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2021年2月5日には、NLRB(独立行政機関の全米労働関係委員会)が、アマゾンからの反対を押し切って、アラバマ州のアマゾンの倉庫従業員らが労組の組織化の是非を問う投票を8日から始動することを認めた。
はたして、同社の労組結成は、賃金見劣りで募る不満を力に、経済のデジタル化が進む米国で格差是正をめざす動きとして業界の枠を越えて注目を集めてきていたことから、今後どうなっていくかが見守りたい。
IATSEは、カメラマンや衣装担当者をはじめ、映像制作に不可欠なスタッフが多く所属している団体だ。このコロナ禍において、いわゆるエッセンシャル・ワーカーではないものの、15万人以上の所属会員を擁しているのは、流石に芸能の殿堂に働く人々の意識の高さからなのだろう。
きっかけになったのは、映画会社やテレビ局、Netflixやアマゾンなどが所属する業界団体AMPTP(全米映画テレビ製作者協会)と、映画とテレビ番組の製作に関する契約更改交渉を過去4カ月間にわたって行ってきたものの、現在(2021.10.10)はまだ膠着状態にあるという。
そこで、要求を貫徹すべく、ストライキ発動の権限を求める投票を行ったところ、約9割が回答したという。なんとその98%が承認に投票したというのだから、驚きだ。
IATSEのマシュー・ローブ会長は、「今回の投票は、映画、テレビ業界で働く人々の生活の質、そして健康と安全に関わるものです。私たちは、食事休憩、十分な睡眠、週末といった人間の基本的な権利を求めています。また、給与水準の低い人たちも、まっとうな生活を営むことができる給与を与えられるべきなのです」と述べている。
さらに、民主党は、バイデン政権の方針と銘打って、支援の基盤として、次のような労働組合を支援する方針を打ち出している。
「Biden is proposing a plan to grow a stronger, more inclusive middle class – the backbone of the American economy – by strengthening public and private sector unions and helping all workers bargain successfully for what they deserve.
As president, Biden will:
Check the abuse of corporate power over labor and hold corporate executives personally accountable for violations of labor laws;
Encourage and incentivize unionization and collective bargaining; and
Ensure that workers are treated with dignity and receive the pay, benefits, and workplace protections they deserve.」(サイト「民主党・ジョー・バイデン」から、2021.10.17閲覧・引用)
2021年3月9日、アメリカの下院は、民主党が目している団結権保護法案を、賛成225、反対206の僅差で、可決した。同法案は、昨年、民主党が多数派を占める下院で可決されたものの、共和党が多数派の上院において否決されていた。今回どうなるかは、議席数が50対50で拮抗しており、未知数だ。
同法案は、労働組合の結成や団体交渉に対する労働側への保護を強化するもの。とりわけ、NAM(全米製造業協会、政府機関)が労使問題を扱う際に、その命令に従わない企業にはペナルティを科すことができる場合があるという。
なぜ法制化なのかというと、政府統計でみると、アメリカで労働組合に加入するには、相当複雑な手続きをクリアしなければならない。そのためか、全体での組織率は、1980年代以降長期低落が止まっていない。2020年時点での労働組合に加入する賃金・給与は、全体の約10.8%だとされ、これは1980年代の半分程度になってしまっていると報道される。
(続く)
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