トランプ関税に思う事:
中国からの輸入には145%:
先日取り上げたことで「オバマ政権時代の2010年に、インドネシアと中国に大規模な最新鋭の製紙工場を持つ華僑資本のAisa Pulp & Paper社(APP)からの印刷用紙がダンピングであると商務省(DOC)とITC(国際貿易委員会)が認定して、中国に136%でインドネシアには20%の関税をかけてアメリカ市場から完全に閉め出した先例」があった。
この時は136%という高率は聞いたことがなかったし、実際には余りにも強烈であるとの声が上がっていた。現実的には効果覿面で、APPはアメリカ向けの輸出から撤退してしまった。100%を超える関税とはそれほど凄い効果を発揮していたのだった。だが、この度のトランプ大統領のtariff作戦は特定の一社を対象にしている性質ではない点で話の筋が違う。
余談にはなるが、この時にDOCに反ダンピング関税の賦課を請願したアメリカの印刷用紙メーカーの殆ど全部が、その後間もなくChapter 11と言う民事再生法による保護を申請して倒産した。関税をかけて保護されても、時代の流れである「印刷媒体がインターネットに圧倒されて衰退する流れは阻止出来なかった」という話だった。
私は、今回は「中国がどのような対応策に打って出るか」は大きな問題だし、「アメリカ側にとっても容易ならざる事態だ」としか思えない。私には、ここから先にトランプ大統領と習近平主席がどのような手段で対処するかなどはとても想像も予想も出来ない。
Los Angeles郊外のFashion District:
私は相互関税賦課作戦が開始されることが明らかになった時に、関税の深刻な影響を受けそうな例に、このLos Angeles郊外にあるFashion Districtを躊躇せず取り上げてあった。だが、一般的には域内の治安が不安視され、立ち入らない方が安全と言われていたいようだし、駐在員の方々も「絶対に遠来のお客様をご案内しないように」というのが引き継ぎ書の項目に入っていると語っておられた。
ここは、言うなれば大阪の船場や東京では横山町と馬喰町を足したような大きな問屋街で、中国からの輸入にほぼ全面的に依存してきている。故に、145%の関税が中国からの輸入の衣料品や雑貨類に賦課されれば、存亡の危機が訪れるのではないかと読んだのだ。私は2011年11月にYM氏の発案でSM氏と3人でここを何時間か歩いて回ったので、中国への依存度と言うよりも中国の支配力を痛感してきた。
兎に角、何を買っても安いので、YM氏などはこの街で買える頑丈なコットンのTシャツの「4枚一組$10」を長年愛用しているとかだった。我々3人は記念にと、珍しく白人が店番をしている雑貨屋で、Ray-Ban風のサングラスが3個で$10というのを買ったものだった。
因みに、このFashion Districtの面積は数平方キロメートルに及び、 4,000軒以上の独立した小売・卸売業者が集まり、衣料品、靴、アクセサリー、布地などを販売しているのだそうだ。売り子の殆どはヒスパニックか韓国人だったが、商品は中国製。圧倒されそうな活気に満ち溢れていたのがとても印象的だった。
我が親愛なるマスコミは高関税賦課がアメリカの市場に大きな影響を及ぼすとはほじるが、このFDほど悪影響が出ることが予測出来る場所は他にはないと思うのに、一向に取り上げてこなかった。何をしているのかなと思っていた。
だが、昨12日の早朝のTBSのニュースで「生地の問屋がある有名な商店街」として、初めてこの街が関税に影響されるだろうと報じていた。「遅い」のだが、もしかして現地の駐在員も危険と訊かされて立ち入っていなかったのか。だから情報がなかったのかも知れない。
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