新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

「東京オリンピックの成功に協力する」

2021-06-14 08:45:16 | コラム
G7は共同声明を発して無事終了:

実はG7を語ろうというのではなく、軽い気持ちで英語の講釈をしようと思うのだ。それは某国の首脳が菅首相に言われた「東京オリンピックの成功に協力する」に関してである。「成功」即ち、succeedかsuccessという単語の解釈だ。

恐らく、マスコミ報道では「イギリスのコーンウオールで開催されたG7は成功裡に幕を閉じた」とでもなるのだろうと思っている。このsucceedかsuccessなる単語は我が国では「成功」と訳されているのが普通だと思う。だが、アメリカ人の中に暮らしていると、漢字の熟語の「成功」とは違うような使われ方をしているように思えたのだった。

それは、例えば彼らの東京に出張した報告書は“Our last trip to Tokyo was a success.”というような書き出しから始まる事があったのだ。一緒に回って歩いた東京の駐在マネージャーから見れば、何も取り立てて言う程の華々しい成果が挙がった訳でもなく、恙無く計画通りに客先を回れたという程度のことだったのだ。これが英語にするとsuccessとなるのだった。

そこで、例によってOxfordを見れば“the fact that you have achieved ~ that you want and have been trying to do or get; the act of becoming rich or famous or of getting a high social position”となっていた。彼らは一般的に前者の意味で使っていたのだった。必ずしも「大きな成果が挙がった大成功」を意味していなかった。

次にジーニアス英和に行こう。先ず「・・・における/・・・に対しての成功、成就、立身出世」が出てくる。これでは「成功」とはを調べてみなくてはならなくなる。広辞苑には「目的を達成すること。事業を成し遂げること」とある。更に「転じて、地位や富を得ること」ともあった。言葉の感じでは「何かとても立派なことを成し遂げた事」のようである。私は見るところでは「大いなる事を成し遂げることを成功というので、succeedもそれに従って訳されたのだ」となる。

そこで、G7の「東京オリンピックの成功に協力する」と言われた某国の首脳が意味されたことは「予定通りに開催されて、無事に終了するよう協力する」であろうとなる。

強調しておきたいことは「succeedという単語を『成功』と言う大きな成果を挙げることだとして覚えた人たちが多かったのだろう」という点である。そう言っている私も、最初は“Our last trip“の何処が大成功だったのが分からずに当惑させられたのだった。やはり、単語の使い方は流れの中で覚えておくべきだといいたかったのだ。そうと解って頂ければ、この一文は成功だったという事になるのだ。



コメントを投稿