シニアー個人旅行のかわら版

国内・海外旅行の話題を中心に、アップデートな情報とともに、シニアーのための手作り旅行を発信する。

リュベロンの村々を訪ね、山岳道路を走る・・・南フランス・ドライブ旅行(6)

2011-05-21 09:44:43 | Weblog
南フランス・ドライブ旅行(5)



フランスで最も美しいといわれ、プラムの白い花が咲き、オリーブが茂り、ラベンダーが薫る美しい村が点在するリュベロン地方をドライブします。蜂蜜色の城壁が連なる“天空の城”ゴルドGordes・・・朱色の岩肌とその上に密集する家々が幻想的な景観を呈するルシヨンRoussillon・・・ミュールMurs越えの山岳ドライブ・・・ここも、フランス政府観光局の案内書には「公共交通機関はない」と書かれています。
 リュベロン山脈とヴォクリューズ山地の山間の村々を訪れるドライブとなります。ドライブに出かける前にぜひ読んでほしいのが、英国作家ピーター・メイルの「プロバンスの12ヶ月 A year in Provence」です。プロバンスに住む人々の生活と風物がイギリス人のユーモアで愛情深く包んでいる名作で、もちろんメイル氏が住んでいたMenerbesメネルブ村も訪れます。

ではミッシュランのサイトを開きます。出発地はカルパントラCarpentras、到着地はリュベロンの中心の町Aptアプトです。
 国道900号南北に点在する村々をを訪ね歩く今回のドライブは、ミッシュランの文字情報の行程表よりも、サイトの地図を見ながら確認したほうが分かりやすいでしょう。
(「2011フランス道路地図を読み解く」を参照に・・・)


緑旗 カルパントラCarpentras 
  カルパントラを出て、D31を南へ
  リル・シュル・ラ・ソルグL'lsle-sur-la-Sorgue通過
  D900を東にアプトAptへ向かう
  ボメットBeaumettes付近で南へ・・・メネルブMenerbes
  D900に戻り北へ・・・ゴルドGordes・ボリー村 Bories
  山道を北へ2キロ・・・セナンク修道院Abbaye de Senanque
  ゴルドへ戻り、東へ・・・ルシヨンRoussillon
  D900を東へ・・・アプトApt
  D900を戻り、山岳道路D4を北西へ・・・ミュールMurs
10  峠から山岳道路D23に・・・ヴナスクVenasuque・サン・デイデイエSt.Didierへ
赤旗  カルパントラCarpentras 

今回の周遊ドライブは100キロ足らずですが、見所(赤字)がたくさんあり、それぞれの村でゆっくり過ごすことにします。そのために、ルート途中にあるリル・シュル・ラ・ソルグとヴァオルキューズの泉は日を改めて訪ねることにします。(フランスとマルシェ

 小さい村々を訪れるこのルートは、訪れる町や村の名前を覚え、道路に表示される標識を頼りにドライブするのがコツです。また、南側のリュベロン山脈、北側のヴォクリューズ山地に点在する村を渡り歩くルートを取りますから、谷間を走る幹線道路D900の位置を常に意識してドライブしましょう。


メネルブ
細長い岩山の上に建てられた村。リュベロンの山並みと周りの谷の風景は素晴らしい。見所は13世紀に建てられ宗教戦争の戦場となった城塞、長い歴史を感じさせてくれる村の教会、瀟洒な邸宅が建ち並ぶ観光地されていない町並み、すこし離れるが、300年に亘る栓抜きのコレクションを集めた栓抜き博物館Musee du Tire-Bouchonは珍しい。地元ワインの購入もできる。
http://www.provenceweb.fr/f/vaucluse/menerbes/menerbes.htm

ゴルドGordes



城壁が山頂にある急峻な斜面に階段状に家々が建てられ、政治家、文化人の別荘も多く、オリーブ、アーモンドの木々に囲まれた美しい村。城を取り巻くように小さな広場があり、レストランやみやげ物店がある。また、市(いち)marcheはこの広場で開かれる。ここからの景観は素晴らしく、南側に連なるリュベロン山脈を一望できる。カーブの多い登り坂の道路を山頂まで走る。途中、展望台があるが、駐車できるスペースは少ない。村に入る直前のカーブに駐車場が設けられている。http://www.provenceweb.fr/f/vaucluse/gordes/gordes.htm#


ボリーの村Village des Bories 

   
ゴルドGordesに入る直前にある。道路わきの大きな駐車場から村に至る未舗装の歩道を10分ほど歩く。車も村の入り口まで入ることができるが、歩行者に注意。村は公園として管理されている。中世のからこの地域に建てられた平たい石を円錐形に積み重ねただけの作りは、石器時代から続いてきた建築法。150年ほど前に住民が放棄して、現代に伝わる貴重な村。台所やパン焼きかまどを備えた住宅、穀倉、酒の貯蔵庫、蚕の養育室、豚小屋、育羊地が残されている。
    テクノ・サイエンスがその建築法を紹介。www.techno-science.net/?onglet=glossaire&definition=6875
 ルション Roussillon
黄色顔料の原料となるオーク採掘で栄えた村。家々がオークで作られ、黄色や鮮やかな赤色で村全体が絵の具で描かれたよう。村の中心にはカフェテラスが立ち並ぶ。インフォメーションに駐車場がある。小さな村なので一軒一軒色合いが異なる家々を歩いて見学したい。採掘場跡地に遊歩道があるが、服装が汚れる覚悟を!http://www.provenceweb.fr/f/vaucluse/roussill/roussill.htm

