【掲載日:平成25年4月16日】
山川に 筌を伏せて 守りもあへず 年の八年を 我がぬすまひし
人妻盗るは 男の冥利
惚れて仕舞たら 夜も日も明けぬ
後先見ずに 盗みに行くか
巧く掠めた 八年ばかり
【旋頭歌】
うちひさす 宮道に逢ひし 人妻ゆゑに
玉の緒の 思ひ乱れて 寝る夜しぞ多き
《大宮道 偶さか逢うた 人妻惚れて
思い詰め 寝られん夜が 多なって仕舞た》
―作者未詳―(巻十一・二三六五)
ちはやぶる 神の斎垣も 越えぬべし 今は我が名の 惜しけくもなし
《もうわしは 何言われても 構まわんわ 結界破り 越えて仕舞たる》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六六三)
(人妻恋)
山川に 筌を伏せて 守りもあへず 年の八年を 我がぬすまひし
《筌入る 魚そのまんま するよって 掠めたったで わし八年も》
(囲ってる 女の監視 緩いんで 隠れ通たで わし八年も)【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八三二)
(筌=竹編みの筒状漁具)
惚れた女房も 日が経ちゃ飽きる
まして古いは その気も起きん
若返るには 新し良えと
無理な理屈で 他女へと走る
紅の 深染めの衣を 下に着ば 人の見らくに にほひ出でむかも
《紅花で 濃ぉ染めた衣 下着たら 人が見たなら 透け見えるかな》
(良女と 秘か契りを 結んだら 人が知ったら どう言うやろか)【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八二八)
古衣 打棄る人は 秋風の 立ちくる時に 物思ふものぞ
《古なった 衣捨てる人は 秋の風 吹き始めたら 失敗思うで》
(古女房 捨てる云う人は いざの時 困るやろうに 知ってんやろか)【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六二六)
衣しも 多くあらなむ 取り替へて 着ればや君が 面忘れたる
《衣多数 あるん良えけど 次々に 替え着るよって うちお忘れか》
(付き合てる 女多数居って 次々に 取り替えしてて うちお忘れか)【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八二九)
梓弓 弓束巻き替へ 中見さし さらに引くとも 君がまにまに
《新しい 弓束替えたに 気ぃ変わり 剥がし掛かるか お好きな様に》
(このうちの 気ぃ引いといて 後込んで 元妻に帰るか もう勝手に為)【比喩】
―作者未詳―(巻十一・二八三〇)
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