♦️1166『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの2022年度予算案と「Build Back Better(より良い復興)」

2021-10-30 18:45:33 | Weblog
1166『自然と人間の歴史・世界篇』アメリカの2022年度予算案と「Build Back Better(より良い復興)」

 2021年5月28日、OMB(米行政管理予算局)は、支出規模6兆110億ドルとする2022年度(2021年10月~2022年9月)予算案を含む2022年度の予算教書を議会に提出した。今回は、年度ごとに議会による歳出予算法の制定が必要な裁量的経費については先行して議会に提出されていた、それが今回は残りの義務的経費や「米国雇用計画」、「米国家族計画」をはじめ、2022年度中に見込まれる支出額が盛り込まれている。 
 歳出の規模は6兆110億ドルで、新型コロナウイルス対策で支出規模が拡大した2020年度や2021年度に比べれば予算規模は減少している。かたや、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年度の支出額4兆4,480億ドルと比べると、約35%の増加となる。
 同予算教書の主な内容としては、馴染みの社会福祉・社会保障費や国防費のほか、「経済再生計画」にみる新型コロナウイルス対策に加え、「米国雇用計画」に盛り込まれたインフラ投資、サプライチェーンの強化、住宅・商業ビルの耐候化関連の支出、「米国家族計画」に盛り込まれた無償教育拡充や低所得者・子育て世帯への税額控除拡充などの支出が含まれている。ちなみに、これら三つの計画を一くくりに「Build Back Bette(より良い復興)」」と総称している。これら支出を含む2022年度の義務的経費は前年度比23.5%減の4兆180億ドル、裁量的経費は4月に提出された1兆5,224億ドルから積み増しされての1兆6,880億ドル(前年度比0.5%減)となっている。
 歳入については、上記のおしなべての財源が色々と含まれる。目新しいものとして法人税の引上げ、米国多国籍企業の国外軽課税無形資産所得に対する実効税率の21%への引上げ、所得税の最高税率の引上げ(37%→39.6%)¬、高所得者などへの課税執行の強化、キャピタルゲイン課税の強化などがある。

 これらのうち法人税と所得税の一部引き上げは、トランプ前政権の時の税率引き下げ(2017年12月22日成立)の逆を行くものであり、成立には共和党の反対が予想される。


(続く)


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