セナンク修道院Abbaye de Senanque

ゴルドからD177を2キロ走る。1148年創建、17世紀末に活動停止。1989年から活動を再開。祈りと労働だけという中世からの修道生活が行われている。ロマネスク様式の創建当時の姿を今に伝える。禁欲を旨とするシトー派会の装飾を一切排した簡素な美しさが見所。一部の内部を公開している。
http://www.senanque.fr/

アプトApt

フランス人好物の果物の砂糖漬けのお菓子「フリュイ・コンフィ」の産地。甘すぎて日本人の口には合わない。リュベロン自然公園の中心にある市場町。大聖堂へ通じる路地にアプト焼きの陶器を販売するみやげ物店が軒を連ねる。土曜日に行われる朝市はプロバンスでも有数の規模を誇るhttp://www.provenceweb.fr/f/vaucluse/apt/apt.htm

帰路は山岳ドライブを!
 

アプトから2キロほど戻り、D201へ右折、2キロ先のラウンドアバウト2番目の出口からD4に入れば、カルパントラまで一直線です。ヴォクリューズ山地越えで、カルパントラへ戻ります。このコースはサイクリストやドライバーにとっては垂涎のコース、峠の小さな村ミュールMursまではリュベロンの眺望を楽しみながらのドライブ、ミュールからは緑豊かな森林の急坂のヘアーピンカーブが連続するスリリングなドライブとなります。坂を降りきるとヴァントー山を望む美しい二つの村、ヴナスクVenasque、続いてサン・デイデイエSt. Didierがあります。カルパントラまでは30分足らずで到着です。休日は山岳ドライブを楽しむ車が多くなります。後ろにピッタリとつかれ、フランス人ドライバーの悪癖、ホーンを鳴らされても、パニックにならず道を譲りましょう。
サイクリスト優先のフランスドライブ慣習を忘れないことも大切、サイクリストの合図があってから追い抜きます。また、坂の途中で車を発進させることがあります。レンタカーはマニュアル車が多いですから、坂道発進のテクニックが必要、久しぶりの坂上発進の感覚を取り戻しておいてください。


ヴァナスク
 http://www.tourisme-venasque.com/Histoirevenasque.html
サン・デイデイエ http://www.mairie-saint-didier.com/1.cfm?p=1-mairie-saint-didier-vaucluse-84210-provence

フランスとマルシェ



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十字軍ゆかりの城塞都市と美しい漁村・・・南フランス・ドライブ旅行(5)

2011-05-18 09:58:33 | Weblog
 (南フランス・ドライブ旅行(4)

ドライブでなければ決して行くことができない二つのコースを紹介します。
AvignonアヴィニヨンやArlesアルルからわずか40~50キロしか離れていない町や村を訪れるルートですが、フランス政府観光局の案内書には「公共交通機関はない」と書かれています。ツアー旅行はもちろんのこと、個人旅行者も行きにくい地で、訪れた日本人はそんなに多くはないでしょう。両コースとも、雨天では魅力が半減します。滞在型の旅行スタイルのメリットを生かし、晴れた日に出かけましょう。出発地はプロヴァンスのどの町や村でもよいのですが、本ブログではカルパントラCarpentras近郊からの出発する行程を考えます。
 冒頭の写真はサント・マリー・ド・ラ・メールの地中海です。



 ローヌ川の河口のデルタ地帯には大湿原カマルグCamargueが広がります。ここに二つの魅力的な町と村が存在します。中世の城塞都市として知られるエーグ・モルト Aigue- Mortesと美しい漁村サント・マリー・ド・ラ・メールSaintes-Maries-de-la-Merです。

 カルパントラからアヴィニヨン、アルルと南下して、アルルでローヌ川の西に渡り、再び南下して河口に広がる大湿原カマルグに入ります。どこか日本の田園地帯を思わせる稲作地帯をドライブする楽しさがあります。ところどころに農産物の販売所があり、Riz(米)の看板が目立ちます。平坦な直線道路で快適なドライブですが、単調であること、濃霧が発生しやすいことに注意します。出発地のカルパントラから100キロ、2時間のドライブです。
  
 サント・マリー・ド・ラ・メールに向かってドライブしますが、12キロ手前で西へ、19キロ先にあるエーグ・モルトに立ち寄ります。
 
ミッシュランのサイトを開きます。(操作方法は「フランス道路地図を読み解く」を参考にしてください)。出発地Carpentras,到着地Saintes Maria de la Merを入力、検索を押します。次のページで注意します。Saintes Maria de la Merに似た名前は、フランスの各地にあります。その候補地が示されますので、Bouches du Rhone県のSaintes Maria de la Mer、この場合は先頭の1を選んでクリック、カマルグのSaintes Maria de la Merへのルートが表示されます。

緑旗  出発地点はカルパントラ中心街 
  カルパントラを出ます
  ラウンドアバウトで二番目の道路D942を進む
  D225に入る
  D570Nに入る
  アヴィニヨンを通過
  N570に入る
  Rognonasロニョーナ通過、Arlesアルル通過
  高速道N113・E80 でローヌ川を西に渡り(3.5k)、SORTIE 4でSaintes-Maries-de-la-Merサント・マリー・ド・ラ・メール方面へ降りる
  ラウンドアバウト4番目出口をD570で一路サント・マリー・ド・ラ・メールへ。
10 35キロ走行、サント・マリー・ド・ラ・メールに
赤旗  到着です。

