【掲載日:平成25年4月23日】
彼方の 埴生の小屋に 小雨降り 床さへ濡れぬ 身に添へ我妹
心通うた 大人の恋は
交わす言葉に 労り滲む
共に過ごした 夜明けが来たら
別れ惜しげを さりげ無詠う
愛しと 思へりけらし な忘れと 結びし紐の 解くらく思へば
《忘れなと 結んだ紐が 解けんは 愛おし思て くれてるんやわ》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五五八)
黒髪の 白髪までと 結びてし 心ひとつを 今解かめやも
《黒い髪 白なるまでと 誓たんや 結んだ心 うち解かんで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二六〇二)
彼方の 埴生の小屋に 小雨降り 床さへ濡れぬ 身に添へ我妹
《里遠い 粗末な小屋で 雨遭うて 寝床も濡れた 身温めてお前》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六八三)
かくのみし 恋ひば死ぬべみ 垂乳根の 母にも告げつ 止まず通はせ
《焦がれして 死に相でお母に 言うたんで 気遣いなしに 毎日おいで》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五七〇)
桜麻の 麻生の下草 露しあれば 明かしてい行け 母は知るとも
《下草は 露に濡れてる 明けてから 行ったら良やん お母知っても》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六八七)
夕凝りの 霜置きにけり 朝戸出に いたくし踏みて 人に知らゆな
《夜置いた 霜凍ってる 朝帰りしな バリバリ踏んで 知られんときや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六九二)
月しあれば 明くらむ別も 知らずして 寝て我が来しを 人見けむかも
《月明こて 夜の明けたん 分らんで 遅に出たんを 見られた違うか》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二六六五)
――――――――――――――――――――
【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
【古事記ものがたり】へ