ユニーク古典現代訳(大阪弁万葉集改題)

日本の古典を訳します。そのままストンと腑に落ちる訳。なんだ、こうだったのかと分かる訳。これなら分かる納得訳。どうぞどうぞ

源氏:桐壺(08)門引き入るるより

2014年01月23日 | 七五調 源氏物語



 門引き入るるより
    ―来たる屋敷に野分吹き―


靫負命婦みょうぶ着きにて くぐる門
哀れ 気配の 漂いは

未亡人やもめ暮らしに ありしかど
桐壺更衣むすめ支えの 為にとぞ
手入れ怠り 無きなも

泣きの涙の 気落ち
生えたる草背くさせ 高きをば
野分のわき吹く風 荒したに
昇りたる月 雑草くさ越しと
射しし明かりの びにてぞ





庭過ぎ牛車ぎっしゃ 寝殿の
正面おもてに るに
出でし桐壺更衣こういの 母君は
しば黙然もくぜん ややあって

いまだ長らえ 居るにての
  心苦しと 覚えしに
 草深くさふか宿の 露分けて
 勅使つかいお越しは 身も縮む」
難気がたげにぞ 泣き給う






靫負命婦ゆげいのみょうぶ うなづきて

「先にこちらに まいられし
 典侍ないしのすけの 奏上の
   『いと気の毒と お見受けし
    心消え果つ 心地にて』
  なるお言葉を 漏れ聞くに
 情趣なさけの薄き この身とて
 辛さこらえも し得ず」と

                          【典侍】
                           内侍司(ないしのつかさ)の次官
                          ※内侍司=帝に常侍しその身辺奉
                           仕や女官の管理などを行う


先ずの訪問おとない 挨拶に
続きみかどの 仰せ言


  「『しばしは夢と 覚えしが
   ようよう心静しずむ 今にては
   めぬうつつに 堪えられず
   辛さ晴らすの すべなんぞ
    語り掛くべき 人無きに
   忍び参内さんだい かなわぬか

    若宮とても 気に掛かる
   露深つゆふか涙 満つる中
   過ごすは如何いかが 思うにて
   願う参内さんだい くにてぞ』

 涙せつつ おっしゃるも
 気弱見せじと はばかるを
 皆まで聞かず 参りし」

言いて御文おふみを 差しいだ


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