 MICHELIN Provence Camargue 113 ZOOM(紀伊国屋書店新宿本店 TEL03-3354-0131 FAX03-3354-0275)で確認します。D570に入って25キロ進むと、右にAigue- Mortesの標識があるD38/D58があります。ここを右折、19キロ走行すればAigue- Mortesエーグ・モルトに入ります。城塞は町の南です。エーグモルトを見学し、そこからサント・マリー・ド・ラ・メールへと往路を戻ります。


エーグ・モルト Aigue- Mortes

 
 12世紀に建てられた中世の城塞都市エーグ・モルト Aigue- Mortesは1248年に第7次十字軍として、この港から1500隻の艦船と35,000の兵員が出帆しています。しかし海岸線の後退で港としての機能を失ない、砂地の中に取り残され、それが幸いし、昔のままの姿を現代に伝えています。
 城塞は中世のそのままの姿を留めています。城塞の中に町があり、現在も多くの人が住んでいます。町を囲む城壁は40分くらいで一周でき、町の家々を見下ろしながら、人々の生活を垣間見ることができます。




 エッグ・モルトの城壁には三つの見所があります。北西の角の搭は昔の牢獄で、宗教戦争の際、ここに新教徒が幽閉されましたが、女性マリー・デユランは解放されるまで実に38年間ここに幽閉され、彼女が彫ったと伝えられる「Register抵抗せよ」という文字が今でも残っています。
 
塩Sel」に因んだ二つの場所をぜひ訪れてください。北面中央の塔は、宗教戦争の時に、兵士達の死体を放り込み、大量の塩で保存したところです。また、南の城壁から地中海方面を眺めると、盛り上げられた塩の山が望めます。この塩田で作られた塩は、「フランスの天日塩」として日本でも販売されています。

サント・マリー・ド・ラ・メールSaintes-Maries-de-la-Mer

 カマルグの湿地帯の先端にあり地中海に面する美しい漁村であり、同時に観光の中心地。聖母の妹マリアに由来する伝承の地で、巡礼の祭りの際にはたいへんな賑わいとなります。

 ここの教会はこの小さな町の中心にあり、まるで城のような造りとなっています。中世は海賊等が横行した時代で、ここに村人が避難する城としての役目を兼ねていました。窓のない厚い壁で覆われた教会内は、聖母マリーを祀る蝋燭の火が、わずかな明かりとなっており、厳粛な雰囲気を醸し出しています。細い階段を上がると、教会上部に上がることができ、ここから地中海と村を一望できます。

 
 メーンストリートの海岸側にインフォメーション・センターがあり、町やカマルグに関するパンフレットが置かれています。この前からは遊園地で見かけるような観光用の路面電車(バス?)が出ています。メインストリート沿いにはレストランが数多くあり、ムール貝とブイヤベースのスープなどの海鮮料理は日本人の口に合います。



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安全なフランス・ドライブのために・・・南フランス・ドライブ旅行(4)

2011-05-15 06:59:31 | Weblog
フランス(南フランス・ドライブ旅行(3)

今回はフランスでのドライブ事情を紹介します。フランスに観光ドライブに出かける外国人の数はイギリス人が圧倒的に多いでしょう。そのため、イギリスにはフランス旅行関係のサイトが数多くあります。
 では、イギリスのサイトを参考にして、フランス・ドライブで気をつけたいことをお話しましょう。
 
 あるイギリスのサイトでは、次の言葉で始まっています
The rumours you heard about driving in France are all true!(あなたがフランスでのドライブに関して耳にしている噂は、すべて真実です)」

 ではどんなうわさを耳にしているのでしょうか。
フランス人は制限速度を守らない
フランス人は道路をラリーに使っている
フランス人は車間距離を守らない
フランス人はやたらにホーンを鳴らす
 

 映画「プロヴァンスの12ヶ月」を見られた方は、老婦人が猛烈なスピードで田舎道を飛ばすシーンを覚えておられるでしょう。あのシーンは決して映画だけのことではありません。中央線の引かれていないそんなに広くない田舎道で100キロ近いスピードの対向車とすれ違う恐怖をなんども経験しました。右に寄せすぎて側溝に脱輪しないように、運転席から自分の車のボンネットのどの位置の延長線に右側の側溝の位置があるか絶えず意識して走りました。
 

 ルベロンドライブの帰り、ミュールMur越えでカルパントラに戻るとき、カーブというカーブはタイヤのブレーキ痕で真っ黒・・・前日の日曜日、滞在するSt. Didier(サン・デイデイエ村)の小学生が猛スピードで村を通り抜ける何台もの車に声援を送っていましたので、その時のラリーまがいの運転をしていた車が付けた痕跡でした。決して土日や休日には山道を走らないことです。



 フランスの農村地帯のブドウ畑やひまわり畑、牧場の間を走る道路は、快適です。周りの景色を楽しみながら制限速度で走っていると、いつの間にか後ろにビッタと車を付けられてしまいます。また、ラウンドアバウトでモタモタしようものなら、すぐホーンを鳴らされてしまします。まさしく“The rumours you heard about driving in France are all true!”なのです。
  

