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新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

フジテレビに見る経営の問題

2025-06-06 13:23:03 | コラム
MBAを活用していれば:

フジテレビの清水社長が昨5日に「港前社長と大多元専務の提訴を発表し、同時に第三者委員会の報告書で問題を起こしたとされる一連の人物に関する処分を発表した事」がマスコミで大きな話題となっている。

この様子と言うか成り行きを見て思い出したことがあった。それは我が友YM氏が未だプリンストンとペンシルベイニア両大学のビジネススクールの教員だった2000年頃に、あらためて「MBAとは」を解説して貰ったことがあった。その中で「なるほど」と感じ入ったことがあったので取り上げておきたい。

それは“Master of Business Administration“のコースの中には、会社の経営の専攻だけではなく、大学や大病院の経営/運営の専攻もあるという点だった。即ち、「偉大なる教授や学者や名医が実務や現場を離れて経営に専念して貰うよりも、ビジネススクールでその方面を専攻したMBAを活用する方が合理的ではないか」という説明だった。如何にもアメリカらしい合理性を追求した考え方だと思って聞いた。

何が言いたいのかと言えば、今回フジテレビの監査役によって提訴された港前社長と大多元専務のお二方は、テレビ局内で優れたと言うか視聴率が取れる人気番組を制作する分野で功績があった所謂「テレビマン」であっても、「経営とは」を奥深く経験してきた人たちではなかったのではという事。即ち、組織の長として経営の全般を担うべき訓練を経た経験があったのかという事。世に「政経分離」というように「経番分離」を考えても良かったのでは。

私がここで疑問に感じたことは「港前社長と大多元専務共に特定の部門での功績に加えるに、年功で段階的に管理職に昇進して行き、遂には社長職にまで登り詰めたのである」という点だ。即ち、番組制作の現場で実績があっても、その経験がフジテレビほどの企業体の最高責任者の地位に就けることが適切だったかと指摘したいのだ。

FMHとフジテレビの経営者たちは「番組制作のスペシャリストが会社経営のエキスパートであり得るか」と考えた事がなかったのかと言いたい。決して彼等に同情する訳ではないが、社内の意思疎通の不備や「コンプラ」や「ガバナンス」の欠如と非難された事柄は、彼等二人だけの責任かとも言いたくなる。だからこそ、YM氏のMBAの解説に行き当たったのである。

最後に触れておくと、古今東西〔は大袈裟か?〕営業の達人や、研究部門のオーソリティを社長や管理職に抜擢して、「やはり野に置け蓮華草」となって悔やまれた例は幾らでもあったではないかと言いたいのだ。だが、本稿の目的は「MBA礼賛」ではない、念の為。


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