■穴穂御子捕える 軽太子
軽太子する 言動に
官人民は 背を向けて
何方頼りと 為べしやと
心寄せたは 穴穂御子
世情嵐の 激しさに
恐れ為したる 軽太子
大前小前 宿祢宅
助け求めて 逃げ込みき
穴穂御子軍興て 家囲み
時の大氷雨に 謡う歌
大前小前 門に出て
我れに降参れや 観念し
氷雨止ますぞよ 一捻り
(乱鎮めるは)
大前小前宿祢が 金門蔭
斯く寄り来ね
雨立ち止めん
―古事記歌謡(八十一)―
大前小前 出で来たり
手挙げ膝打ち 舞い踊り
穴穂御子許来て 謡う歌
宮廷人足の 小さい鈴
落ちた位で 大騒ぎ
皆も静まれ 大事為すな
宮人の 足結の小鈴
落ちにきと 宮人響む
里人もゆめ
―古事記歌謡(八十二)―
「穴穂御子よ兄太子 攻めたれば
世人穴穂御子をば 冷笑うにて
我れが補えて 連れ出すに」
大前小前 軽太子を
捕え門外 引き立つに
軽太子が嘆きて 謡う歌
軽大郎女よ 愛し児よ
激しに泣けば 人が知る
鳩が鳴く様に 声殺し
我れを偲びて そっと泣け
天飛む 軽の娘子
激泣かぱ 人知りぬべし
波佐の山の 鳩の
下泣きに泣く
―古事記歌謡(八十三)―
軽大郎女
よ 愛し児よ
心確かに 我れ信じ
待ち居れ軽大郎女
よ 愛し児よ
天飛む 軽娘子
強にも 依り寝て通れ
軽娘子ども
―古事記歌謡(八十四)
軽太子する 言動に
官人民は 背を向けて
何方頼りと 為べしやと
心寄せたは 穴穂御子
世情嵐の 激しさに
恐れ為したる 軽太子
大前小前 宿祢宅
助け求めて 逃げ込みき
穴穂御子軍興て 家囲み
時の大氷雨に 謡う歌
大前小前 門に出て
我れに降参れや 観念し
氷雨止ますぞよ 一捻り
(乱鎮めるは)
大前小前宿祢が 金門蔭
斯く寄り来ね
雨立ち止めん
―古事記歌謡(八十一)―
大前小前 出で来たり
手挙げ膝打ち 舞い踊り
穴穂御子許来て 謡う歌
宮廷人足の 小さい鈴
落ちた位で 大騒ぎ
皆も静まれ 大事為すな
宮人の 足結の小鈴
落ちにきと 宮人響む
里人もゆめ
―古事記歌謡(八十二)―
「穴穂御子よ兄太子 攻めたれば
世人穴穂御子をば 冷笑うにて
我れが補えて 連れ出すに」
大前小前 軽太子を
捕え門外 引き立つに
軽太子が嘆きて 謡う歌
軽大郎女よ 愛し児よ
激しに泣けば 人が知る
鳩が鳴く様に 声殺し
我れを偲びて そっと泣け
天飛む 軽の娘子
激泣かぱ 人知りぬべし
波佐の山の 鳩の
下泣きに泣く
―古事記歌謡(八十三)―
軽大郎女
よ 愛し児よ
心確かに 我れ信じ
待ち居れ軽大郎女
よ 愛し児よ
天飛む 軽娘子
強にも 依り寝て通れ
軽娘子ども
―古事記歌謡(八十四)