 もうひとつ注意したいことは、フランスの”priorité a droite゛というルールです。‘右側に優先権あり’というこのルールは、都市の信号機のない十字路では右側から入る車に優先権があるということですが、見通しのよい田舎の道などを走行しているとき、右側の細い道から突然、この優先権を主張して飛び出す車があり、これが多くの事故の原因となっています。前方に右側から近づいてくる車を見ましたら、スピードを緩め、いかなる場合にも対応できるようにすることが大切です。
 

 しかし、感心したこともあります。フランスではサイクリングを楽しむ人が大変多く、ドライブをしているとカラフルな服装で走るサイクリストによく出会いますが、どの車のドライバーも彼らには敬意を払います。山道でゆっくり登るサイクリストがいれば、かれらの合図がなければ、決して追い抜こうとしません。これは、第二次世界大戦でフランスが占領された時、サイクリストが国内中からドイツ軍の情報を集めていたという歴史があるからでしょうか・・・。

 最後にイギリスのサイトのアドバイスを記しておきます
速度制限を守る
地方道を運転するときは、十分ドライブに注意する
判断に迷ったら、スピードを落とすか、停める
ホーンを鳴らされても決してパニックに陥らない
ドライブ前には地図でルートを確認しておく



なお、日本にはないために、通行にまごつくラウンドアバウトの通行方法を、イギリスのWIKIPEDIAにリンクを貼っておきますので、ご覧下さい。ページが開いたら、ラウンドアバウトを通過する車の様子をカラー動画で表示しています。上の動画がフランスなどの右側通行の場合、下がイギリスなどの左側通行の場合です。文字標識の例:

・ Aire – サービスエリア ・Aire de Repos – 休息エリア(トイレ) ・Bouchon – 渋滞・ Cèdez le passage -道を譲れ ・Centre ville – 市内 ・L'essence – ガソリン・  Gazole –軽油 ・Gendarmerie –警察 ・Route barrèe – 通行止め・ Toute Droit – 直進 ・Travaux –工事中・ Vous n’avez pas la priorité – 優先権なし(ラウンドアバウトでー他車に優先権あり)

南フランス・ドライブ旅行(5)
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2011フランス道路地図を読み解く・・・南フランス・ドライブ旅行(3)

2011-05-14 05:56:04 | Weblog
南フランス・ドライブ旅行(2)


Lyonリオンからファーブル昆虫記の作者Jean Henri Fabreジャン・アンリ・ファーブルが教師をしていたことで知られるCarpentrasカルパントラまでのドライブを取り上げて、地図を見てみましょう。
 冒頭の写真はカルパントラ近くのサン・デイデイエ村St.Didierからヴァントー山Mt. Ventoux(1909m)を撮ったものです。


Lyonリヨンのフランス高速鉄道TGVのLa Part Dieuパル・デユー駅からレンタカーを借り出し、市内を抜けて、高速道A7でCarpentrasCarpentrasカルパントラまでの行程を取り上げて,道路地図の読み方・活用の仕方について紹介します。

 ミッシュラン社のネット道路地図http://www.viamichelin.frを開きます。右上隅のフランス国旗{Francais}をクリック、一番下の{international English}を選んで、英語版に替えます。

A.ページ左上の{Calculate your route}(行程を調べる)を利用します。

1.Departure(出発地){Town, City, Postcode...}に{Lyon Part Dieu}を打ち込み、{Europe}を{France}に
2.Destination(目的地){Town, City, Postcode...}に{Carpentras}を打ち込み、{Europe}を{France}に
3.{Search}(検索)をクリック
 費用(有料道路+ガソリン)・所要時間・走行距離、ルートを紫で表示した地図、そして出発地から目的地までのからの行程を示した画面が中央縦に並びます。道路名や地名が縦にずらりと並ぶ行程表は一見複雑そうですが、慣れれば便利に使えます。

 行程は{Leave Lyon01...4k}(市内を出る)としか表示されておらず、の高速A7まで市内を4キロ走ることしか分かりません。これは市内の行程は文字情報より地図上の紫色のルートを確認したほうが見やすいからです。そこで、地図をクリックして拡大し、Lyon 市内が画面の中央にくるように地図を調整しながら、を押してで示される列車のアイコンで表示されるPart Dieu駅が現れるまでズームインし、駅から高速A7までのルートを確認します。

 リヨン市内の交通事情です。
レンタカー各社はSNCFフランス国鉄駅la Part Dieuの東側(地図では駅の右側)の線路沿いにあります。
  Part Dieuパル・デユー駅から西に進み、ローヌ川(la Rhone)を渡り、左折、ルーヌ川右岸を南下するのが基本ですが、道路、橋とも一方通行が多く、地図は安全で最短のルートが表示されています。 
{Rue…}「・・・通り」、{Pont…}「・・・橋」、{Quai…}「・・・河岸通り」です。
  ローヌ川の西が旧市街、パル・デユ―駅のある東が新市街です。
  事故多発地帯にはSpeed cameraが設置されていますが、ほとんどの車が100キロ近いスピードで走っています。フランスの制限速度は街中では時速50キロ、主要道90キロ、上下線分離道路110キロ、高速道130キロです。

