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10月14日に大田市が主催する「銀の道ウオーク」に参加しました。
それを機会に一度は訪れてみたいと考えていた津和野を訪れました。
津和野は森鴎外の出身地であり、また、小京都と言われる美しい城下町です。
以前から機会を待っていましたが、東京からは如何せん遠いということで二の足を踏んでいました。
石見銀山と同じ石見の国・島根県にあり、この機会を逃しては訪れることなく終わってしまいそうです。
そこで、津和野から石見銀山を経て松江へと島根県を西から東まで横断して東京へ戻る経路を考えました。
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当初、津和野へは空路で行くことを考えていました。「銀山ウオーク」の募集は8月に発表されましたから、羽田から萩・石見空港への「旅割」運賃の利用が可能で、交通費17,680円、東京駅6時20分発・津和野駅11時55分着、これなら新幹線・山口線利用の東京駅6時16分発・津和野駅12時54分着より時間面でも費用面(21,170円)でも有利です。
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初体験・・・「長距離夜行バスの旅」
長距離夜行バスに気持ちが大きく傾いたのは、長距離バスの座席配置を見て、これなら快適かもしれないと思ったからです。三列独立の大きくリクラインする座席は、28席という余裕の配置です。トイレも付いています。14時間という長時間の乗車ですが、何より地上を走ります。飽きれば大きな車窓から風景も楽しめます。あの飛行機のエコノミー席の窮屈さ・密閉された機内の14時間よりずっと魅力的に感じました。定年後旅を趣味としている者として、ぜひ一度は体験したいという誘惑に駆られました。
バスの運行は西日本JRバスです。電話で問い合わせると「新宿から目的地までの途中のSAでは停車しない」「航空機のエコノミー席よりシートのリクライン度は深いかどうかは飛行機に乗ったことがないので分からない」「湯茶などの車内サービスはない」「夕食や飲み物などはお客さんが各自持ち込んでいる」との回答でした。
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5分前に津和野行きのアナウンスがあり、改札が始まります。ネット予約はメール・アドレスに送られてきた確認書が切符代わり、係員に荷物を預け、車内には必要なものだけを持ち込みます。定刻通り午後7時10分に出発、混雑する甲州街道を抜け、首都高速に乗り、中央高速道経由で向かいます。乗客は思い思いに持ち込んだ夕食を取り始めます。車高が高いため、かなり揺れます。斜め前の小学校低学年の男の子は気分が悪くなりましたが、シートをリクラインして備え付けのブランケットをかけられ母親に介抱されている内に眠りにつき、浜田で降りるまでずっと熟睡していました。
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浜田で大半の乗客が降ります
高速浜田道に入る頃に空が明るくなります。早朝の山の間を縫うように高速道は走り、島根県は山間地が多いことを知りました。ところどころ山に囲まれた盆地にあり、赤瓦の家々からなる集落が点在して、石見の国に来たのだと実感できます。浜田道が終わり、バスは浜田市内に入ります。10分ほどでJR浜田駅に到着です。ここで20名近い乗客が降り、あの男の子と母親も駅前の駐車場で待っていた父親の自家用車に乗っていきました。バスには7名だけが残っただけです。
後に調べて分かったことですが、浜田は東京から島根県で最も遠い市であることが分かりました。JRでは東京から新幹線・特急を乗り継いても7時間から8時間掛かり、運賃は22,940円です。空路では萩・石見空港利用の5時間で来ることができますが、運賃は26,790円(旅割19,090円)、しかも実質一日一便だけ、これが夜行バスなら12,100円です。鉄道にしろ空路にしろ、荷物を持っての乗り換えはたいへんで、子ども連れならなお更でしょう。乗客の皆さんは何度も夜行バスを利用されるらしく、12時間の長旅も気にされている様子はありません。浅い眠りで一時間ごとに目がさめ、細く空けたカーテン越しに暗い高速道を眺めていたのは私ぐらいのものでした。前の席の中年の女性が明け方メールを打っていましたが、何気なく覗くと「思っていたほど疲れなかった。リクラインシートが快適だった
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浜田から津和野までのバスの旅は疲れました。
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距離はわずか70キロ強ですが、9号線を走るため平均時速35キロとなり2時間ほどかかります。日本海まで落ち込む山間地を抜けていくため眺望も余り利きません。益田から津和野までの9号線は高津川・津和野川沿いに走るので景色は楽しめますが、カーブが多く、とうとう車酔いです。途中益田駅で4人が降り、終点津和野駅までは3人だけでした。
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津和野では自転車を借り、町中を巡ろうとしましたが、森鴎外記念館で時間を取りすぎ、次の機会を待つことにしました。鴎外は11歳で津和野を離れ、二度と故郷の地を踏むことはありませんでしたが、「石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」と遺書に残した故郷への強い思い入れがあったのになぜだろうかと疑問に思っていましたが、今回そのナゾが解けたようようです。津和野はあまりにも東京から遠かったからではないでしょうか。山口線が鴎外の生前に開通していたのなら、故郷を再訪していたのに違いありません。
津和野からはJR山口線、山陰本線を利用しました
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山口線はバスと同じ津和野川・高津川沿いを走りますが、線路は道路より高い位置を走りますから、往路と違う風景を見せてくれます。一方山陰線は9号線を走るバスの車窓からの風景とは様変わりの美しい風景の連続です。日本海の海岸すれすれに走り、小さな漁港、人家のない小さな磯、海に浮かぶ小島など飽きることのない風景が続きます。最近列車での旅を楽しむ機会がありませんでしたが、この益田から松江までの島根県を横断する山陰線は日本有数の美しい景色を楽しめる路線ではないでしょうか。
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人口減少が進む島根県はいわゆる限界集落が高知県について多い県とのこと、山陰線も単線で、多くの駅が無人駅となり、駅舎が取り壊され広場だけとなっている駅もあり、考えさせられる列車の旅となりました。