山形県には駅がひとつもありません
 斎藤茂吉明治29年14歳で故郷上ノ山から上京した時の様子を書いていますが、父親に連れられて提灯を手に、午前1時に出発、山形、天童と北上、関の山峠を越えて秋保温泉に一泊、仙台市内でもう一泊して上野駅に向かいました。

山陽線は宮島駅までしかのっていません 
 宮島駅が開業したのは明治30年下関駅まで開通したのは明治34年です。東北本線より10年も遅れていますが、瀬戸内海の水運が盛んであったことや、人家が密集している町が多く、鉄道建設が困難であったことが原因でしょう。
 因みに、尾道駅明治24年完成ですが、その当時の様子を「山陽鉄道敷設を巡り 町は二分、市内貫通の是非を問う。投石頻発、白壁は泥に塗れ、ついに警官隊出動。この時の立退き、民家四〇六四坪、寺院一五〇坪、神社六四坪」と玉浦絵巻に紹介されています。尾道駅は人家三軒しかなかった町のはずれに作られました。

まだまだ、この「大日本鐡道線路略図」からは学ぶことができます。興味がおありの方は、ぜひ、四万温泉積善館にお出かけください。

次のブログをお読みください。
積善館、二泊三日の湯治体験でした
湯治旅館の面影を残す鎌先温泉に泊まる
 
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