 高速道路に入るにはまず料金所を通る・・・というのがわが国の方式ですが、フランスでは一般道がそのまま高速道に替わり、しばらく走った先に料金所があるということが多く、A7では39キロ先になります。高速通行券を受け取り、あとはMarseilleマルセイユ方面へ進むだけです。出発してから200キロ、2時間ほど走ったところが{Exit 22}(出口22)Orange-sudオランジュ南です。なお、Exit 22は{Sortie 22}とフランス語で表示されています。料金は16.10EUR、支払いは、受け付けないカードもあるので、現金が無難です。
 A7を降りるとすぐ、パール・デユ―を出発して初めて体験するroundaboutラウンドアバウト交差点、フランス語rond-pointロン・ポワ-があります。二番目の出口をカルパントラ方面に県道D907を2キロ進みます。
次のラウンドアバウトの二番出口から県道D950へ、晴れていればヴァントー山が進行方向に見えます。16キロでCarpentrasカルパントラです。



. ページ中央の{Display your map}(地図を表示する)を利用します。


リオンからカルパントラまでを、ミッシュランのルートプランニングに従うとは限りません。大型車の通行が少なく、渋滞が起きることがない、しかも快適で、静かなドライブルートを楽しむ方も多いのです。そんなルートを紹介しましょう。
 このルートはOrangeオランジュまで行かずに、A7の{Sortie19}のBolleneボジェーンで降り、そこから県道D8.D7Carpentrasカルパントラへ向かうルートです。


 
 このルートは宿泊した民宿に推奨され、リオンからの往復で利用しました。途中、地図で確認しながらでしたが快適なフランスの田舎道ドライブでした。

 BolleneボジェーンRochegudeロシュクグドSte.Cecile(Sainte-Cecile-les-Vignes)セント・セシルCairanneセラーヌGigondasジゴンダスVacqueyrasバケラスCarpentrasカルパントラに至ります。

 ミッシュラン社のネット道路地図で検証しましょう。

1. ミッシュラン社のネット道路地図http://www.viamichelin.frを開きます。
2.右上隅のフランス国旗{Francais}をクリック、一番下の{international English}で英語版に
3.中央の{Display your map}{Adress}欄{Town, City, Postcode...}に{Bollene}と打ち込み
4.{Europe}を{France}にして{Search}をクリック

 Bolleneボジェーン付近の地図を開きます。この地図を動かしながら、東南にRochegudeSte.Cecile (Sainte-Cecile-les-Vignes)Cairanne と進み、Cairanneから南下し、さらに二つの町を通って、GigondasVacqueyrasCarpentrasに至ることが分かります。

 地元の人がよく使うルートをあらかじめ知っておくと、快適なドライブを楽しめます。


.現地ではプロバンスの道路地図が必要です

 手元に置きたいのが、ミッシュランの道路地図―MICHELIN Provence Camargue 113 ZOOMです。正確で、信頼でき、見やすく、フランスドライブでは必携の地図です。(紀伊国屋書店新宿本店の地図売り場(TEL03-3354-0131 FAX03-3354-0275)
この道路地図の優れている点は、カラー表示で都市か農村か山岳地帯なのか分かりますし、濃淡で高度差も読み取ることができます。湿地帯Camargueカマルグの表示も、よく描けています。また、ドライブに必要な道路のカーブの情報も正確に読み取ることができ、ビューポイントも示されていますから、景観を楽しむドライブルートプラニングにも便利です。
AvignonアビニオンArlesアルルの都市地図も付いています。小さなものですが、ドライブ旅行に不可欠なインフォメーションセンターとパーキングの位置も示されるなど、細部に亘って手を抜いていないことに感心します。

フランスに到着してから購入してもよいでしょう。どんな短いドライブでも出発前にこの地図を開いてルートを眺めておき、頭に入れておきます。それが安全なフランスドライブにつながります。この優れた地図を友人へのお土産としても喜ばれるでしょう。


南フランス・ドライブ旅行(4)


 
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プロヴァンス観光のプラニング・・・南フランス・ドライブ旅行(2)

2011-05-11 09:19:45 | Weblog
南フランス・ドライブ旅行(1)

プロバンス滞在型のドライブ旅行では、どこに滞在するかどこからドライブを開始するかどこを訪れるかを決めなければなりません。
 では、私のプラニングを紹介いたします。写真は滞在したカルパントラCarpentras近郊のブドウ畑です。


滞在地はカルパントラCarpentras近郊に
 一週間のプロヴァンス滞在の拠点として、カルパントラ周辺を考えました。プロバンス地方観光の足場として、どの観光地にも一時間半のドライブで行けること、シャトーヌフ・デユ・パッフ゜Chateauneuf-du-Papeに代表されるコート・デユ・ローヌ・ワインのブドウ畑が周辺に広がる田園地帯にあり、人口が少ない村々が点在し、標高1,909mのヴァントー山Mont Ventouxが北東にそびえているロケーションは、山がドライブの道標となります。
カルパントラ周辺、南にある町ペルネ・レ・フォンテーヌPernes-les-Fontaines周辺のホテルやコッテージをインターネットで調べ、ペルネの隣村、人口500人ほどの小さな村サン・デイデイエSt. Didierのコッテージを借りることにしました。

出発はリオン市内 パル・デユ―(Part Dieu)駅
 エールフランスでシャルル・ドゴール空港に到着、当初は国内線に乗り換えてリオン近郊のサン・テグジュペリ空港からレンタカーで出発することを考えましたが、エールフランスの航空券で高速鉄道TGVが利用できることを知り、風景を楽しみながらの快適な列車の旅を選びました。
リオン到着は夕方なのでその日は1泊し、次の日にレンタカーをパル・デユ―駅で借り出し、プロバンスへ・・・一週間滞在後、リオンへ戻り、2泊し市内観光、パリから帰国という11日間(機中1泊)のプロバンス・ドライブ旅行です。
(ホテル、TGV、レンタカーの借り出し、リオンからのドライブルートなどは次回詳しく報告します)

