新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月13日 その3 ウオルマートは西友を売却しない

2018-07-13 17:14:12 | コラム
ロイター通信によれば:

今朝ほどは日経新聞が「ウオルマートが西友株を売却」と報じたのを受けて、その通りに書いたいた。ところが、ロイター通信がウオルマートを取材したところ、下記のような答えだったと報じている。当方はとんだ早とちりだったのか?

>引用開始
ウォルマートの広報担当者はロイターに対し「西友の売却は決めていない。買い手との協議は行っておらず、変化する日本の顧客のニーズに応えるよう、将来に向けて引き続き日本事業に従事する」と述べた。
<引用終わ


となっていた。ではあっても、私は遅かれ早かれこういう方向にはある業界ではないかと考えている。

7月13日 その2 念の為

2018-07-13 13:59:47 | コラム
アメリカのホテルでは:

以下は、今朝ほどのハイヤットリージェンシーのチェックインカウンターに設置されていた Video checkout の看板の件です。ホテルの部屋のテレビのリモコンでチェックアウトが出来るということは、ご存じも方は多いと思いますが、アメリカでは当然のようにチェックインする時にクレデイットカードを登録しておかねばならないのです。これによって、何もあらためてリセプションまで降りていって伝票にサインしなくても済むという意味です。

これは、当時では「クレデイットカードも持てないような者は経済的にも社会的にも信用がないない」と見做す社会なので、ホテル側は食い逃げならぬ「泊まり逃げ」防止策で、予めカードの番号を登録させて危険を回避するという仕掛けです。極端に言えば、カードがなければ泊まれないということですが、持っていない方からは保証金(deposit)として、宿泊数に応じて現金を申し受けてチェックアウトの時に精算します。

この制度というか仕組みを初めてアメリカに出張される地方の工場の方に何度も繰り返して説明して「必ずクレデイットカードをお取りになって行かれるように」とご説明申し上げたのですが、そうせずに行かれた例がありました。そして、私が後から追いかけて、我が社がコーポレート・レートで予約したホテルでお目にかかると激高されていました。「御社は失礼なホテルを世話してくれた。我々の足下を見て法外な前渡し金を取られた」と言って。

よくよく伺えば「俺は借金をするのは潔くないから、カードなど持ってこなかった」と胸を張られました。そこで、それこそ「だから言ったじゃないか」と、再度ご説明申し上げて、やっと何とかご機嫌を直して頂けました。1980年代のことでした。それが今や「アリペイ」の時代です。いやはや。


ウオルマートが西友を売却へ

2018-07-13 08:29:11 | コラム
来たな」と思ったウォルマートの西友売却:

アメリカ最大か世界最大か知らないが小売業の巨人・ウォルマートが西友の株の引取先を当たっていると報じられた。手放す理由が「アマゾン等の攻勢に曝されては、この形式の小売業の先行きを危うしと見た」とあった。「なるほど、そう来たか」と思わずにはいられなかった。彼らアメリカの企業は先の見通しを立てるというか、決めつけるのが誠に早いのである。

2000年4月に私は6年振りで初めてアメリカにビジネスではなく入国したのだった。馴染みのシアトルではなくサンフランシスコから入った。宿泊先に選んだハイヤットリージェンシーのチェックインカウンターに Video checkout という看板が出ていたので「何のことか」とは思ったが気にもとめずに部屋に入った。そこで解ったことは「テレビのリモコンを使って毎朝画面に表示されるその時刻までの費用の明細に誤りがなければ、リモコンを使って承認すればチェックアウトが完了するというシステムだった。

経費の明細が必要なお客は、ビデオチェックアウトの看板のところに行けば貰えるという仕掛けだった。これを利用すれば、朝の混雑時にチェックアウトの列に並ばすとも済むという説明だった。更に、テレビを見ていると、CMの終わりに「この商品の詳細を知りたければ、何とかかんとか.com(ドットコム)にreferせよ」とうるさいほど出てくるのだった。「なるほど、6年も来ない間にアメリカではIT化が進んだのだな。我々製紙業界には嫌な時代が近付いたな」と思わずにはいられなかった。

その5年後にアメリカ最大級の上質紙(業界でいう非塗工印刷用紙のことで、一般的にいう模造紙)のメーカーである我がW社はその事業を分離独立させてしまった。即ち、印刷(紙)媒体の将来に見切りを付けたという意味だ。世界最大の製紙会社International Paperはその2年後に同様にアメリカ即ち世界最大級の塗工印刷用紙(アート紙のこと)事業部を売却したのだった。要するに、アメリカ最大の2社が11年前までに印刷媒体用の紙を見切っていたのだった。

こういう判断と言うか決断を厳しいとか素早いと言って賞賛するのは強ち間違いではないが、私は彼ら独特の思考体系である二進法からすれば「維持するか、この時点でも持ち堪えるか」の決断を迫られて、いともアッサリと売却を選んだまでである。だから、特にその英断を褒めたり称えたりする必要はないと思っている。現実に、この2社の判断は正しかったようで、同じ印刷媒体である新聞の落ち込みは甚だしく、10年間に新聞用紙の需要が60%も減少し、新聞用紙の大手メーカーは全てアメリカの民事再生法の保護を求めて倒産した。

ここまでが私の言いたいことの導入部である。ウオルマートは現在までのECと言うのかどうか知らないが、アマゾン等の大成長の様子を見れば店頭販売の将来を見切ったとしても不思議でも何でもないと思う。それに彼らの二進法的な思考体系からすれば、我が国の基準からすれば厳しく見える判断であっても、簡単に決断してしまうのである。その悲しいとも言いたい例が、W社があれほどの規模を誇った紙パルプ事業から昨年の9月末で前年撤退してしまったことがあると思う。

私はアメリカの経営者は確かに機を見るに敏ではあるが、一度決めたことは実行してしまうし、二者択一の決断は極めて素早いと言うことであると思っている。それは最高の責任者となった者の判断の仕方が、我が国との思考体系の違いを見せているのだと思っている。私には何れのやり方が良いのかを論じようとは思わない。それこそが文化の違いであるからだ。しかし、現時点ではウオルマートに先見の明がある気がするのは何故だろう。