新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

8月30日 その2 甲子園の野球の決勝戦

2021-08-30 09:04:34 | コラム
試合は1回の表で終わってしまった:

折角、忠実にこの野球を追ってきたので、決勝戦も語って終わりにしようと思う。私の予感では「何れが勝っても大差がつき、俗に言う『ロー・スコア』の接戦にはならないのでは」となっていた。結果はやや一方的な9対2で和歌山の勝ちだった。

智辯学園(奈良にある本校のようだが)は私が指摘しておいたような、温存していたと疑わせる1番をつけた投手を先発させてきた。そこから先を語る前に、私は横浜高校の監督だった甲子園を5回制覇された渡辺元智氏の解説を選んで、BS朝日の中継放映を選んでいた。NHKが起用する解説者は高野連の意向を忖度したのか、朝日新聞社に阿ったのか、NHKに制約されているのか、毒にも薬にもならないようなことしか言えないようなので、BS朝日の解説者次第で回避している。

渡辺氏は試合開始寸前に「1回が大事だ」と指摘された。少し意味が違うかも知れない陳腐な表現を使えば「その舌の根も乾かないうちに」智辯和歌山の先頭打者が1球目をセンターの頭を越える2塁打を打ってしまった。「なるほど、流石に渡辺氏だ」と感心している間に、高嶋仁元監督のお孫さんだという7番打者までで4点を取ってしまった。「だから言ったじゃないか」なので、エースとアナウンサーが呼んだ西村君は「緊張していた」と回顧したとかだ。私はここまでで「試合は終わってしまった」と判断したが、結果としては最後まで見ていた。

和歌山の方は18番を付けた伊藤投手を先発させて2回に2点を取られた。だが、ここでも勝負の分かれ目があって、右翼手が後逸して球が塀まで転がっている間に打者走者が3点目の本塁を狙って走ったところが、外野と内野の連携が良くて本塁でタッチアウトになってしまった。局面は2死だったので走らせても良かったのかも知れないが、三塁のベースコーチの判断は難しかっただろう。あの走者がもう1秒速ければ3対4と迫れたかも知れないし、3塁に走者を残して攻め続けられたかも知れなかった。私はこれで奈良の敗戦がダメ押しされたと見た。

和歌山は先発投手を3回で引っ込めて前日完投していた中西を6回も投げさせたが、1点も失わずに抑えきってしまった。奈良も同様な条件を背負った小畠を救援に出したが、こちらは明らかに読まれていた模様だったし、疲れもあったようで5点も取られてしまった。敗因がエースを温存した起用法の誤りと見るよりも、得点の差ほどではないにもせよ、両校の間には総合力の差があったと思う。一つだけ言えば「如何に勝ちたくても、中西と小畠の連投は・・・」なのだ。

私が高校生たちはさぞかし大変だったろうと察するのは降雨による再三の日程変更もさることながら、あの関西地方、就中兵庫県西宮市辺りの猛暑の中で真っ昼間に野球をやるのは、非常にきつかっただろうと察している。熱中症のような事故が出なかったのは「偉い」と評価すべきか「良く耐えた」と褒めてあげるのは、俄に判断出来ない。

だが、甲子園の野球を神聖視する風俗というか文化を再検討すべき時期は来ていると、考えるべきだろう。時期をずらすか、ドーム球場をも利用するか、あるいは止めることも含めて在り方の再検討だろう。私はサッカーも含めて「高校の全国大会は廃止」の論者である。理由も根拠も何度も述べてあるから、ここでは敢えて触れない。

決勝戦に戻れば、両校とも持てる力を全部出せていたと思う。その差が9対2になったのだろう。終わりに敢えて触れておくと「進学校同士での決勝戦」は珍しかったので、終わりまでチャンと見ていたのだった。「和歌山も奈良も共に立派だった。楽しませて貰った」と称えておこう。



Moderna社製のワクチンに異物が混入していた

2021-08-30 07:46:29 | コラム
アメリカ西海岸にはこの件の報道はないとか:

Moderna社(敢えて英語表記にしたが、この社名は断じて「モデルナ」ではないと指摘しておく)製のワクチン39ヴァイアルに異物の混入が発見されて、163万回分の当該生産ロットのワクチンが使用停止となった。恐らく廃棄されてしまうのではないか。問題は「我が国の世界の何処にもないような極めて厳格そのものの衛生観念」にあると思う。言ってみれば「文化の違い」となってしまう気がする。

この件を、20年以上もの間技術サービス担当のマネージャーとして日本市場を担当して、引退後はワシントン州の南端の街に暮らしている元の同僚に伝えて「アメリカでも同様な事故が生じているか」と照会してみた。因みに、彼は私と共にW社で液体容器原紙(解りやすく言えば牛乳パック用の原紙)を担当した、言うなれば日本事情に精通した技術者である。彼からの返信では「そういう事故の報道はない」だった。

牛乳パック用の原紙は食品包装容器に使われるのである以上、衛生観念が世界の何処の國よりも発達しているし、徹底していて極めて厳格に品質を調べる我が国では、如何なる微細な異物でも許されることがなかった。特に原紙上に異物が付着しているような場合は言うまでもなく、加工済みのパックについては乳業会社等の食品を加工される企業では、如何なる性質の異物でも、その存在は絶対と言って良いほど許されることはなく、即座に当該生産ロット全量返品となるのだった。

この厳格さは何事につけてもその製品の全てを厳格に追求する我が国の需要家や最終消費者とは異なって、何事にも大雑把というか寛容なアメリカでは、食料品関連の容器だろうと何だろうと、その製品に求められている本質的な機能さえ備えていれば、小さな問題点や外観などは問わない傾向が顕著である。アメリカから我が国に進出してくる製造業の企業が常に苦しめられたことがこの「アメリカの市場とアメリカ人の品質に対する基準」では考えられない厳格さと細かさだった。

くどいようだが、我が社が経験した実例の一つを挙げておこう。それは乳業会社に納入された5万枚の印刷加工済みのパックの中の1枚の印刷された面に、微細な黒い異物が付着していたので、衛生上に疑問が残るとして加工会社に全量検品の上、何もなかった分だけを再度納品せよと求められた。そこで、私も含めて彼と偶々来日中だった容器加工の専門技術者とで検品し、問題の製品はその1枚のみと判明した。

更に異物をPEの下の面から取り出して調べたところ、それは原紙にポリエチレンラミネート加工工程中に炭化したPEの滓が付着したので、全く人畜無害であることも判明した。だが、結局は49,999枚は再納入を拒否された。その理由は「検品中に人が手でパックに触れたから」だった。

元同僚が言うには「その163万回分を保留とした処置は如何にも日本らしい手法であり、特に驚くことではない。だが、アメリカの感覚で言えば、こちらではそこまではやらないだろうと思う」となっていた。ある専門の大学教授は「このワクチンは筋肉注射であり、異物が血管に入っていくこともないだろうし、体内に入っても害はないと思う」と指摘されていた。

その通りだろうとは思う。だが、あれ以来他の会場でも異物が発見されている。私が問題だろうと思う事は「我が政府か厚生労働省がModerna社に正式に損失分の補償を求めるクレームを申し入れるか」だと思う。Moderna社が我が国の衛生観念のアメリカと比較にならない厳格さを心得ていなかったとすると、交渉は容易には進まないという気がする。まさか「折角大量のワクチンを供給して貰ったので求償はしない」となるのではとも、ふと考えた。要点は「契約の条件にある」と思うのだ。「不良品が発見された場合」の条項があるのだろうか。