訪問する観光地は、1日2ヶ所に限定 
ゆっくりとプロバンスを楽しむ・・・これが今回の旅のテーマです。訪問する場所は隣り合った2つの観光地を1日のコースに組み込むだけ、歩きながら、買い物をしたり、見学したり、食事をしたりと、ゆっくりと、時間を十分かけて、思い出が残る旅行にしたい・・・それがプラニングの方針でした。

プロバンス地方は、ローヌ川の河口に広がるカマルグ(Camargue)地方も含めて、見所がたくさん在り、フランス政府観光局で頂いた「FRANCE フランス旅の手引き」「PROVENCEプロヴァンス」、そして東京で購入したミッシュランの道路地図MICHELIN Provence Camargue 113 ZOOMを見ながら、次のAーFの6つの組み合わせを考えました。(この道路地図については次回に触れます) 
ホームページや写真にリンクを貼っておきましたので、ご覧ください

 Aコース



△ オランジュ Orange
ローマ時代の古代劇場Theatre antiqueが有名。ほぼ当時の姿と機能を伝え、音響効果は現代の劇場にも匹敵する。七月にここで開催される音楽祭には世界中から音楽ファンが集まる。
△ ヴェゾン・ラ・ロメーヌVaison-la-Romaine
 フランスのポンペイといわれるローマ時代の町の遺跡が数多く残る小さな町。ローマ橋は現在でも使われている。中世の廃城から町を一望できる。

 Bコース



△ アヴィニオンAvignion
ヴォークリューズ県の県都。アヴィニヨンの演劇祭などが開かれる文化の中心地。14世紀には法王庁が一時置かれていた。ローヌ川に架かる橋は童謡「アヴィニオンの橋の上でSur la Pont de Avignion」で世界中の子どもにも知られている。
     △ ポン・デユ・ガールPont du Gard
 ヨーロッパ各地に現存するローマの水道橋の中で、ガール川を渡るために立てられた橋はほぼ原形を留め、周辺の風景とマッチして美しい。

 Cコース



△ アルルArles
ローマ植民地時代には首府となり、円形闘技場、古代劇場、浴場など多くの遺跡が残る。ゴッホがここに滞在、「跳ね橋」「夜のカフェ・テラス」などの作品を描いた。
レ・ボ・ド・プロヴァンスLes Baux-de Provence
白っぽい石灰岩でできた大地にある人口500人ほどの小さな村。特異な風景と村にある有名レストランに魅せられ、多くの観光客が訪れる。

 Dコース



△ エーグ・モルトAigue Morte
ローヌ川の広大なデルタ地帯カマルグに隣接する12世紀の城塞都市。地中海に面した都市が海岸線の後退で港としての機能を失ない、砂地の中に取り残される。それが幸いし、往事のままの姿を現代に伝える。
△ サント・マリー・ド・ラ・メールSaintes-Maries-de-la-Mer
  カマルグの湿地帯に先端にあり地中海に面する美しい漁村であり、同時に観光の中心地。聖母の妹マリアに由来する伝承の地で、巡礼の祭りの際にはたいへんな賑わいとなる。

 Eコース



△ リール・シュル・ラ・ソルグL’Isle-sur-la-Sorugue 
ソルグ川の中州に発達した町。水車を動力とした製紙、革製品で栄えた。アンテイ―ク市場でも知られる。毎日曜日に開かれる市(いち)の日jour de marcheには近隣からも買い物客が集まる
△ フォンテーヌ・ド・ヴォクリューズFontaine-de-Vaucluse
「ヴォークリューズの泉」。世界第五位の涌水量を誇る。標高230メートルの断崖の下から忽然と湧き出す涌水はエメラルド色で、神秘的。廃城が背後に聳え、みやげ物店、レストランも川沿いに建ち並ぶ。

 Fコース



「プロバンスの十二ヶ月」で描かれたルベロン地方周回山岳ドライブ
ゴルドGordes
 城壁が山頂にある急峻な斜面に階段状に家々が建てられ、政治家、文化人の別荘も多く、オリーブ、アーモンドの木々に囲まれた美しい村。 
△ ルション Roussillon
オーク採掘で栄えた村、家々がオークで作られ、黄色や鮮やかな赤色で村全体が絵の具で描かれたよう。

セナンク修道院Abbaye de Senanque
1148年創立のロマネスク様式の修道院。簡素で厳粛な建物は、夏になるとラベンダーに囲まれる景観は見事。ゴルドの北の渓谷にある。

南フランス・ドライブ旅行(3)





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プロヴァンスの7日間・・・南フランス・ドライブ旅行(1)

2011-05-10 09:44:06 | Weblog
ずいぶん前のことですが、前英国の作家ピーター・メイルの「 A Year in Provence-プロバンスの12ヶ月」が人気を博し、映画化もされ、日本でも放映され、ご覧になった方もあるでしょう。プロバンスのリュベロン地方の小村に移住したイギリス人が、カルチャーショックを村の人々とのふれあいを通して乗り越えている様子を、ユーモアーたっぷりなタッチで描いていました。
 温暖な気候、美しい自然、おいしい食事とワインがあるプロバンスはイギリス人にとって憧れの地、ここに別荘を購入することがステータスシンボルになっており、南フランスの物件をイギリス人に紹介する不動産季刊誌もあるくらいです。


 フランス・ドライブ旅行は、一回目は各地を渡り歩くワンダーフォーゲル(渡り鳥)型のドライブ旅行、二回目は一箇所に居を構え、その周辺の観光地を訪れるという滞在型の旅行スタイルでした。「A Week in Provence-プロバンスの7日間」を紹介しましょう。
 先頭の写真は7日間滞在したSt. Didier(サン・デイデイエ村)、遠くに見える山がMont Ventoux(ヴァントー山-1909m)です。

滞在型ドライブ旅行のメリットは?


滞在型のドライブ旅行は次の5つのメリットがあります。
☆ 荷物は滞在ホテルに置き、空の車で気軽に旅行できます。観光地での車上荒らしに会う危険性が少なくなります。
☆ 一週間だけですが、それでもその滞在地で生活するのですから、現地の方と交流でき、町や村を深く知ることができます.
☆ 滞在地から同じ道路を何回も通ります。道路の運転にも慣れ、安心安全なドライブとなります。
☆ リュベロンやカマルグを訪れるには晴れた日のドライブが理想です。一週間の中で、天候に応じて、コースを組み替えることができます。
☆ プロバンスの最大の見所、マルシェ(Marche)を堪能できます。マルシェ(マーケット)は町や村によって開かれる曜日が決まっており、色々な町・村のマルシェで買い物を楽しめます。

まず、NHKラジオ講座で初級フランス語の勉強
 最初のフランス旅行では日仏旅行会話の本を手に、カタカナ発音で大丈夫だろうと気軽な気持ちで出かけましたが、まったく通じず、道もまともに尋ねられなかったという失敗を経験しました。殊に困ったのが、地名の発音です。文字を見てもまったく音に出せないのです。パリ市内にレンタカーで乗り入れ、道路地図頼りにホテルに行こうとしましたが、道に迷いお手上げ・・・通りかかった女性に地図とホテルの住所を示して尋ねましたが、私の英語も通じず、業を煮やした女性は私の車に乗り込んで、「A droite! (右へ)A gauche!(左へ) 」と指示を出しながら、一緒にホテルまで行ってくれました。

 毎回フランス人の好意に甘えてばかりはいられません。前回のドライブ旅行では一年前からNHKラジオ初級フランス語講座で学習することにしました。NHK講座は四月から九月までの六ヶ月で終了します。そして十月から翌年の三月までは、新たな内容で、指導陣も代わり、再び初級講座が始まります。出発までにこの初級講座を2度聞ききました。・・・その結果、カタカナ表示の旅行会話をフランス語に近い音で発音できるようになり、地名もほぼ読めるようになりました。

 NHK講座と並行して、出発直前の二ヶ月前からは、日本語⇒英語⇒フランス語という対訳旅行会話読本を覚えました。勿論、全部はとても覚え切れませんので、必要になるであろうと思われる会話表現だけを選び、場面を想像しながら口ずさみ、暗唱しました。学生時代に「Learn a little, and use it a lot.(少なく覚えて、たくさん使え)」というのが外国語習得のコツだと聞いたことがありますが、それを実践したわけです。

フランス地図を眺める



 地図を眺めるのが趣味だという方が旅行好きの方には多いようです。私もそんな一人で目的地が決まると、暇さえあれば地図を眺め、夢を膨らませます。フランス全国地図で南フランスの全体を把握、大まかな訪問地を確定していくというのが私の手順です。

 フランス全国地図でお勧めしたいのは、Logis de France(ロジ・ド・フランス)の Carte routiere(道路地図)です。Logis de Franceは個人経営のホテルが加盟する上部団体で、そこが発行する道路地図を東京港区にあるにフランス政府観光局http:/jp.franceguide.com/)で手に入ります。無料サービスの上、道路だけではなく、加盟ホテルがアイコンで示されていますから、宿泊施設を決める際にも参考になります。広大なフランス全土を一枚の裏表の紙面に収めているので鳥瞰的に位置関係を把握するのには便利ですが、主要道路しか表示されていません。

Logis de Franceのホームページを覗く
 Logis de France は加盟ホテルの案内と予約をインターネット上でできるサイトを持っています。地図も組み込まれているので、フランス地図が手元に入るまでご覧になってはいかがでしょうか。
 ではホームページで今回の目的地南フランス・プロバンス地方を見てみましょう。http://www.logis-de-france.fr/fr/index.htmで開きます⇒フランス語版です。ページ右上の小さな国旗のアイコンをクリック⇒英国国旗(英語版)に。{FIND A LOGIS}下のヨーロッパ地図をクリック⇒フランス国土をクリック→地方名が入った地図に替わります。{P.A.C.A}(Provence Alps Cote d'Azur)をクリック⇒{Vaucluse}をクリック⇒ここでようやくプロヴァンス地図が表示されます。
 この地図の中に今回紹介する「プロバンスの7日間」の旅で訪れる主な場所の全てが入っています。地図を拡大・縮小したり、移動したりして、楽しんでください。また、Vaucluse県内にあるLogis de France加盟ホテルの位置がアイコンで示されていますので、アイコンをクリックして加盟ホテルの紹介を読むのも楽しいものです。宿泊料金、部屋の様子、アクセス、周辺の見所などが分かります。


南フランス・ドライブ旅行(2)




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西伊豆・土肥温泉を散策しました

2011-05-01 04:57:20 | Weblog
 3年ぶりに故郷の土肥に出かけました。東京から三島を経て修善寺駅に、ここから路線バスに乗り換え土肥に向かいます。バスは山間を走る国道を海抜570mの船原峠に向かって登っていきます。トンネルを抜けると視界が一気に広がり、周りの山々の尾根は駿河湾に向かって降りていきます。周囲の山肌には満開の山桜が点々と彩を添えていました。
(冒頭の写真は清水港から到着したフェリーです)

 土肥の町は静けさの中に佇んでいます。東日本大震災の影響で観光客が少なく、旅館の中には休んだり、従業員を一時帰休しているところもあり、観光客相手の店は閑古鳥が鳴いています。眠っているような町の中を散策しました。

西が駿河湾に面し、東、南、北の三方を山で囲まれています
 町を流れる大川の狭い扇状地に開けた町です。大川の北側に昔からの町並み、南側に土肥金山がありました。天正年間に金山が発見されて、江戸時代は佐渡金山と並び繁栄、明治以降は気候温暖な温泉地・保養地そして海水浴場として栄えてきました。

・・・大川の上流を撮影、船原峠に連なる山並みが屏風のように立ち、向う側には修善寺、天城、湯ヶ島、浄連の滝をつなぎ下田へ至る天城街道が走っています。


西・・・海水浴場に面した松原海岸からの駿河湾の夕日です。沼津からの定期船ホワイトマリン号から撮った夏の賑わいもご覧ください。

     

・・・街の北側にあるみかん畑からフェリー発着所方面を撮りました。土肥の町がほぼ一望できます。撮影場所の麓が昔からの町並みです。


・・・フェリー発着所付近から松原海岸越しの土肥です。山向うは山また山、10キロ先に戸田の港があるだけです。


山桜、新緑の木々が山々を美しく飾っています
 土肥の友人の話によると、50年前に植林され山頂まで覆っていた杉やヒノキが切り出されるようになり、山桜など他の木々が山肌に目立つようになったということです。
 輸入木材に席巻されていたわが国の木材市場ですが、輸出国の伐採規制や中国の需要の伸びで外国産木材の価格が上昇、相対的に国産木材への需要が出てきたとのことです。
 放置されたままになっていた杉・ヒノキが伐採されるにつれて、本来の山の美しさを取り戻しつつあり、やがて土肥では花粉病がなくなるのでは・・・と笑っていました。

幻の枇杷・土肥の白びわは5月下旬から6月上旬に食べられます

 真冬でも氷が張ることがない土肥の風土が生み出した、甘くて美味しい究極のびわです。小型の実で、白っぽい淡い表皮は触れるだけで変色し、市場に出荷できず、地元だけで消費されてきました。近年、観光客に知られるようになり、土肥びわ目当てで来られる方も多く、かつてのみかん畑にも多くのびわの木が植えられ、生産量が増えてきました。 子供の頃、やぶ蚊に刺されながら採ったのが懐かしい思い出です。

推奨の土肥散歩ルートです
 海辺の散策の他に見所がたくさんあります。小さな街ですから、1時間もあれば一回りできます。早朝や夕方に食事前に散策して温泉で一風呂浴びる・・・これが私の土肥での至福な時の過ごし方です。
 見所を紹介しましょう。カッコ内は地区名です。

多くの文人が訪れた昔の代官屋敷付近の旅館です。(旧御殿・中村)

     

昔と変わらない土肥の街の懐かしい風景です。この小さな神社で昔は子供の相撲大会が行われました(平野)

     

漁民が多く暮らす海岸近くの細い路地です。(大藪)

    

日蓮上人一代記の浮世絵がある清雲寺です。(平野)
           

最初の温泉が湧き出た安楽寺の大クスノキです。(馬場)


共同浴場「楠の湯」です。熱めの湯ですが、観光客に人気があります。(馬場)


旧土肥鉱山の旧職員住宅跡です。道の左右に生垣に囲まれた住宅が軒を連ねていました。現在残るのは右手の数軒だけ、80年前の建物ですが今でも住民の方がお住まいです。(屋形)



津波対策はされていますが・・・
 街を歩くと電柱に貼ってある「津波に注意:海抜○○m」の標識が目に付きます。大正2年生まれの父から安政地震(1854年)の津波で遭難したロシア艦船の代船を隣村の戸田で建造したという話は何回も聞きましたが、土肥でも津波の被害があったようです。

 下の写真は平野地区集会所前の電柱の標識で、ここが海抜5mであることを示しています。写真では見えませんが、右手すぐに人ひとりがやっと登れる山道が上の畑に通じています。街を見下ろす写真はこの山道を5分ほど登ったみかん畑から撮りました。
 もし東日本大震災のように10mを越える巨大津波が来襲したのなら、街全体が飲み込まれてしまいます。幸い、街の南北に山が迫っており、山腹への避難が可能です。山への避難路や誘導標識が整備されることが今後の課題となるでしょう。


土肥へのアクセス情報と海水浴の紹介は伊豆・土肥へ海水浴・・・電車・船で行く旅の今昔レポート」  土肥の津波対策は万全でしょうか」をお読みください。
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